ひろっぷ
2016-02-10 22:12:09
1108文字
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【乖離性】傭富小ネタ1個【MA】

傭兵×富豪。


本の頁を捲る動作も美しい。およそ傭兵には似合わないその表現が、富豪には適切だった。
「どうした。何か用かい」
そう尋ねながら髪を掬う動作すら。傭兵は未だ言葉が見つからずただ見つめるだけだ。
「いや。何となく綺麗だなと」
呟けば、呆れる彼の声。
「熱視線だなと思えば全く
だって、どうして。彼と付き合い始めてみると世界がいつもと違うのだ(正確には付き合う前からとも)。表現は見当たらないが、気持ちというものは確かに高揚している。恋というものはこんなにも可笑しくさせるのかと、傭兵は心の中で自問した。
「まだ見るかね。構って欲しいのならそう言いたまえ」
「!?な、なんでそうなるんだ」
「違うのか?どうせなら膝枕でもしてあげようと思ったが」
「!」
無意識に見つめていたせいの思わぬ返答。膝枕はして欲しい。しかし傭兵は薄っすらと足りないと思っていた。
「足りない」
「はあ?」
思わず溢れてしまった本心。慌てて何でもないように振る舞うが、溢れてしまった本心が消せるはずもない。富豪が訝しむ素振りを見せた後、観念するかのように眉を下げて笑った。ポンポンと膝を叩いて促す。
「膝枕は良いのだろう?ならその後は君の好きにしてくれ」
思ってもなかった申し出に傭兵は顔のにやけが止まらなかった。その反応にすら富豪は苦笑いを絶やさない。
「じゃあ、好きにする。とりあえず寝させてくれ」
「あぁ。良い夢を」
額へ優しい口付け。唐突なその行為に傭兵は顔を赤くして富豪を見上げた。富豪も富豪で顔を真っ赤にしているようで、顔は横に向いていた。ついついの癖なのだろうか、傭兵にしてしまった事に無意識では気付かなかった所か。
「毎日やってくれよ」
「断る。あぁもうやるんじゃなかった」
「なんでだよ。お前の騎士にはやってるんだろ」
「騎士と君とでは訳が違う」
「なにが」
その仮にも恋人、だろう」
「キスの1つもくれないなんて。俺は恋人失格かぁ?」
「そ、そうは言ってなっ」
ぐいと首を掴んで下ろす。抵抗を続ける口を塞いでやれば途端に静まる空気。
富豪の顔が赤くなる。更に、もっと。林檎よりも真っ赤に。騎士に出来て、曲がりなりにも恋人に何故出来ないのかと癪だった。だがこの反応を見るのは悪くないし、寧ろ楽しいのだ。
「ううぅ」
「好きにしろと言ったのはお前だぞ。好きにするからな」
「ぐ分かった。分かったからもう!」
「駄目だ。じっとしてろー」
「あぁぁあ」
昼の日差しを浴びながら、傭兵はこの瞬間がやはり好きなのだと改めて思うのだった。富豪が好いてくれるように、傭兵もまた、富豪を好いてやまないのだと。