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ひろっぷ
2016-11-10 22:12:44
1368文字
Public
死にたくないの
窮地に陥った魔法使いをメアレス達(主にラギト)が助けに入るはなし
「魔法使い!!」
<夢魔装>の声がする。朦朧とする意識の中、声も出せずゆっくりと声のする方向へ顔を向ける。君の状態を見たメアレス達は顔面蒼白といった感じで立ち尽くしていた。それもそうだ。<黄昏>リフィルが感じた君の魔力が、<魔輪匠>レッジの感じた魔法が、ほぼ無くなっていたから。張られた結界の周りには大型のロストメア達が蔓延り、君を守るようにメアレス達の前に立ちはだかる。リフィルが目線で威嚇するが人語を理解できる種類ではないようで、君の魔力を貪ろうとまた結界に近づき始める。
やめて、お願い、やめて。なけなしの恐怖だけが君を支配する。死にたくない。もう充分だろう。
「
……
!!まずい!!」
走り出したラギト。周りのロストメアを排除していたメアレス達は驚いて彼を見たが、もはやそこに人影はなかった。
「ラギトさん!?」
「どうして
……
。っまさか!!」
リフィルも人形を召喚し飛躍、魔力を節約している場合ではなかった。
他のメアレス達はラギトやリフィルのような爆発的な跳躍や疾走が出来ない。見守る事しか出来ないが、遠目でも分かったソレに、皆が叫ぶしかなかった。
「!??ダメ、食べられます!!」
「ここから届きますか!?」
「やめろ!あいつらを巻き込む!!」
大型のロストメアが君を食べようと実体のない手を君に伸ばす。結界に触れたその途端、君は言い表せない違和感に襲われ悶える。絶叫。吸われに吸われなくなったはずの気力の限りの声。魔力が吸われていく。激痛ではなく地面に押さえつけられているような感覚。これでは、命まで、吸われて。
「魔法使い!!!!」
ガッと結界を掴んだラギトが力の限りに君の名を呼ぶ。僅かに目を見開いた君に意識がある事に安堵した彼は再度君の名を呼び叫ぶ。何度も。何度も。結界を鷲掴んで暴力といわんばかりの腕力で開いていく。
大型のロストメアが気がかりだったが、そこはメアレス達、皆が合流して既に片付けていた。後は残りの小型ロストメアとこの結界だけのようだ。
「大丈夫だ魔法使い。気をしっかりな」
物理が魔法に打ち勝った瞬間を見た気がする。拡げきった結界の穴が限界を迎えガラスのように飛び散って消えた。
「にゃ
…
キミ、キミ。大丈夫かにゃ
…
」
メアレス達に守られていたのだろう、瞳を目一杯潤ませたウィズが倒れている君に擦り寄る。大丈夫だよ、心配をかけて、ごめん。声すら絞り出された君は返事をするようにウィズをひと撫でした。上半身が起こされる感覚がすると、見上げた先にはラギトの顔が。
「今は、寝ているといい。あんたは頑張った。疲れたろう」
<夢魔装>の状態のまま言われるとなんだか悪夢を見てしまいそうだ、と思っていれば額に小突かれた。ごめんね、あとは任せるよ。意識を手放した君を確認したラギトはメアレス達に頷いて伝える。
安心したメアレス達は深く深くため息をついた。魔法使いといえど人間だ、油断する事もあるだろう。だが、皆が心配する事はそこではなく。
「
………
少し気がかりね」
「あぁ、何事もなければいいが」
杞憂が悲劇に変わらなければいいが。そう意味を込めてラギトは眠った君を抱いて街を離れる。
何も起きなければいいのだ。何も。
(死を間近で見て、生を一瞬でも手放そうとしたなら)
何も、起きなければ。
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