ひろっぷ
2017-06-01 23:44:19
566文字
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きすのはなし

ヒビまほ。チューの日。




「魔法使い、頼むよ」

嫌だ。ダメだ。口の前を手で遮るその様は完全に拒否を示す。ショックを受けるヒビキだが諦める気配はない。
事の発端はといえば、生徒達の噂をヒビキが耳にしてしまったせいである。『今日はキスの日で、成功すれば明日1日良いことがある』だとかなんとか。
噂好きの生徒達が多くいるこの学園では仕方のないことだが、よりにもよってヒビキがその噂に興味を示すとは誰も思ってはいないだろう。しかし今は君がヒビキと付き合う間柄なために、最近はこの話題にも敏感なようだ。
なんて事を考えていると間近にヒビキの顔が迫る。
後ろに下がろうとするものの、そこはもう既に壁。追い詰められた君はただ口を遮る事に徹するしかなかった。

「少し触るだけなのに、そんなに嫌か?」

そろそろ諦めの色が見え始めたヒビキに君が少しの申し訳なさを感じ、ごめんと口を遮っていた手を緩めた時。

「隙あり」

瞬時に手を引き剥がされ噛みつかれるような口付け。すぐに離されたそれに君は思考が追いついていかず、ニコニコとして君を見下ろしているヒビキの様を見て段々と追いついていき、果ては顔が真っ赤に染まる。

「いいことあるといいな、明日!」

してやったりな顔をしてその場を後にしようとするヒビキに、君は照れ隠しの如く背中をひたすら叩くのだった。