ひろっぷ
2019-08-14 22:09:21
3973文字
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刀と審神者のあれこれ-七-

主に会話文。現パロったりなんだり。




【▽髭切 は グリグリ を 覚えた !】

「怪しい動きしてて何だろうなと思ってはいたんだけど」
「兄者」
「だって。だって!」
「理由は?」
「主が全然有給を使わないから何とかしろって長義くんから言われて」
「まぁ傍で見ているが休んでいる素ぶりはなかったな。かと言ってやりすぎているのでもなし、無理に言わなかったが

「ひ ざ ま る」

「ひっ
「お前も原因の一つだったんだね?」
「あぁああ兄者誤解だ俺は主のためを思って追求しなかっ痛い痛い痛い!!こめかみは!!痛い兄者痛い!!すまない俺も悪かった!!ああああ!」

(見てるだけで痛い)

「一応さ、政府から仕事を貰っている訳だからさ、適度に休暇を取ってねって話!」
……分かった。ありがとう髭切」
「どういたしまして。ほら弟も、主に適度に促すんだよ?近侍なのだから」
……うむ」
不満かい?」
「わ、わわ分かった兄者!その拳をおさめてくれ!!」
「ならよし」





【妖怪遠征連れてけ切】

「主!主!現代に遠征って聞いたのだけれど!」
「何!本当か主!」
「えっ。まだ誰にも言ってないのにどこから
「えっと狐のこ、ごんぎつねくん!」
「こんのすけだ兄者」
「こんのすけどうせあぶらげで釣られたんだろうな
「で、本当なのかい?」
「本当だよ。前と一緒で何振りか連れて行かなきゃならないんだけど
「僕と弟を連れていっておくれ。弟は前回も行ったのだろう?」
「あぁ。前回は試験的にとしてだったがな」
「うーん。兄弟二振ともいなくなるのがなぁ」
「三日月も鶴丸もいるだろう。それでも心配ならば仕方ないが
「僕はお前と主とで行きたいんだよ。駄目なら仕方ない」
「ぐっ断りにくい理由付けてからに
「ふふん。僕とてただ斬ってただけじゃないんだよ」

(ただの駄々こねだがな)

何か言ったかい弟よ」
「な、何も言ってはおらぬ」





【顔面偏差値】※現代遠征

「千円になります」
「あ、えっとこれで
「お預かりいたし
「?どうしましたか」
「主、会計とやらは済ませてしまったか?」
「うわびっくりした。いや今まだ大丈夫ですか?」
「は、はい!お預かりいたします」
「?」
……

「買いたい物あるとか珍しいな」
「うむ。以前買った緑茶が意外と美味だったものでな。見かけたのでつい」
「それぐらいいいって。他にお金の使い道ないんだし」
「そうか」
「にしてもまぁ
「?どうした?」

(変わった髪色の、しかも地毛で顔の整ったイケメンがいたらそりゃ誰でも驚くよな)

後日。

「帽子被ってても駄目なやつ。SNSで広がってる……。次どうするか別の刀
「ならん。ならんぞ!か、髪の色を黒くすれば良いのか?」
「その拘りなんなんだほんとに




【ホイホイ】

「鶯丸!鶯丸〜!」
「うん?どうした慌てて」
「来たんだよ!大包平!」
「!」
「ほら、行こう行こう!……鶯丸?」
「なぁ主。茶を飲んでから行かないか?」
「?どうして。会いたくないか?」
「いやぁそうなんだが。まぁ待ってみろ」
「うん」

「鶯丸!!この俺が顕現したというのに迎えに来ないとは何事だ!!」
「うわっ声がっ
「茶が美味くてな」
「俺より茶か!!」
「はっはっは。元気で何よりだが主が驚いてるぞ。声量を抑えてやれ」
「!む、すまない」

(律儀な刀だなぁ)





【かぜっぴき丸】

「膝丸」
「駄目だ。駄目なのだ主。こればかりは
「いや、そうじゃなくてさ」
「むぅぅ」
「こ、困ったなこれは髭切は遠征に行かせてしまったし……
「膝丸。主が困っているではないか。お前のそれは風邪で、主にもうつってしまうぞ」
「ぐぬしかし、しかしだな

(奥の手だな仕方ない)
(使うのか)
(休ませるためだ!)

「ただいま〜!駄々をこねるどこぞの鬼丸は何処かな?」
「!!」
「使ったのか主」
「普段使わないから残ってたんだよ。いやぁこんな所で使うとは思ってなかった
「あ、あに、兄者!?何故
「主が戻って来いって態々鳩を寄越してくれたんだよ。弟を寝かせてくれって」
「な、主!」
「休んでくれないと碌に俺の近侍も務められないだろ〜」
「だが兄者!こればかりはっ……
「う〜んこれは確かに骨が折れるねぇ」
「だろ。だから頼む」
……膝丸」
「!」

「お前が早く元気にならないと、僕が主の近侍……取っちゃうよ?」

「!!」

(あ〜あ)
(狩る時の顔だな。これはこれは)

