ひろっぷ
2017-09-12 23:54:04
520文字
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残暑見舞い

現パロ。ラギトさんと魔法使い。


「静かだろう」

そう言って波打ち際に佇む彼の後ろ姿を少し離れた所から君は見ていた。穴場、という所なのだろう。特に立ち入り禁止という訳でもなく人も疎らにいるが、限りなく静かだ。遠くでは仄かに明かりが見え、おそらくではあるが花火をして祭りの終わりを迎える瞬間が伝わってくる。
今は大きく明るいものを見たい訳でも驚きたいわけでもない。それに、君は彼以外に誘われそうな友人に心当たりがなかった。いつもの事だと帰宅の途に着こうとした時、家の玄関で待っていたのは少し汗ばんだ彼の姿。

「海、行かないか」

そんな言葉から今に始まるのである。

自転車、帰りは代わるよ。冷たい海に足をつけ、波に打たれながら言葉を流す。別段ここへ来て何かをしたかったと君が言ったわけでもなければ、彼も何かをしたくてここへ来た訳ではない。ただなんとなく。いつでも帰れるし、いつまででもいられる。

「俺が言い出したんだ。帰りも任せてくれ」

君が流した言葉をゆっくりと拾う。同じように裸足になって横に並んだ彼が当然と笑った。頑固だね。

「あぁ、あんたにはどうもな」

2人が見据えた先では、まだまだ花火の明かりがほんのりと海の上に映し出されているのだった。