ひろっぷ
2017-06-28 21:59:56
734文字
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なんてことのない

気持ちラディまほだけど+寄り。




夜の月の光を浴びながら、君は魔道書の頁をゆっくりと捲る。隣ではウィズが気持ちよさそうに寝息を立てているが、生憎それにつられるような眠気がやってこなかった。
この世界での新たな魔法の仕組みを理解しようと頭に入れてはみるものの、理解と納得がせめぎ合い中々飲み込めるものではない。ヤケになって柔らかい寝具に倒れこみ、体が僅かに跳ねるがそれでもウィズは起きる気配はない。

「ん、まだ寝てなかったのか」

静かに閉められた扉の音に気付き振り返れば、同室になったラディウスがこちらに歩いてくるのが見える。
寝ながらおかえり、と伝えると返事と言わんばかりに隣に座るラディウス。ぎしりと寝具が軋みウィズが身じろぎするが、かなり熟睡しているようで起きることはなかった。またやってたの?と君が言うとラディウスは当たり前だという声で応える。

「ベラベラ喋るよりかは楽だしな」

どうやらまたミハネと一戦交えていたようだ。男というのもあってか体力は有り余るようで、白熱してしまった結果が現在のこの時間だ。ラディウスを見るにまだ疲れてはいないのだろう。羨ましいことだ、と君は思った。
会話が途切れた時ふと視線を感じ、見ればラディウスがこちらをじっと見つめている。どうしたの、と君が問えば彼は言葉に困っているようで曖昧な表現で答えていく様は非常に珍しかった。

「お前も師匠とやらと同じ猫みたいだなと思ってな」

気まぐれでもなんでもないよ。なんておそらく的外れな答えをしたせいか、彼は軽く笑って君の髪を雑に梳いた。
猫じゃないはずなのにどこか心地よかったのはきっと彼だからだろう。ラディウスが相変わらず月を見つめている中、うつらうつらと君は夢の世界へ旅立っていくのだった。