ひろっぷ
2020-01-18 19:45:33
4775文字
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刀の小話まとめ -弐-

gnj兄弟、主命etc…刀同士の色々。
ほとんど会話のみが多いです。



【下手の横好き】

「長谷部、料理は下手だなんだ言う割に手際がいいじゃないか。謙遜することはないだろうに」
「光忠や歌仙に比べたら明らかだろう。俺は一部以外は壊滅的なんだ」
「君の作るドーナツが好きだと短刀達が喜んでいたがなあ?」
「うぐ」
「いつも種類が豊富で長谷部が当番の時は楽しみだと言っていたなあ?」
ドーナツに限る
「唐揚げも評判だと聞いたがなあ?」
「おま、お前!俺をどうしたいんだ!」
「はは。悪かった。何、ちょっとした等価交換だ。君の作るドーナツと、俺の作る杏仁豆腐。交換してくれないか」
「?構わんがお前も食べたことあるだろう」
「そうなのだがな。なんとなく今食べたいと思ってしまって」
「は、はぁ
「ありがとう」

(可愛い)
(かわいいねぇ)





【近侍!ピンチ!】

「お前も仕事はきちんとこなすから問題はないが、兄の方にも手伝ってもらったりしないのか?」
………
「まさかさぼるのか?」
「いや、してくれる。してくれるのだが
「?」
「俺の近侍の座が危うくなるからさせたくない
「そっちか」





【君が初めてなんだよ】

「懐かしいなぁ。膝丸さん、巴くんの教育係になってるんだって?」
「どこでそれを。まぁそうだ。鍛刀したのが俺だからな。近侍の仕事と両立出来るかと思ったがなんとかなるものだ。光忠は誰かに教わったのか?」
「僕?僕は誰からっていうのはなかったな。本丸設立と同時に皆同じスタートだったからね」
「そうかつまり主ということか
「うーんそうなるかな?主くんも分からない事が多かったからね。二人三脚ってやつだよ、きっと」
「それでも、それでもだ」
「?」
「羨ましいと思う。俺が顕現する前の二年、三年が。その時も共に歩めていたらと」
……ふふ」
「光忠?俺は真剣に
「そんな気持ちを膝丸さんが持ってたなんて意外だと思うよ。でも、年月こそ多いけど失敗も多かったんだよ。格好悪い所を見られなくてよかったな」
「はは。そうか。それは惜しい事をした」

「膝丸〜!次の戦の会議するぞ〜!」

「む。主か。今行く!」
「いってらっしゃい」

(でもね膝丸さん)
(長い間近侍を任されている刀は、君だけなんだよ)





【珍しい組み合わせ】

………
「弟〜厨でお八つ貰ってきたから食べ何してるんだい」
「あ、兄者!やつ奴がな
「奴?誰の事?」
「口に出したくない奴だ!この部屋におるのだ気になってお八つどころではない」
「あ〜あれか。仕方ないねぇ。ほら、お前はこのお八つ持ってちょっと出てなさい」
「う、うむ」

「ん?膝丸、つっ立ってどうしたんだ」
「あぁ、今な

「首を差し出せ!!」

「!?なんだ!?って髭切?」
「ふぅ。あれ、へっしー君。どうしたの?」
「俺の台詞だが」
「すまん長谷部。奴が出現したので兄者に始末してもらったのだ」
「奴?あぁなるほどな。邪魔をした」
「せっかくだ長谷部。君もここで食べていかないか?」
「いやしかし兄弟水いらずだろう」
「構わないよ。多い方が楽しいしね」
「ではいいだろうか」
「あぁ是非。はぁ何故奴が俺達の部屋に
「食べる時にその話をするな」
「あっはっは!」




【国宝級の膝枕】

「膝丸。おい膝丸。起きろ。少ししたら起きると言っただろう。起きてくれ」
………
「俺の足も限界だ。拳骨でもくらいたいのか。くそどうすれば」
「おや。またうちの弟がすまないねぇ。ぐっすりじゃないか」
「なんとかしてくれ。俺もそろそろ動きたいんだ」
「うんうん。何とかしちゃおうね」
「?髭切?何を」
「じゃあへっしーくんの背中は僕が借りるよ」
「はぁ!?待てお前!ちょ、重い!」
「んぁ駄目だ兄者ぁ!って兄者?」
「おはよう弟」
「お、おはよう?」
…………はぁ……





