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ひろっぷ
2021-05-06 00:33:19
1951文字
Public
むだい
現パロugへし√。書きたいとこだけ&方向性迷子のため一旦倉庫行き。
昔から、あいつは俺の大切な人だった。
隣の家に住み、赤ん坊の頃から俺を見てきたというあいつ。俺がそこそこ生意気なガキに成長してつっけんどんな態度をとっても、何一つ嫌な顔をしなかった。
なんとなく怖くなって夜眠れずにベッドで丸まっていても、あいつはいつの間にか傍にいた。
不思議と怖く感じたことは全くなく、俺はそれに安心して眠りにつく。母も父も、あいつが家を出入りすることに抵抗がなく、俺もそれは当たり前のように思っていた。
…
両親がいなくなるという事件が起こるまでは。
初めてあいつの焦った顔を見たと思う。リビングに立ち尽くしていた俺を見て目を見開いたんだ。
そこで俺はようやっとあいつに対して不安を抱いた。
もしかすると両親のために俺の面倒を見ていたんじゃないか。両親がいなくなったことで、更に厄介ごとが増えたんじゃないかと。
それからというもの、俺はあいつの知り合いに会ってからもそのことばかりをぐるぐると考えていた。
だって、そう思ってるってことはつまり。これ以上は面倒見切れないからここに預けていく、と言われるんじゃないか。
けど、考えすぎてあいつの前で溢してしまえばそれは杞憂だったんだと知る。
「俺が、いつそんなことを言った?」
その時も、俺が知らない顔をしていた。普段穏やかなあいつが俺に向けた怒り。
…
それと不安。あいつは俺を置いていく訳がないと俺を抱きしめた。
顔は見えないが声は震えていたんだと思う。
俺はようやっとそこで安心できた。あいつも俺も、共にいなくちゃならないのかもしれない。
もう自惚れでもいい。俺はあいつと生きたい。
離れるぐらいなら死んでやる、と大きなあいつの背に出来るだけ腕を伸ばして応えた。
絶対、言ってなんてやらないけどな。
♦︎
好きになったのはいつからだろう。
確かにあいつと離れたくないと思ってはいるし、大切な奴だとも思ってはいる。
けど、目が離せなくなったのはいつからだったか覚えていない。
もう何度目になるかの夏の祭り、下駄を鳴らして少し背が高くなった俺はあいつを待って考えていた。
神社の入り口にいるせいか人の往来が激しく、家族連れもいればカップルもいる。仲良く腕を組んであれが欲しい、これも可愛いなど楽しそうな声があちこちから聞こえた。
あいつにこんな事したらなんて言われるのだろうか、なんて気の迷いが起きそうになる。
(羨ましい)
と思うのは許されたい。だって出来る訳がない。
こんな性格だ、絶対意地が出て何もできやしない。
「国重、待たせたな。
…
国重?」
ほら今だって幻聴が聞こえ、
「国重」
「!?」
見上げるとあいつはいた。いつもの穏やかな顔と少しの心配の色を混ぜて俺を見ている。
俺もあいつも浴衣だからか新鮮な気持ちになる。毎年だが年に一度だ。中々お目にかかれるものじゃない。
「大丈夫か?調子が悪くなったか?」
「大丈夫だ。なんともない」
「そうか。辛くなったら言えよ」
と俺の頭を撫でる。やっぱり意識しているのは俺だけなんだろう。決意が益々固くなる。
言ってなんてやらない。少し生きづらくなるだけでなんら問題ないんだ。大丈夫、大丈夫だ。
「平気だ。何度も言わせるな」
「
…
そうか。花火がよく見える特等席がある。そこへ行こう」
♦︎
「
………
そろそろ、お前は自覚するべきじゃないかと思うが」
「なんの話だ。ほら、花火が上がる、」
話を逸らそうとすると、こいつはこっちを見つめて視線を外すことを許しはしなかった。
「お前が欲しい」
「は、」
「お前は黙っているつもりだろうが俺は言ってやろう」
「
…
!ともな」
「お前のその綺麗な手は俺の手を握るべきだ」
そう言って俺の手をとって撫でる。ぞわりと肌が泡立つと同時に体が沸騰するように火照る。
嘘だろう冗談だろうと叫びたかったが、公衆の前でそんなことをすればたちまち不審者だ。
わざと場所を選んだのかこいつ!
「藤の色の瞳は俺だけを見て欲しい」
しかも花火が打ち上がる中なせいか俺にしか聞こえないように耳打ちする。
恥ずかしさで泣きそうになった。どこにこんなあけすけな欲望を潜ませてたんだ。ありえない。
本当にこいつは鶯友成本人なのか!?
「あと、ここは」
つい、と友成の指が俺の唇をなぞる。駄目だ、やめてくれこんな嘘。落ち込んでたと思うならこんな慰めはいらない。夢なら言わないでくれ。
「ここは、俺のために」
「ちょ、ちょっと待て」
「待たない」
「!?」
この強引さ、間違いなく本物だ!
俺は晴れて
…
はれて?こいつとの関係を更新することとなった。
ついさっきの過去の俺!
鶯友成には充分に気を付けろよ!未来の俺より!
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