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ゆ~
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【Δドラロナ】おじさん構文
Δドラロナ ギャグ 隊長→(←)Δロ君
「我が名は吸血鬼おじさん構文!」
「吸血鬼おじさん構文!?」
市民の通報を受けて駆けつけると、そこには案の定訳の分からない名乗りを上げるサラリーマン風の男性吸血鬼がいた。ロナルド君とヒナイチ君は律儀に名乗りを復唱して驚きの表情を見せているが、私はもう帰りたい気持ちでいっぱいになっていた。
「そうだ! 私の能力を食らった者は、メッセージの文面が全ておじさん構文になるという恐ろしい能力だ! 貴様らのメッセージも全ておじさん構文にしてやろう!」
「
……
おじさん構文ってなんだ?」
「私も分からない。どんなものを言うんだ?」
「
……
えーっと、こういう感じので
……
」
完全に話の腰を折られたらしい吸血鬼おじさん構文とやらは、自分のスマホの画面をロナルド君とヒナイチ君に見せて説明し始める。その間に私はVRCの捕獲班へ連絡を入れておいた。
「絵文字使い過ぎで読みにくいな
……
」
「
……
うーん、ここのところなんか、カタカナとかの使いどころがおかしくないか?」
二人は、生来の天然を発揮して、おじさん構文を正面から添削し始めてしまった。そもそもの意図も何も伝わらない、最悪の相性だったことで、吸血鬼おじさん構文は見るからに肩を落としつつある。
「
……
く、くそっ! そこのダンピール!」
「
……
は? 私のことか?」
説明が一切通じないことを悟ったらしい吸血鬼おじさん構文はロナルド君とヒナイチ君を押し除けて、こっそり捕獲の手筈を整えていた私に指を差して来た。
「そうだ! お前、そこそこおじさんだろうが!」
「誰がおじさんだ!」
「お前も私のようにこの若い二人におじさん構文を送ってしまうようなおじさんになれ! そうすればこの二人も理解するだろう、おじさん構文の恐ろしさを!」
「お前が若い世代と上手くコミュニケーション取れないフラストレーションを擦り付けるな! というかなんだ、おじさん構文の恐ろしさって! アホか! 仕事しろ!」
「やかましい! 喰らえ!」
「! しまった、ついアホ過ぎる理不尽さを煽って
……
」
「ドラ公!」
気がついた時には吸血鬼おじさん構文の手の平から光線が放たれていた
——
。
「ウワッ‼️💦メッセージだけじゃなくって、台詞までおかしくナッチャッタナッ⁉️😱💦💦どうしてくれるンダ😜☝️💥」
「ど、ドラ公
……
?」
「あれ💦ロナルドくん、間違えちゃったカナ⁉✋❓こんな日は、私と裸のお付き合い😃✋しよ😃✋🎵😆ナンチャッテ❗😚 」
ロナルド君の表情が困惑から怯えの表情に変わっていく。ヒナイチ君に至っては顔を青くしてロナルド君の後ろに隠れているし、事情を知っているはずの駆けつけた部下たちやVRCの職員まで、全員がドン引きしていた。
「はっはっはっ! 貴様のような高給取りの無様な姿こそ、私が求めていたものだ! お前の体質と私の能力の相性が良かったのだろうな!」
「マッタクモウ😱💦オジサンを、からかうんじゃナイゾっ😍👉💦ワルイコには、オシオキしちゃおうカナ⁉️⁉️🎶」
声を発すれば発するほど、墓穴を掘っていく。というか本気で墓穴に入りたくなるほどの醜態を晒してしまう。
まずい。何がまずいって、この後のことだ。そもそも通報を受けた段階で、私はさっさと事態を一時間以内に解決するために、自ら現場に足を運んだのだ。私が直接ロナルド君やヒナイチ君の指揮を取れば、解決は早いだろうという目論見の上での行動だった。それがまさか、完全に裏目に出るなどと夢にも思わない。
「ど、ドラ公、大丈夫か?」
頭を抱えて唸る私に、ロナルド君は怯えを隠して近づいてきてくれる。やはり優しい子だ。顔もいいし。少し破天荒なところはあるが、ロナルド君のこういうところがやはり好ましいと思う。
——
そんなロナルド君に、私は今日、告白をする決意をしていたのだ。
くそ、なんで今日に限ってこんな馬鹿らしい催眠を喰らわなければならないんだ。今日でなければいい、というわけではない。しかし私は今日のために様々な準備を整えてきたのだ。あらゆる仕事をこの日のために片付けたし、渡すための花も用意した。夜景の美しいレストランでのディナーも考えたが、格式ばったところよりも、きっと私の手料理の方が喜んでくれると思い、昨晩からロナルド君の好きな唐揚げをしこたま仕込んである。
それなのに
——
!
