ひろっぷ
2018-10-11 00:21:12
1744文字
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お菓子いな

ラン剣。ねんねさせてたハロウィンネタ。



ハロウィンラン剣


轟音。それは妖精のすぐ後ろからだった。爆風に飛ばされた妖精は衝撃で気絶してしまう。抱えて呼びかけても返事はなく、爆風の先を見つめるしか次の行動に出る事が出来ない。だがその先の展開に、アーサーはただただ驚くしかなかった。

「・・・な・・・・」

ランスロットだった。自分の身近な騎士であり、男でありながら生涯自分に仕え続けるとまで公言した仲だと言うのに。何故、あの男が。

「何故・・・どうしたのだランスロットよ!?」
「・・・・・・」

返事がない。普段のあの男であるならば何かしらの言葉をくれてもようはず。
どこかおかしい。様子を確かめるため、フェイ残った部下に託し彼との間合いを取る。無言の時間が数分。その間に異変に気付いた騎士達がランスロットの元へと参じてくる。俯いていた顔が僅かに上がったのをアーサーは見逃さず、瞳や口に異変があるのが見えた。

(目が赤い・・・それに牙が出ている・・・・?吸血鬼みたいだ・・・な・・)
遺物の中に紛れていた歴史書を思い出し、アーサーははっとした。

「離れろ!!!」

王の怒声に部下達が一瞬の隙を見せてしまう。ランスロットの持っていたアロンダイトが仄かに光り、それを見逃さず舌うちをしたアーサーは剣を床に突き刺し次の衝撃に備えた。
今までにない大きな轟音。部下達はもちろん吹き飛ばされており、王の部屋であろう原形はすでに残っていなかった。唯一残ったであろうアーサーも予想以上の衝撃により膝をつくのが精いっぱいだ。徐々に金属の鎧が床を叩く音が近づいてくる。あの異常なランスロットだ。

「ラン・・・スロット・・・!」
「・・・・・・・・」

やはり何も答えない。フェイの言っていた異変というのはこれなのか。男性と限定されていたが、正確には「ランスロット」限定でかかってしまったのかもしれない。しかも相手がこの最強の騎士なのだから、こちら側にまず勝ち目はないのだ。
途端、足をすくわれ思わず剣から手を離して床に倒れてしまう。

「!?」

何が起きたのか分からないまま、ランスロットがアーサーの上に跨ってくる。アーサーは未だに状況が飲み込めず混乱するばかりだ。だが抵抗は忘れない。ドンドンと自由が利いている両手でランスロットを押しのけようとした。
近づいてきた時に甘い香りが鼻をかすめる。
(・・・?)
どんな匂い、とは表現は出来ない甘い何か。そしてランスロットの顔が首の方へ移動したかと思うと、大きく痛覚が反応した。

「!!??・・・っが、あ・・・・!!」

何が起きたのか全く分からず、アーサーは呻いた。
噛み付かれたと気づいた時には既に遅く、牙が肉の奥深くに喰らいついてしまった後だ。余りの衝撃に抵抗する手が落ち、痛みの余りに床を引っ掻くしかなかった。

「ア、ァァアアァア!!」

耐えられる痛みではなかった。普段痛みに耐えられる方だと自称するアーサーも、こればかりは声を漏らした。

「やめ、ろ!やめろ!!っァァアアァア!!」

喰らいつかれたまま、離れてはくれなかった。しかも喰われるだけでは飽きたらず、身体中の血という血を吸われている。このままではいけないと叫びたかった。だが痛みの方が勝って思うように声が出ない。その時だった。
瞬時にランスロットが牙を抜き離れた。またもや状況が飲み込めない中、耳に聞きなれた声が聞こえる。

「前に見える抜け道へ走れアーサー!!」

モードレッドの声。言葉に返事をする余裕もないまま、アーサーは気を振り絞ってがむしゃらに走った。

貧血の中全力で走る。先程の爆風で飛ばされていない無事な個室を見つけ、ふと目に止まったクローゼットに入る。癪な話だが、このブリテンの中では小柄なうちに入るため、今回はそれが幸いした。
(これでしばらくは...)

安心かに思えた。

カチリ。
(....何故)
先程と同じ金属の音。
(嘘だろう?)
明らかに近づいている音。そして。

「見つけたぞ、アーサー」
「ぁ、......!!」

これほど恐怖を感じた事はない。後にアーサーはそう語ったはずだ。
そして伸びてきた彼の手を最後に、アーサーの意識はそこで途絶えた。