ひろっぷ
2019-07-15 23:03:17
1544文字
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首が飛んだ弟の話+α

首が飛んじゃった膝丸の話。全くグロくはない。たぶん。※創作審神者

※生きてる



膝丸の首がなくなった。その知らせを聞いて本丸の入り口へ拙い足で急いで向かうと膝丸の首から上が本当にない。しかし、その首から下はというと。

「普通に歩いてるんだけど!?大丈夫なのか!?」
「うむ。顔もここにあるからな」

声が聞こえ膝丸であろう胴体から視線を下にずらすと、自ら返り血を浴びた顔を抱えていた。恐怖の声を出そうにも不安や心配も綯い交ぜになって出せる余裕などない。しかしとうの本刃はあっけらかんとしており普段通りにきびきびと歩いてくる。

「おや弟おか………おや?」

痺れる気配と金属が擦れる音が背後から聞こえ審神者は振り返った。髭切が抜刀していたのだ。膝丸と共に出陣していた刀達が一斉に止めに入り鎮火される様を見ているしかなかった火種の膝丸は、兄の豹変ぶりにようやっと自体の重大さを思い知るのである。

「首を斬られた?」
「あぁ。情けないが真正面からな。死んだと思っていたが、どうやら遡行軍ではなかったのだ」

太刀の部隊で出陣したため、否応無く接近戦を強いられる。そのために混戦となっていたそうだが、その中に遡行軍に混じりその時代の鬼もいたという。膝丸はその鬼にやられ奇妙な結果となったらしい。

「元に戻るのかな。こんのすけ」
「早期解決にはやはりその鬼の退治ですが
「それは始末している。歴史に影響はされまい?」
「鬼に関しては時代によりますが今回は大丈夫です」
「となると後は手入れか時間経過だよなぁ」

練度の高い刀が一振りでもいなくなるのはどこの本丸でも手痛い一撃である。

「それにしてもお前が何ともなくてよかったよ。鬼の気配がしたからどうしようかと」

陽気に話しているがこの兄、抜刀した時の顔は完全に鬼を狩る目であった、と後の膝丸は語る。
治るのはいつになるか分からないが、少なくとも一月はかからないだろうという政府からの診断もあった。戦こそ出せないものの、近侍は務めたいという彼の意思を尊重し、第二、第三の部隊で無難な任務をこなすこととなった。





【身体の中はなんだろな】

「中はどうなっているんだ?」
「俺も分からない。見るか?」
「ええ………いやええ
「そこまで躊躇されると些か傷付くぞ

興味がないわけではない。寧ろその逆で、刀達の身体の構造を知れる良い機会でもある。だがしかし、見てはいけないものを見てしまうとどうなるのだろうかという恐怖もあり。

「僕が見ようか?」

救世主なのか悪魔なのか、彼の兄が開いた襖の隙間から顔を出す。審神者に抱えられていた顔がぎょっとして兄を見やり焦った声を出している。

「あに、兄者がか?」
「うん。お前が嫌なら見ないよ」
「本当に嫌なら言うんだそ膝丸」
「ぬぅ。嫌ではないがでは頼む兄者」
「うん。任されたよ」

膝丸の身体に歩み寄る。首から中を覗き込むその様子を審神者と膝丸は喉を鳴らして見つめていた。何があるだろうか。変なものがあるだろうか。するとしばらく覗いていた髭切がゆっくりとこちらに向き直り、微笑んでこう言った。

「何もないよ」

「は?」
「ん?」

何もない。どういうことだろう。二人はそう疑問を抱くしかなかった。考える素振りをした髭切は更に伝える。

「ないというか見えないね。蓋をされてる感じで真っ暗。おそらく触っても何もない」
「そ、そうなのか」
「ほら」

「!?ちょっ
「兄者!!」

飛び上がる二人を面白がるように髭切は膝丸の首に手を突っ込んだ。兄の予想通り何も音はなく、突っ込んだ手が血にまみれることはない。

「不思議だねぇ」
「しないのではなかったか……。頼むから驚かさないでくれ
「お前らが怖い……