「ロナルドくん😍💓心配してくれてるのカナ⁉️困ったお顔もカワイイネ😘❣️」
私の返答にロナルド君は伸ばしかけていた手を引いてしまう。私は慌てて手で口を塞ぎ、それ以上の言葉を制したが、もう一度見たロナルド君は「は
……
ははっ」と乾いた笑い漏らし、貼り付けたような笑顔で取り繕っている。
最悪だ。最悪すぎて、マジでちょっと涙が出そうになっている。私は生まれて初めて、本気で殺意を感じているかもしれない。しかもこの能力、どうやら好意を持っている相手ほど、余計なことを言うらしい。
私はVRC職員に拘束された吸血鬼おじさん構文の胸倉を掴んで詰め寄った。何としてでも、今すぐにこの能力を解除させなければならない。
「コレは、いつになったら、おさまるのカナ⁉️😱💦 早くしてくれないと、タイヘンなことにナッチャウゾ😜👊💥」
「ど、ドラルク! 落ち着くんだ、お前らしくないぞ! 気持ちはわかるが
……
!」
本当に私らしいわけが無いのだが、ヒナイチ君が慌てて私と吸血鬼おじさん構文の間に割って入る。実はヒナイチ君は、この場で唯一、私が今日ロナルド君に想いを伝えようとしていることを知っている。
「
……
!
……
っ」
「ドラルク
……
」
私に悲壮な視線を向けるヒナイチ君の肩越しに、駆け付けた隊員たちが見える。希美君は複雑そうに顔を引き攣らせ、にくみ君は目があった瞬間に盛大に吹き出した。フォン君とマナブ君はもはや地面に膝をついて蹲り息もできないほど笑っている。二人の減給が頭を過ぎった。
万事休すだ。思わず蹲ってしまうほどの無力感に襲われる。初めてロナルド君に出会った瞬間から、今日この日まで、私はロナルド君をここまで囲い込むことに、全力で時間と労力と権力とコネと金を注ぎ込んできた。それが、こんなポンチな能力で台無しにされるなど
……
。
「
……
ドラ公」
「!」
私の背に手が置かれる。声とその感触に顔を上げると、ロナルド君が心配するような表情で私を見ていた。
「なんか、今日まで仕事頑張ってたから、この後何かあるんだよな?」
「
……
!」
まさかロナルド君がそんなことに気づいていたとは思わず、私は声を発しかけて、しかしなんとか出そうになったおじさん構文を喉奥へと押し込んだ。代わりに頷く。そう、私は今日、君に、愛を伝えようとしていたんだという気持ちをありったけ乗せて、ロナルド君を見返した。
「今日はダメかもしれないけど、変な催眠が解けたら、きっと大丈夫だから。だから、元気出せよ」
な? そう言って首を傾け、私に優しげな視線を向けるロナルド君。やばい。めちゃくちゃ可愛い。絶対落とす。というかロナルド君も私のこと好きだし。ロナルド君が私のいない所で「俺、ちょっとドラ公のこと、好きかも
……
内緒だぜ?」と言っていたのをジョンからリークされているので、もう今日の告白は間違いなく成功する予定だったんだけど。
「ロナルド君
……
」
「! ドラ公
……
!」
「今日、君のために沢山のものを用意したから、受け取って欲しいんだ」
ロナルド君の手を取り、私は真っ直ぐにその赤い目を見つめた。見る見るうちにロナルド君の顔が真っ赤に染っていく。あうあうと可愛らしく狼狽えるロナルド君は、少し視線を泳がせた後に、私を上目で見た。
「
……
た、例えば、何
……
?」
「
……
例えば
——
」
ロナルド君の気配に、期待と緊張の香りが混じり始める。もじもじと顔を赤らめながら、窺ってくるロナルド君の手が、私の手を控えめに握り返してくる。赤い爪が並ぶその手を、強く握った。
「はぁぁあっっっ!」
「カワイイ💓ロナルドくんのために、私が作った美味しい😋🍴料理食べてほしいナッ😍💓その後は、私がロナルドくんを食べちゃってもイイカナ⁉️⁉️ナ~ンチャッテ😜💓👌」
「
…………
」
「
…………
」
私は、生まれて初めて本気で暴れかけ、その場にいる全員から止められることとなった。
🌊WB
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