ひろっぷ
2018-10-03 23:59:41
846文字
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なんてことはないありきたりな

ラン交♂。交響性。




引き千切れるのではないかというぐらいに強く肩を掴まれる。城内の廊下で叫べば響くことぐらい分かっているはずの彼が、いつもの落ち着きを失くして大声で言葉をぶつけてきていた。

「こんな気持ちにさせたのは貴方ですよアーサー様!貴方だけとは思わないでいただきたい!!何故黙って!」
「言って楽になれるなら言ってる!でも楽になるのは俺だけでランスロットの重荷になるだけだ!!」

負けじと反論するが、これはもはや反論と言わず投げやりな八つ当たりだ。ランスロットも競うように叫びこちらも応戦する、という怒声の合戦となっていった。
だが怒鳴りあっているうち息が切れ、急な沈黙が続いた後アーサーはハッとして確認するように小声で尋ねる。

「同性で、好きなんだよ」
「見れば分かります」

荒い呼吸をしていたランスロットも落ち着きを取り戻していく。

「王候補だけど、王と騎士だよ」
「承知の上です」

音にして改めて理解した同意。だがアーサーはまだ認められなかった。夢ではないのか。たった1人の妄想なのではないか。耳まで赤くなる顔を抑え否定するように首を振る。嘘だ。何かの間違いだろうと。金属の乾いた音が木霊して、俯いてたアーサーの足元に金色の鎧が隙間から見えた。

「顔をお上げください、アーサー様」
「できない」
「アーサー様」
………っ」

優しいその声に誰が抗えようか。ゆっくりと手を離すと好機とばかりにその両手を掴まれる。思わず強張ると動けないのをいいことに彼の整った顔が目前に迫っていた。
頭が真っ白になるとはこのことか。と思考が明後日に向かいかけるのを必死で引き戻す。現実を受け入れた途端茹でられたように再び顔が真っ赤になる。

「貴方は赤くなったり青くなったりと忙しいお方ですね」
「大人気ない……

おまけと言わんばかりに手の甲にも1つの口付け。

「貴方相手に大人気ないも何も」

ならばアーサーも遠慮はいらないはずだ。
お返しだと精一杯の抱擁をかましてやった。