ひろっぷ
2017-04-23 20:46:37
1412文字
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嫉妬です、人間だもの

ヒビまほ。



学園の休み時間、昼食後のせいか通り過ぎる教室で寝ている生徒が多い。それを横目に見ながら前を向きなおすと前方が何やら騒がしい。肩に乗って耳を動かすウィズが急かすように叩く。分かったから、と近づいていくと見知った背の高い人物が。

「あぁ、いやそうなんだけどな

珍しく焦っているヒビキが女生徒に囲まれていた。前々から分かっていた事だが、ヒビキは容姿や性格全てにおいて女性にもてる。しかもお人好しな性格と同性にも優しい事から女性だけにとどまらなくなっているのだ。正直、君にとっては些か居心地はよろしくない。
少し距離を置いてむすっとしていると後ろから声をかけられる。

「黒猫の先生!……どうしたんですか、難しい顔をして」

指摘をされて慌てて笑顔を取り繕う。なんでもないよ、と誤魔化しヒビキの方へ振り向くと。

「あ」

ばちりと目が合ってしまった。
驚いて思わず後ろに一歩下がる君。不思議そうに伺ってくる生徒を見る暇もなく、君は早足でその場を後にするのだった。

「あんな反応して怪しまれるにゃ」

分かってる。分かってるけど。
どれぐらい離れただろうか。慌てていた事で頭が一杯な中、辿り着いたのは聖樹の前。どうやらアメリーも席を外しており、ここにいるのは君とウィズだけだった。
君自身でも分かっていた。避けられないことだと理解はしていたが、何度も目撃してしまっては我慢が出来ない。怒ることも出来たがあの場で怒っても生徒達に怪しまれるだけだ。だから君は逃げることが最善だと考え気持ちを落ち着かせようとしている。あぁ駄目だな。まだまだだ、と。

「んにゃ。よく悩むにゃ」

呆れ半分、心配半分といったウィズの声。肩から飛び降り聖樹から離れていく。散歩にでも出かけるのだろうかなどと思いながらも、君は聖樹から離れられなかった。もう少し、ここにいて落ち着きたいのだ。だが時はそう待ってはくれず。

「ここにいたのか、魔法使い!」

息を切らして走ってきたのはヒビキだろう。声ですぐに分かる。だが振り返る勇気がまだなかった。君の口からどんな言葉が出るか分からなかったからだ。沈黙を守る君を見て、ヒビキがすく後ろで止まる感覚。まだ、まだ振り返る事はできない。

「あんたがいるってのに悪かった。……って言っても許しちゃくれないか」

ヒビキは悪くない。生徒達も悪くない。自分が、勝手にこうしてるだけだから。小さな小さな声で彼の謝罪を否定する。しかと拾ってくれたヒビキに後ろから抱きしめられ、思わず君は体が強張った。

「来る時に考えたんだけどさ」

抱きしめられたそのままに、後ろからヒビキが声を降らせる。耳の近くから聞こえるせいか、強張った体が更に強張った気がしていた。

「一緒の部屋にしないか?スバルたちも退屈しなくなるし、何より共にできる時間が増えるだろ。……駄目か?」

駄目かと言われて駄目と言えるほど君の根性は腐ってはいない。それに彼の頼みを、しかも君にとっても好都合なそれを断る理由もないのだ。嬉しさと同時に恥ずかしさ、今までの行いを思い出して顔が火照っていく。うう、と唸って顔を隠すとヒビキが後ろから君の腕を遮り顔を覗かせてきた。

「いい顔、見れた」

ヒビキの笑顔にどうやら自分は弱いらしい。まだ、許してない、バカ、お人好し。真っ赤になった顔を誤魔化すように、思いつく限りの悪態をつくのだった。