ひろっぷ
2016-07-24 01:14:26
626文字
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裏切りなんて信じない(夢魔装と魔法使い)

ちょっと怖いかもしれませ!ん!

人も通らない深夜に近い夜、君は当て所なくロクス・ソルスの街を走っていた。師匠の黒猫も連れず、ただ1人で。今までの鍛錬はなんだったのかと言わんばかりの息切れ。そして足のもつれ。我武者羅に走った。理由は簡単だ、ある者に追われているからだった。
「どうした、まだ走れるだろう」
後ろから小さく聞こえる声。大通りでなお聞こえるその声の主は歩いている。にもかかわらず、はっきりと聞こえていた。冷や汗が流れ続ける。ありえない、彼は歩いて自分は走っているのに。
姿が見えなくなった事を確認して、君は咄嗟に裏路地のまた更に奥まった所に身を潜めた。近づく足音、止まり、数秒したのちにまた遠ざかっていく。数分、息をすることを忘れてじっと静止する。いなくなっただろうか。

静まり返った路地で小さく、深い安堵の息を、

「安心したか?」

耳元で聞こえた先程の声。君は頭が真っ白になった。怖い?もうそんな感覚ではない。振り向く事も出来ず、君はただ少し震えている事だけを繰り返す。
「何、聞きたい事があるだけだ」
トン、トン、と背中の中心を指でつつかれる。ビクリと肩をあげた君に、彼はただ一言を告げてきた。


「何故、俺を、裏切った?」


区切り区切り、確認をするようにゆっくりと尋ねてきた。
あぁ、自分はきっとどちらで応えても彼が満足出来るような反応ではないのだろう。



トン、トン、と催促をするかのような優しいつつきを最後に、少年と魔法使いは姿を消した。