そら
2021-12-30 00:09:35
775文字
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【アンジェリーク】コーヒー【エルンスト】

#エルンストさま聖誕祭2021。

 エトワール以後。
 何気のない日常を送る鋼の守護聖さまです。
 カップリング要素はほぼありませんが、漂っているかもしれません。
 名無しの王立研究員が出てきます。

 聖獣の宇宙の鋼の守護聖は王立研究院に訪れた。
 個人的な研究のデータをもらいに来たのだった。
 珍しいことではなかったので、研究員もてきぱきとしたものだった。
「どうぞ」
 研究員が紙コップをエルンストに差し出した。
「ありがとうございます」
 礼を言い、紙コップを受け取る。
 懐かしい香りがした。
 コーヒーを一口、含む。
 酸味が強く、コクのないコーヒーだった。
 まるで泥水のような味がした。
 そのことにエルンストは、自分もずいぶんと偉くなったものだ、と思った。
 王立研究院のコーヒーを不味いと感じるとは。
 毎日のように、眠気覚ましに飲んでいたのに。
「どうかしましたか?」
 研究員が尋ねる。
 顔に出ていたのだろうか。
 今や神に等しい守護聖なのだ。
 無駄におびえさせてはいけない。
「懐かしい味だと思っていたのです」
 エルンストは事実を述べた。
 歳を重ねても、嘘をつくことは苦手だ。
 コーヒーが不味かった、とストレートに告げてはいけないことぐらいエルンストには、わかっていた。
「ありがとうございました」
 紙コップを空にして、研究員に手渡す。
 二度と王立研究員に戻れないだろう。
 変容してしまった自分に、心の底でためいきをついた。
「後で資料を転送していただけますか?
 少し気になる星があったので」
 エルンストはできるだけ穏やかに言った。
「はい、わかりました!」
 元気よく研究員は言った。
 守護聖から直々に言われたのが嬉しかったのだろう。
 それがよく伝わってきた。
 自分が研究員の立場だったら、光栄に思っただろう。
 見透かすことができるほど、エルンストは高みに立っている。
 そんな自分に複雑な思いを感じた。
 これも成長と言えるのだろうか。
 ふいに変わっていない少女のことが思い浮かんだ。