青果
2024-01-02 00:18:23
1822文字
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1st~12th Discovery 短歌(2023)

短歌を作っていたときのもろもろの記録ですが、これは私が作るときにそう考えていたというだけであって、これが正しいというあれこれではないので、読んでくださった方が感じたことが正しいと思ってくれるとうれしいです。

◆1st Discovery
ひぐらしの真似も忘れた東京に名人来たりて快哉ならす
冒頭から、あまり言うことがありません。
ひぐらしだったのは、夏の終わりだったから、のつもりでした。

◆2nd Discovery
ここまでにたったひとつの歌もなく明日の昴が踊りに誘う
これもあまり言えることがありません。
シンプルに、失ったものを取り戻した希望らしい歌になってよかったと思っています。

◆3rd Discovery
まぼろしの母のまぶたは星になり 地球を止めるため穿つ穴
地球を止めるのは、動きが止まれば見える夜空が一定になり、ずっと同じ星を見ていられるから、のつもりでした。
けれども実際にそんなことはできない、というところまで歌らしくなっていたらいいなと思います。

◆4th Discovery
幾千の花も摘み取る野分雲 終点に積む万の花片
すごく良く考えて、天つ風 雲の通ひ路・・・の歌の遠縁ぽくて気に入っています。

◆5th Discovery
「ぼくは天使」と知らないときにも日々の食事は天使と食べた
気に入り歌トップクラスです。
タイゾーちゃん回ぽくできました。

◆6th Discovery
気になるも気にならないも水に溶け 焦がれたものだけ網目に詰まる
ド直球の真里野の歌! にできたと思っています。
水エリアと絡められてうれしいです。

◆7th Discovery
校庭のすみで見つけた抜け殻とBB弾を掴んで走る
BB弾はともかく、抜け殻は何の抜け殻であったとしても「掴んで走」ったらボロボロになってしまう、というつもりで作りました。
なんでもないからひとには話しにくいけど、でも個人的に思い出に残っているワンシーンのようなイメージでした。

◆8th Discovery
真夜中にひとりでに立つ霜柱 さみしいときはまっしろであれ
「ひとり」の印象が強い歌にできたと思います。気に入っています。

◆9th Discovery
ライオンもブリキもカカシもルビーの靴も何もなくてもうちに帰れる?
オズの魔法使いを前提にしています。
ブリキは「ブリキのきこり」だったのであって「ブリキ」ではないのではないか・・・と後から気づきましたが、引っかからずに伝わりはすると思うのでOKとさせてください。

◆10th Discovery
まどろみのおまえに布団をかけるとき隣の世界の息吹が止まる
「まどろみのおまえ」は神鳳妹のつもりでした(なので「布団をかける」の世話のようなイメージがつく)。
ですが、このジャンルとして思うと「まどろみ」とすると導かれるのは皆守になるので、そこが反省点です。

◆11th Discovery
暁に凍る池でもいくたびの夜を越したら蛙も笑う
シンプルに11thぽくできたと思っています。
ファントムの要素は2022にいれられたので、今年は本人フォーカスとできてよかったです。

◆12th Discovery
両方の手に組んでいたつむぎ糸 代われないなら奪ってあげる
「つむぎ糸」は二重らせんということで(?)DNA比喩のつもりでしたが、ちょっときざっぽすぎるかもしれないです。

◆Last Discovery
美しい命美しい命美しい命真っ平らの地

巷でのこのごろ流行りの問答歌 なんでと問えばなんでと答える

追放の理由は光っていないから煤をまとって炉端の炭は白く

されど君、ここにあるのが明日なり ここ ここを見て ここに 確かに

オリオンの三つの星には見えていた この先は快速列車は停まらない駅

明日はきっと大いなる意思が未来を決める 君の背中に星が浮いてる

皆守の歌です。
「オリオンの~」は、エピローグの葉佩との別れの示唆のつもりでした。
皆守はこれから各駅停車でひとつひとつ拾い直して進んでいくことになるけれど、葉佩は快速列車、を意識していました。
ですが、いつか同じ駅に止まります。

「明日はきっと~」は、人間離れした「大いなる意思」が運命を決めるように「未来を決める」かもしれないけれど、
「君の背中」には「星」があり、じゅうぶんに「未来を決める」大いなるものになっていける、というつもりで作りましたが、
31文字では伝えるのに不備があったかもしれません。


お付き合いいただいてありがとうございました。今年も三ヶ月ずっと短歌で併走できてうれしかったです。