ひろっぷ
2018-01-27 22:19:27
430文字
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君とサボテンと〈魔輪匠〉

レッジと君とサボテン。



「少し用を済ませるから寛いでてくれ」

分かった。と君は近くの椅子に座りつつ、彼の部屋をキョロキョロと見渡した。殺風景でもなく、しかし生活感に溢れているわけでもない、いかにもレッジという部屋だ。彼の後ろ姿を見つつ、ふと横の緑の物体に目が動かされてしまう。
これは?と後ろ姿に問いかける。振り返り、君が指差した物体に目線を動かしたレッジが少し歯がゆそうな顔をして君との目線をずらした。聞いてはいけないことだっただろうか?

「あぁ、これはユイア……………

しばしの沈黙。その名前は君もよく知っている。
錆びた機械のように向き直り、再び君に後ろ姿のみを見せるレッジ。

「サボテンだ……

小声で聞こえたその緑の物体はサボテンというらしい。ただ、それだけだ。そう君は自身に言い聞かせたが、ユイアと答えた彼のひどく優しい顔を忘れることが出来ない。
いい名前だね。後ろ姿に問いかけると。

誰にも言うなよ」

と恥ずかしそうに答えるのだった。