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ひろっぷ
2016-01-14 22:01:07
1769文字
Public
死神に愛されたのかもしれない
ミンサガ。デス様とアルベルト。冥界大好き。デス様の一人称が曖昧です…。
「?ここはあの時の....冥府?」
『そなた、死んだのか?』
「さぁどうでしょう。死の王よ、あなたなら原因が分かるのではないですか?」
『当の本人が覚えておらぬのなら我は知らん』
「そうですか.....」
『記憶が戻るまで留まればよい』
「え?」
『我は常に一人だ。現世など滅多に行けたものではない。我の話し相手でもして記憶を取り戻せばよかろう』
「は、はぁ」
『して、そなたの名は』
「アルベルトです。貴方は何とお呼びすれば?」
『好きに呼べ。どのような呼び方でも、我は応えてやろう』
※※※※※※※※※
すんすん
『アルベルトよ、それは何だ』
「?何がですか」
すんすん
『顔から、何を出しておるのだ』
「あぁ。これは涙です」
『涙』
「人間は”悲しい”と感じた時、目から涙を零すのです」
すんすん
『して、そなたは今悲しいのだな』
「えぇ」
『悲しいのは何故だ』
「分かりません。ただ、貴方が冥界送りをしているのを見ていたら、止まらなくなりました」
『そうか』
「だからと言って私の前でしない、などと仰らないでください。貴方は冥府の王だ。ただ一人の死人相手に情けはいらないのです」
『そなたが望むのであれば』
あの時涙したのはまた別の理由かもしれない。そう気づいたのは最近の事。彼の王が『そなた』と呼ぶ中で、時おり『アルベルト』と私の名を呼ぶのだ。
嬉しい、と。そう素直に思えた。分かったのだ。死ぬ前、生前しばらくは名前を呼ばれなかった事を。
ただ、それを思い出しただけですべてを取り戻した訳ではない。まだ何か欠けているのは私にも分かった。もう少しここにいられるのだと思い喜ぶ自分に、心が苦笑いしたような気がする。
『アルベルト』
「はい」
私は、この方を-------
※※※※※※※※
「あ」
『どうした』
「あれは....ジャミル」
『知り合いか』
「はい。旅の仲間です」
『あやつはもうすぐ冥界へ行く。言葉を交わすなら待ってやろう』
「ありがとうございます」
「ジャミル」
「?アル!アルじゃねぇか!」
「久しぶり、でいいのかな?」
「こんな所で久しぶりもねぇけどな」
「あはは。何せ冥界だからな」
「お前がここにいるとは思ってなかったわ。悪い事してねぇと思ってたんだけど」
「さぁ。僕にもさっぱりだ」
「さっぱり?」
「死んだ時の記憶が無いみたいなんだ。死んだのか、死にかけなのか、それすらもね」
「........」
「....ジャミル?」
「いいか、ここじゃ遠慮ねぇからハッキリ言わせてもらうけどよ」
「あ、あぁ」
「何かに追いかけられて海に落ちたんだ、お前。イスマス城からな」
「.....な....」
フラッシュバック。暗い夜だった。廊下を一目散に逃げる。目線の先は窓。こんな夜中だ、廊下に人一人いやしない。城門まで走れば兵士一人にでも会うだろう。
だが、だが!兵士では太刀打ち出来ない。そう思うと逃げる先は崖下しかなかった。
声をあげれば犠牲が増える。分かっていた。逃げる逃げる逃げる逃げる。
目先の窓に手をかける。迷いはなかった。最後の足掻きとばかりに、せめて犯人の顔を拝んでからと振り向きつつ落ちようとした。だが、誰も見えなかった。驚いたまま、錯乱したまま、私は深い海に落ちていったのだ。
「まさか....そんな...」
「俺はそん時お前に呼ばれて同じ城にいたからな。変な気配がするなと思って見に行けばその瞬間、さ。俺は何も見えなかったけど、お前は見えてたんじゃねぇの」
「そんな.....何も、なにも
…
」
「デス」
『.......』
「私をここに引き込んだのは貴方ですか?」
『そうだ』
「何故.....!」
『強い意思を宿しているとは思っていた』
「?いきなり何を、」
『生前、そなたと逢った時、力強い目をしていると思った。だが、我を敵ではないと判断した瞬間...目から生気が消えた』
「!」
『我はそれが酷く愛しいと感じた。放っておけばいずれ死んでここへ来ると思ったが、老いればその金色の髪が失われるのはまこと惜しい。なれば今のうちだろうと、な』
「..........ぁ」
『真実を応えてやろう、アルベルトよ』
「やめろ」
『そなたは』
「や、」
『そなたは、死んだのだ』
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