ひろっぷ
2016-04-01 21:55:56
1422文字
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【黒猫】夢魔装と魔法使いの約束【ウィズ】

ラギトさんと魔法使いの云々。小ネタであった約束ネタから引っ張って。闇堕ち。

♦︎堕ちた夢魔装

「魔法使いはどこだ」
ひた、ひた。と静かに男は歩く。ひた、ひた。都市にいる市民は恐怖に慄き四方八方に逃げる。どこにも逃げ場など無いというのに。
「魔法使い、は、」
もうこの世界にはいない。そんな言葉をかける無謀な人はこの場には誰1人いない。
闇に黒く染まった染みが零れ落ちる。足跡のように。染みからは黒煙の蝶が舞う。何度問いかけても、何度名前を呼んでも誰も応える者はいない。黄昏時、男は足を引きずるように静かに運ぶ。動かない、動けない市民には目もくれず向かう先は、門。
「<夢魔装>!!何をしている!!?」
途端、男の前を塞いだのは<黄昏>だった。対峙し異常な目と合わさった<黄昏>は驚きの余りか一瞬の隙を見せる。刹那。
「魔法使いは、どこだ」
その言葉を皮切りに消滅した気配。<黄昏>は辺りをしきりに警戒する。
しかし<黄昏>は対峙した時から薄々と感じていた。勝てる訳がないと。そしてその予感は的中する事になる。
「リフィルさん!!横!!」
<戦小鳥>ミリィが走り叫ぶ。
「!!!!ガアッ……
<黄昏>が吹き飛ぶ。もはや何に攻撃されたかも理解出来ずに。
「ラギト貴方!!何をして……っ!!?」
ルリアゲハが息を呑むと同時に、到着したメアレス達も驚きで声が出なかった。人の形は保っているのであろうが、もはや人の見た目をしていない。最強と謳われたメアレス。その面影を残しつつ、彼は異形の存在へと成り果てかけていた。
「魔法使いは」
何度も、何度も。
「魔法使い」
呼ぶのはただその1人の存在だけ。メアレスが立ちはだかろうとも、彼にとっては邪魔でしかない。
(これは夢?確かに門へ向かっているけど、でも、夢なんてもので片付けられる訳)
では何なのか。目標であれば夢だ。憧れであっても夢だ。ならば。
「貴様……約束したか!!!」
「!!」
約束は、夢でないようで夢なのだろう。曖昧なものはこの世界では夢とみなされてしまうのか。ラギトは、約束をしたのだ。魔法使いとの約束を。
一握りの意識が、目を見開かせる。
(約束、魔法使いと、共に_____)
理解したと同時に彼は頭を抱えた。何故自分がこのような状況に陥ったのか。何故ロストメアの侵食を許したのか。答えは1つ、1人。魔法使いの存在だった。

この世界が平和になったらまた、誘ってくれ。俺を呼んでくれ。
約束だ。

「あ……ァァァアァァアア!!!!」

黄昏時の門の前、黒き異形と化した最強のメアレスが、悲しく咆哮した。














「頼む、魔法使い」

ヒタヒタと裸足で歩くような弱々しい音。君はその弱々しい音の主と対峙した。声も、何もかもが弱い。最強なんてものとはほど遠かった。放った言葉はなんだっただろうか。確実に言えるのは君を憤怒させる言葉だったのは間違いない。
そうだ、思い出した。彼は諦めた。何を。夢を。もう一度掴んだ夢を確かに諦めた。魔法使いと共に歩みたいという夢を。掴んで捨てたのだ。
「俺を、殺してくれ……!」
だがそれは魔法使いが許さない。今までにない憤怒が魔法使いの内側に湧き上がる。
させるものか!他に誰も味方する者がいなくとも、自分だけは確かにここにいる!!夢が無くたっていい、けど夢を持った人はもっと輝くんだ!2度捨てた夢を、3度も捨てるな!
………あァア!!」

人々が見守る中、救済の魔法と夢魔装の咆哮がぶつかり合った。