【おつかいできるかな】

「おや?お出掛けかい二振とも」
「兄者。帰られたか」
「そうだ。今度の行事のための買い出しだ。しかし俺達だけで持って帰れるか?」
「荷物持ちかい?僕も行こうか?」
「いや、出陣帰りの疲れもあるだろう。気持ちはありがたいが
「怪我もしていないし軽い運動程度だよ。現世だろう?僕も行きたいなぁ」
「うっ……

(出陣を運動と言うかこやつは)

「そう言うなら髭切、寄り道は許さんぞ。それでいいならな」
「長谷部!」
「本当かい。やった!着替えてくるから待ってておくれ」
「あぁ」
……よかったのか?」
「ああでも言わないとこっそり付いてくる気だったぞあの目は。主も引っ張ってきそうだった」
「あぁ……兄者はやる

「そうとなれば俺も参加だろう!」
「途中で捕まっちゃったよ〜」
「「何故」」

……………

「おい長谷部、ありゃなんだ!人がぞろぞろと並んでるぜ!」
「何か美味い店でもあるんだちょっと待てふらふらするな!!」
「弟〜これ美味しそうだよ。買ってこうよ」
「そうしたいのは山々だが俺たちは用事があるのだぞ。それに言ったはずだ。寄り道はしないと」
「ありゃぁ」
「つ!る!ま!る!」

『もしもし。どうしたの膝丸さん。何かあったかい?』
「すまない光忠。頼まれた材料は買ったのだが少し休憩してから戻ろうと思う。急ぎならばすぐ戻るが
『大丈夫だよ。早めに用意出来ればよかったから。ふふ、鶴さんと髭切さんかい?』
「察しがよくて助かる。それ程長居するつもりはないから待っていてくれ」
『分かったよ。そっちも気を付けてね』
「あぁ、ではな。……という事だ皆」「じゃあ食べに行こうよ」
「お!それならあっちの並んでいる
「長居はしないと言っただろうが!!」






【瓜二つは許さない】

「膝丸、これはなんだ」
「何、とは」
「同じ刀が山程に積み上げられているが、これは……なんだ
「分かっているのだろう、へし切長谷部」
「っそれで!何故!」
……同じ顔の奴がこの本丸に存在する事を、皆が皆、許容すると思うか?」
「そ、れは」
「同じ顔、同じ性格、同じ体格、何もかもが同じ。そんな存在を、そもそも主が判別しきれると?仲間が判別できると?」
………
「成り代わられたらどうするのだ?」
「!!」
「出陣先で刀を拾う事もあるだろう。同じ名の刀だと分かるだろう。だが主はそれを顕現させない」
「まさか
「そうだ。近侍つまり俺が止めているからだ。……こんなものは許せるものではない」
「膝丸
こう言う事だ。どうか他言無用で頼む」
この山はどうしてるんだ」
「君たちの中にある」
「中?」
「霊力を注いでいる。主の霊力で維持していると言っても過言ではないが、何かあった時のため、戦力の増強のため、だな。何も無闇矢鱈に破棄しているのではない」
……そうか」
…………軽蔑するか。これを」
「いや、そういうわけでは」
まぁ、俺がもう一振りいたとして、兄者の横に俺ではない膝丸が立っている、となると
ひざ、」
「おおい弟〜!主が呼んでるよ〜!」
「む、兄者か。今行く!」
………

(皆のためとは言うが所詮は自己満足、か)

「俺も嫌だよ。膝丸」







【兄】

「この前の他の刀の話だが」
……。どうした。やはり気になるか」
「まぁな。で、髭切は何か答えたのか?」
「兄者か?」
「弟であるお前が他の自分を許さんと言うのなら、兄はどうなのだろうと思ってな。……興味本位なだけだ。独り言だと思ってくれ」
…………あぁ」

