ひろっぷ
2021-05-10 23:46:58
954文字
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めいどのひ

着せ替えしたい鶴さんシリーズの鶴へし。

冥土の日

「は〜せべ」

あぁ今日も始まった、と長谷部は心の中で大きくため息をついた。ニコニコと屈託のない笑顔を浮かべ、手にしている物を長谷部の前へ突き出す。
服だ。
今までは小物などの装飾品で済まされていた鶴丸の欲求が、ついに服へと到達したのである。
しかも異様にひらひらとしていた。
乱藤四郎の服の端についているような、いわゆるフリルがふんだんに拵えてあるのだ。
突き出されたそれに顔が引きつった。
これを己が着ねばならないのかと鶴丸に訴えてみるが、好奇心の塊の彼には通じない。
なんとか己を鼓舞し、消えいるような声でかろうじて抵抗する。

「勘弁してくれ……
「何故だ!これも君に似合うと思ってだなぁ!」
………

いくら鈍い長谷部でも分かる。これは明らかに自分が着るようなものではない。

「女物だろ、それ。無理だ」

幻滅されるのは覚悟の上だった。それだけ羞恥心が勝る。
だがそれでも鶴丸は諦めなかった。好奇心も強ければ執着心も強い。この本丸の鶴丸国永はそういう刀である。そしていつも長谷部はそれに気圧されて負け、為されるがままとなるのだ。

「長谷部」

後退りしても所詮は自分達の部屋だ。壁の柱に当たる音が聞こえ後ろに目をやるも、向き直れば目前に服を構えた鶴丸の笑顔。

ぁ、勘弁、してくれっ」

その服を着た自分を想像して居た堪れない。やめてくれ、と抗議のつもりで両腕で防いでも、余計に鶴丸の好奇心を煽るだけである。
長谷部はいつもそれを学習することが出来ない。

「なんでもな、今日はメイドの日なんだと主が呟いてな。調べてみたらこんな綺麗な服が出てきてな!」

鶴丸の口から嬉々とした言葉だけが飛び出て長谷部を殴る。そしていつも耐えられず、降参の白旗をあげるのだ。

「分かった、分かった!着る着てやるから!」
「本当か!きっと君に似合うから楽しみだなぁ!」


♦︎


……………
「可愛いぞぉ!綺麗だぞ〜さすが長谷部だな〜!」
「お前、これ着せるだけでよかっただろうが!何故下着まで履かねばならんのだ!」
「えっ
「えっ」
「着てくれたのか」
「えっ
………!!」
「えええおおおぁぁあ待て待て待て力強いなお前ちょっ待っぁぁぁあ!」