Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ひろっぷ
2022-06-12 12:10:53
1072文字
Public
第五 ハス探
バスタイム
不思議パワーで部屋にカビは生えません。
蒸気が部屋を満たす。動くたびに水音が響き、下手をすれば呼吸する息の音ですら聞こえそうなほど。
「
………
」
ノートンは何度目か分からない浴槽に浸かって小さく溜息を零した。否、自ら浸かっているのではなく、浸からされている。それが何度かあるのだ。
『
………
』
隣でこちらを見つめているハスターに。初めこそ湯加減はどうだと度々尋ねられてきたためにノートンはうんざりしていたが、昔の仕事上シャワーしか経験の無かった者としては初体験は感動したものだ、と今になって思い返す。
「毎度思うんだけど、暇なら出て行って貰ってもいいんだよ。ちゃんと入ってるじゃないか」
『そなたは烏の行水になるだろうからな。治癒の効果も碌に得られぬであろう』
ああ言えばこう言い返される。これも風呂の際の恒例となりつつあった。
そもそも、部屋に浴槽が設置されたのにはこの邪神が原因で。
普段、試合が終われば受けた傷は即座に回復されるもの。しかしノートンはこのハスターと交わってしまったために、試合後の治癒の効果を得られない場合があったのだ。これにはナイチンゲールも頭を抱える始末であった。
全く回復しない訳ではなく、僅かに擦り傷や打撲痕が残る軽度のものなのが幸いで、そうなればとハスターも乗り気になった。それがこの浴槽。
人一人にしては隙間が多く、ハンターが入ればちょうど良い、ハンターとサバイバーなら少し窮屈ぐらいな大きさの、図ったような浴槽が事件の翌日に届いたのだ。
ハスターはノートンが服を脱ぎ、浴槽に浸かるまでその視線を逸らす事はない。初めこそ羞恥で躊躇ったが、何を今更というハスターに激昂してからは然程気にならなくなった。
…
気にならない訳ではないが。
「いつになったら治るの、これ」
『そなた次第だ。人間は個人差というものがあろう。自然治癒より早いとはいえ、要は其の者の体内組織の問題よ』
浴槽の縁に頭を預け、じとりとハスターを睨む。組織だ細胞だなどとノートンは興味がない。
ただそんな小難しい言葉を並べるハスターが嫌に癪に触るだけだ。最近の読書のお陰で節々が分かるようになったのも癪だとノートンは思う。
ただ。
『ノートンよ』
「
…
なに」
『よいか』
尋ねてくるようになったのはいつからだったろうか。伸びてきた触手が返事を待つように纏わり付く。そんな反応が見られるようになったのがなんだか可笑しくて、吹き出すのを誤魔化すように触手をつねってみる。
「いいよ。病人なんだから優しくしてよね」
『
…
フ、どこが病人なのだそなた』
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color