(そういえば、自分のことばかりで気にしていなかったな)

「という訳でどう思われるか、兄者」
「ど直球に聞くんだねぇ僕の弟は」
……思いつかんのならそれで構わない。俺が欲深いだけなのだろう」
「僕が何も考えないとでも思ってるのかい」
「?兄者?」
「僕が二振。当たり前だけど考える事も同じなら思うことも同じだろう。『認めるわけがない』。殺し合うよ、髭切同士がね。弟がお前しかいないとなれば尚更さ。ただ一振の兄として立たなきゃ」
………不躾な事を聞いた。すまない」
「構わないよ。お前も同じような気持ちだったろう」
………そう、だな」

(どこが同じだ)
(まるで鬼神の如き。否、悪魔のようだ)
(どこからこんな感情が湧いてくるのだろうと)
(そんな兄が不思議で、恐ろしく、たまらなかった)






【恥ずか死】

「ご主人様!無理は禁物だって膝丸さんも言っているだろう」
「そうだぞごしゅ………
…………
……………
………
「亀甲」
「なんだい?」
「俺を……一思いに刺せ………
「わぁぁ早まらないで!本体をしまって!!」





【熟した今が拐い頃、というやつだ】
※現ぱろ

もうすぐ二十歳だな。めでたい事だ。
ずっと君を見てきたが成長とは早いもの。何度君と四季を過ごしたか。
何?おじさんくさい?はは。そうかもしれん。言葉通りずっと見てきたからな。君の母君、父君、果ては祖父母……
何を怯えている?おかしいとは思わなかったか?
祖父母との話に華を咲かせ、さもその時生きていたかのようにその時の話題を持ち込む俺を。
全て事実だ。君の家系を守護するために、未来永劫生きると決めたのだ。
だが。
君が生まれてから俺は変わった。
一等その魂が一等美しいと感じたからだ。
そして君のその魂、この世界ではすぐに汚れてしまう。それはあってはならない。
赤子のまま保護してもよかったが、今の君の姿の方が俺は好きだ。
だから、待った。
この時まで、赤子の時も共にし、俺も子になり、共に成長した。
騙したかもしれんな。神の末席であるというのに、己の我儘で君を拐おうとしている。
そうだ。怯えてくれていい。それが『人』の応えなのだ。
神を恐れるというその感情が。
しかし君の応えがどうだろうと俺の知った所ではない。だがどうかこれだけは覚えていてくれ。
「君と共に過ごせて嬉しかった」と、それだけは真実なのだ。
さぁ、目を瞑るといい。おやすみ、良い夢を。そしてありがとう。

二十年。俺と共に生きてくれた事。ありがとう。




【みている】

刀剣男士、ってのは神か妖かで見解が分かれているみたいだが、俺としては人ではない身の時点でもはやどちらでもいいな、と思うぞ。傷を負うと人であれば長時間の療養を要する所を、刀剣男士であれば方法を用いて一瞬だと。不思議だな?
で、だ。その方法、見えない所から行われてるらしくてなぁ。気がついたら治ってるんだ。

なぁ、そこの。これを読んでいる君。そう、君だ。

君だろう?俺達を出陣させてくれて、傷も癒してくれて、とても感謝しているんだ。
最近、その力が感じられないんだがどう過ごしているのかと思っていてな。元気そうで何よりだ。
あぁ、頁閉じないでくれ。閉じてしまうとどうなるか

君の後ろに立っているかもしれないな?





【皮をかぶる】

「事は一刻を争います。途中の退出となる事、どうかご容赦いただきたい。それが叶わぬと申されますならば、私とて手段は選びませぬ」
…………
………
…………
「だ……
「やだなぁ。皆の髭切お兄さんだよ」
………
「見ろ。膝丸が見たことない顔してるじゃないか!」
な、何奴………
「えぇ?酷いなぁ」
「で、その言葉の本音は」
「寝たいなぁ」
「だろうと思った!あと膝丸は刀を仕舞え!」
「ぬぅぅう……