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ひろっぷ
2023-01-10 19:07:05
1912文字
Public
第五 リ探
うるさい虫には御用心
https://privatter.net/p/9517762
の続きのようなもの。
パパラッチに狙われる夜ロナっていいな
「ロナード、ようやっとお前にも春がきたか」
「?何の話だ」
昼下がり、稽古の間の数少ない休憩時間というのに劇場に訪れたリーズニングが新聞を小脇に抱えて近づいてくる。揶揄うように漏れた笑い声で思わず眉を顰めるが、本当に原因に心当たりはない。バタバタと背後でスタッフが入り乱れる様を全く気に留めず、リーズニングはロナードの肩に手を置き、抱えていた新聞をロナードの手に握らせた。
「おい」
「まぁ見ろ。こっちは急ぎの用事じゃない。時間があれば事務所に来てくれ」
「
……
はぁ。全く、なんなんだ」
手渡された新聞をパラパラと捲っていく。大きな見出しには興味の無い項目が乱立して目が滑る。何もないじゃないか、もしや騙されたのでは。
呆れを込めて小さく溜息をつき、次のページを捲ったその時だった。
「
………
は」
目が点になる、とはまさにこのあり様だろうか。
ロナードは己が目を疑った。疲れている、きっとそうに違いないと人目も憚らず目を擦ってみるが、変わらずそこに映されている文字に曇りはない。
目頭を摘み解しても、目蓋を抑えても、何も変わらなかった。誰が書いた。誰が、こんな。
"謎の男、主演男優のボディガードか"
ここまでならまだいい。俳優はゴシップがつきものでいつ何時犯罪に巻き込まれるか分からないからだ。多少金を積んででも命を守るだろうと一般人は解釈する。
しかし、本題はここから。その見出しの横に小さな文字でこう書かれていたからだ。
"はたまた密会か、それとも逢瀬か"
(なんだこれは!!)
この記事を書いた記者を今すぐ炙り出してやりたかった。
内容はロナードが突き落とされた事件を皮切りに、あちらこちらで夜来香と会っていた現場の写真が散りばめられている。いつの間にと思うものの、この手の者は常にどこかに張り付いていてこちらの隙を伺っているのだ。張り詰めたままでは普段の俳優業に支障が出てしまう。それだけは避けたかった。
だがそんな焦ったロナードを落ち着かせるかの如く問題の男が顔を覗かせる。それも、新聞を見ていたロナードの真横に。
「何ともまぁ。品のない文章ですね」
「!?」
落ち着くどころか余計に焦り、悲鳴が喉から出かかった。かろうじて抑えた自分を褒めたいと心底思い、非難するように夜来香をじとりと睨む。その様な視線を星の数ほど浴びているのだろう彼は生憎と怯む様子は全くなく、それがまた憎らしい。
しかしこの記事を見られてしまったのは迂闊だった。時間の問題であっただろうが、自分の力で解決して揉み消してしまいたかったからだ。この男にばれてしまうとややこしくなるのは自明の理。
「貴方は気にしなくていい。何とかする」
「?何とかする必要が?」
「
……
。貴方はそうだろうが私は支障が出る。この辺りの記者共がしつこいのは知っているだろう」
夜来香は数秒考える素振りをし、閃いたと小さく声を漏らした。同時にロナードは嫌な予感がしている。
「ならば誘き寄せると良いのでは」
「
………………
」
「我々はいつも通りにいたしましょう。彼らとていつか隙が出来ます」
「
………………………
」
ロナード自身、それが一番手っ取り早いとは理解している。しかしそれも忍耐が必要とされるものだ。現に今、彼の癖なのかこちらの腰を引き寄せて離さないのを見て気が遠くなりそうだった。いつかなんて分からない。それまで耐えねばならないということだからだ。
「貴方が、今、こうしているのも、見られている、かも、しれないんだ、ぞ!」
押しのけようと声にも力が入る。しかし体格差故か微動だにせず、寧ろ手を回し確認するように撫でる手は止まることはなく、ぞわりと肌が粟立って仕方がない。
公の場での行為のため行き交うスタッフが毎度こちらを凝視するために居た堪れなくなり、いっそ先程のリーズニングが戻ってきてくれないだろうかと藁に縋る勢いである。
「っ、その触り方をやめてくれ
…
」
「作戦ですよ。今から慣れて貰わねば困ります。しかしロナード、貴方また痩せました?服を作り直さねば」
「今その話をここでしないで貰いたい。
…
貴方も原因の一つだが?」
「それはそれは」
「撫でる手をやめろ!」
「そうはいきません。ここの者は何をしているのです。髪もいつもより
…
」
「〜〜〜〜!」
攻防がいつまで経っても終わらない。このやりとりも見られているのかと思うとどんどんとロナードは混乱していく。
かの探偵様にはしばらく会えそうにない、と何とか一報を届ける頃には陽が沈みかけていたとかなんとか。
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