………ぐす
「いいこいいこ。主、僕が弟の面倒見るから、お粥さん頼んでもいいかな」
「もちろんだ。お前も休んでくれよ。急に引き返させて悪かった」
「ううん問題ないよ。もう弟、いつまで泣いてるんだい」
「泣いてはない……泣いてはないぞ

(泣いてるな……)




【人の体はままならない】

ヒューヒューと浅い息が聞こえる。膝丸はただ審神者を抱きしめるしかなかった。分からないのだ。この本丸の刀ほとんどが、ただの人間の身体の構造など。症状などを。そしてここに山姥切長義がいなければどうなっていただろうと全ての刀が青ざめていた。
隣に腰を下ろした長義が膝丸を落ち着かせるために、優しくゆっくりと言葉を紡ぐ。

「声をかけてあげてくれ。背中をさすってやってくれ。彼は今、呼吸を整えるのに精一杯だ。だから誰かが隣にいるという事を思い出させてやってくれ」

そう言って長義は膝丸を見た。こればかりは親しい者でなければならないと、そう意味も込めて。膝丸は強く頷き、抱えながらさすって声をかけ続けた。

「主。主……。大丈夫だ。主。大丈夫。大丈夫」

その甲斐あってか審神者の荒い呼吸は落ち着きを取り戻し、ぐったりとはしているもののいつもの穏やかな呼吸へと戻っていた。様子を見ていた他の刀達もほっと胸をなでおろす。

「落ち着いたようだ。だがまぁ、しばらくはそのままでいてやってくれ」
……あぁ」
「よかったね、弟」
「そうだな兄者。……主」

呟き、その主の少し汗ばんだ顔を見下ろす。
自分で落ち着いてくれるというならばこれ以上の喜びはない。
安心しきった審神者の寝顔を見ながら、膝丸は少し目の前が滲むのを感じていた。

(どうか、いなくならないで)





【海】

ふぅ。こんなものかな」
「終わったか!いやぁまだまだ遊び足りないぜ」
「これを遊びと言ってしまう君はさすがだな……
………皆、少し先に行っていてくれないかな?後で追いつくから」
「ん?そうか、分かった。気をつけてな」
「うん」
「兄者?」
「おいで膝丸。少し散歩しよう」

………

「おまえ、海が嫌いかい」
……。さすがだな兄者は。いや、嫌いというか何ともいえない気持ちになるのだ」
「そう」
「俺がその当時いたかは定かではないが、あの戦では海に身投げした兵もいたと書物で読んだ。敵に首を取らせまいと」
「あぁ。そうだね」
「だからだろうか。その嫌いというよりは悲しいという方が正しいかもしれない」
「お前は感情移入しやすいんだったねぇ」
……笑われるか。これを」
「まさか。お前はそれを忘れないでおくれ。僕はそんなお前も含めて海が好きだよ」
「兄者がそう仰られるのであれば俺も好きになれるだろうか」
「どうだろうねぇ。そろそろ行こうか。誰かが探しに来てしまうからね」
「あぁ。……。兄者」
「うん?」
「お手を煩わせてしまったな」
……ふふ。僕が好きでやった事だ。気にしなくていいんだよ」






【主のためにどこまでも】※現パロ

『何を読んでいるんだ?』

始めはこんな一言からだったように思う。ホームルームが終わり皆が下校していく中、その流れとは逆方向に屋上へと向かう足。自転車だろうが電車だろうがとにかく人混みが苦手であったため、時間をずらして帰ろうという自分なりの回避行動であった。
そも下校の時間など屋上に人がいる事はまずなく、こちらにとっては好条件であった。
夕日が綺麗に見られるというのも大きな理由だ。

(新しい本、買いに行かなきゃなぁ)

待つ間読み進めていた本も佳境に入りくたびれ始めた頃、どこからともなく声が降りかかる。

「何を読んでいるんだ」

誰もいないはずだと思い込んでいたため、唐突な低い声に体が飛び跳ねた。うわぁだかおわぁだか何と叫んだか定かではないが、酷く動揺していたのだと後の彼は語る。

「む。すまない。人がいるとは思っていなくてな」
「い、いや。大丈夫」

薄緑の綺麗な髪をした、同じ生徒であろう青年を見返した。余り校内を散策しないせいか見覚えはなく、同じ学年か、ましてやどのクラスにいるのかも記憶になかった。
だがどことなく既視感があり、じいと青年を見つめてしまう。

(なんだか、どこかで)

「弟〜。帰ろ……おっと」

青年の後ろからやって来たまた別の青年が顔を出す。こちらの顔を見るや否や目を細め、おやおやと弟と呼ばれた人物とこちらを交互に見ている。品定めをされているようでいたたまれない。

(気まずい。帰ろう)


「あ、本、拾ってくれてありがとう。じゃあ
「待ってくれ」

漫画ではよくある展開。薄々感じていた事がまんまと当たってしまい気が滅入りそうだった。厄介な事には振り回されたくない。平穏であれ。

「よかったら一緒に帰ろうよ。暗くなって危ないし」
「うむ。それがいい。君、鞄はどこにある?」

……平穏であれ!