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冬野暉/Hikari Fuyuno
2014-10-14 20:30:18
1525文字
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フレイとリーアン(まとめ)
・フレイ:18歳。のちに一国を興す傭兵。異端の巫女姫。両性具有。
・リーアン:たぶん16歳。元戦場娼婦。フレイの相棒。女装男子。
[こうして嫁は旦那に口説かれた]
「フレイを見た瞬間にさ、ビビッと来たんだよね! 『孕ませたい』って!」
「おまえは笑顔で何を言ってんだ!?」
「え、だって『巫女姫』なんでしょ?」
「だから、できそこないの半端者だって言ってるだろうが! むしろ孕まされたら困るんだよ!」
「えー、なんでー?」
「俺の血筋はあっちゃいけねぇまがいものなんだよ。婆様も母さんも、異能(ちから)に耐えきれなくて骸も残さず死んだんだ」
「ふーん
……
フレイもそうなるってこと?」
「
――
ああ」
「そっかー。じゃあ、やっぱりおれが孕ませないと!」
「おぉいぃぃ!?」
「運命なんてくそっくらえだよ、フレイ」
「
……
あの、なぁ」
「だいたい生まれちゃいけない、あっちゃいけない人間なんているの? だったらおれなんてどうすんの。フレイよりよっぽとたち悪いじゃん」
「リーアンはリーアンだろ」
「おれにとっちゃフレイはフレイだよ」
「
……
」
「もしも運命なんてのがあるんなら、おれは喜んで喧嘩売ってやるね。自分の人生、好きに生きなくてどうするのさ?」
「
――
はは。おまえって、本当に
……
」
「あれれ、泣いてるの? うわ、フレイが泣いてる!?」
「泣いてねぇよ馬鹿!」
「かーわーいーいー!」
「うっせぇ馬鹿!」
[おめでた]
「
……
できちまった」
「へ?」
「こっ、子ども、が!」
「
……
」
「お、おい? リーアン?」
「どうしよう、フレイ。おれ
……
泣きそう」
「
……
っは、もう泣いてるじゃねぇか」
「だっ、だっ、だって! おれの子だろ! おれたちに家族ができるんだろ!?」
「
……
うん、そうだよ」
「ああ、もう、なんて言えばいいの? 『ありがとう』? 『元気な子を産んでくれ』? フレイ、おれ、どうすればいいの?」
「とりあえず洟拭け。きったねぇ」
「うう~」
「
――
あの、さ」
「うん?」
「今更っちゃ今更なんだけど
……
産んでも、いいか?」
「は?」
「そんな怖い顔するなって。おまえを疑ってるわけじゃないよ。
……
たださ、もしかしたら、俺みたいな男でも女でもない中途半端な子どもが産まれるかもしれないし
……
女の子だったら、確実に
――
」
「フレイは、産みたくないの?」
「
……
そんなわけ、あるはずないだろ」
「
……
ごめん」
「俺のほうこそ、悪い。
……
本当は、怖いんだ。この子を産みたい。けど、もしも俺と同じ苦しみを味わう人生だとしたら
……
そう考えると、すごく怖くなる」
「
……
」
「俺さ、なんでこんな風に生まれたんだって恨めしかった。自分に生まれたことが苦しかった。
でもさ、おまえと出会って、こんな俺に惚れたなんて言いやがって
……
おまえを好きになって、この子ができて、ああ、生きててよかった、生まれてきてよかったって思ったんだよ。
……
『たった一度の人生なんだから、強欲に楽しまなくっちゃ損だ』っておまえ言ったよな?」
「うん」
「俺、わがまま言うぞ。
――
この子を産みたい。おまえと一緒に育てたい。この子を愛して、幸せにしてやりたい」
「
……
うん。おれも。早くおれたちの子に会いたい。顔が見たい。声が聞きたい。抱き締めたい。
……
名前を、つけて、呼んであげたい」
「ああ」
「だから、フレイ
……
産んでほしい」
「おう、任せとけ」
「
……
はは、おれのかみさんってば頼もしー」
「俺の亭主も頼もしいよ。おまえが一緒にいてくれるなら、怖くなんてないさ」
「あのさ、フレイ」
「ん?」
「洟、止まんないかも」
「
……
しょーがねぇ亭主だなぁ」
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