わらびもち
2024-01-05 18:33:38
927文字
Public
 

後日談のコースチ

神々と戯れの自陣の話
本当はコースチ独白だけのつもりだったけどなんか自陣が勝手に出てきて喋りだした
げんみ‪✕‬


ふわふわと空に昇っていく煙をなんとはなしに目で追う。
空は曇天で、雨に降られたあの日を思い出した。また濡れるのも嫌で、煙草の火を消してベランダから部屋に戻れば、アルアが机に向かっているのが見えた。いつの間にか帰ってきていたらしい。傍ではカレンが何をするでもなくアルアを眺めている。最近のあいつは以前にも増してアルアにべったりだ。

「おお、アルア勉強中〜?」
「あ、コースチ!そう、テストで100点とったら完璧ってこないだクロズミが言ってたから!」
「なるほど、勉強しててえら〜い。」

褒めればえへへ、と嬉しそうに笑うアルアの頭をわしわしと撫で、広げてある国語の教科書を見やる。

「うーん、何も読めねえ!」
「そいやコースチ君は漢字苦手だったね。」
「ひらがなは読めるぜ!」
「アルアは漢字も読めるよ!」
「偉いねあるあちゃん〜。」
「お前な、日本に住んでるんだからちょっとは読めるようになれよ。」

取り留めもない会話をしていれば書類と睨めっこしていたショーゴが呆れたように溜息をついた。

「え〜、別に困ってないからな〜。」
「俺が困るんだよ!日本語の書類任せらんねえだろうが。」
「俺そういうの向いてないんだよ〜。だからショーゴに全部譲ったんだし。」
「けどな、どうしても手が回らない時だってあるんだ。そういう時に困るんだよ。」

大きな溜息を吐くショーゴをどう躱そうかと考えていると、ピョコンとアルアが手を挙げる。

「コースチ、あるあが漢字教えようか?」
「え、まじ?じゃあ頑張っちゃおっかな〜。」
「コースチ君ずるい!私もあるあちゃんに勉強教えてもらう!」
「いいよ!何教える?」
「お前らな……中学生に教えてもらって恥ずかしくないのか。いやそもそも実年齢考えたら……

ぶつぶつと呟くショーゴを他所にカレンと一緒にアルアからルーズリーフとシャーペンを借りて広げる。

本当は、日本に長居するつもりはなかった。たまたま出会った人間の友人が生きてる間……自分にとっては一瞬に過ぎないその間はこの辺りにいようと、それだけだった。
けれど彼らは自分と同じ存在で、その付き合いも思ったより長くなりそうだ。文字を覚えてみるのも良いだろう。