青果
2022-12-24 13:09:11
2543文字
Public
 

1st~12th Discovery 短歌(2022)


短歌を作っていたときのもろもろの記録ですが、これは私が作るときにそう考えていたというだけであって、これが正しいというあれこれではないので、読んでくださった方が感じたことが正しいと思ってくれるとうれしいです。

------------------------------------------------

◆1st Discovery
まどろみを切り裂く夜が聞こえてた おめでたい女の先導付きで
皆守の歌です。
遺跡に入らない、または遺跡から離した歌のときは現代仮名遣いにしました。

◆2nd Discovery
土の戸の隙間に月を眺めつつ 影濃くなりぬ天地開闢
神産巣日の歌です。
九龍の二次創作短歌らしくなって、始まりの気配がしてお気に入りです。

◆3rd Discovery
散らばって炎のちに灰 つきまとふ陰に昔のけはひを感ず
リカと皆守の歌です。
人を亡くしたときの流れとして、散らばり→炎→灰 としました。
最初に散らばるのは死の瞬間の比喩のつもりでしたが、個人的な印象すぎて伝わりにくかったかもしれないです。
「けはひ」を「気配」としなかったのは、「気配」とすると悪いイメージ(暗殺者とか(?))があるような気がして……(?)

◆4th Discovery
ひとりではしないことをす 雁が音のしみるスチール缶の重さや
皆守が缶コーヒーくれるときの歌です。
「雁が音」で秋の季語です(短歌なのでアレですが)。
ここでホット緑茶ではなく缶コーヒーなのは、あの状況で皆守が「寝てはいけない」と思ったことの表れだと思っているので、二人分買ってくれたことが嬉しかったことも合わせて「ひとりではしないことをす」にしました。
この見回りが皆守自身のためのものだったら、彼はカフェインを必要ともせず、眠くなったら終いでいいやの投げやり姿勢だっただろうな、みたいなあれのあれです。

◆5th Discovery
ひっそりと立ちて空の椀を持つ漆に汝の顔が映りぬ
タイゾーちゃんと皆守の歌です。
人にものを求めている、その求めるものには自分が投影されている、みたいなあれで作りました。
「汝」は入れられたのに「隣」をうまく組み込めなかったのが悔しいですが、これはこれでよかったと思います。

◆6th Discovery
太刀筋の二心なきこそかなしけれ 今宵の玉兎はよく跳ねて ああ
真里野の歌です!
「二心」はほかの単語にするか考えましたが、七瀬葉佩が疑似「二心」状態であることの対で面白いかなと思って、真里野のことは「二心なき」にしました。
これは蛇足かもですが、玉兎は月のあれこれです。ボスを組み込めたのは神産巣日ぶりなのでよかったです。

◆7th Discovery
町裏の野に羽広げ白雉鳴く 鳴いてくれるな撃たねばならぬ
墨木と皆守の歌です。
町裏なのは墓地だからで、白雉は古代日本の年号と吉祥の象徴のつもりで葉佩の示唆として、7thエリアと関連させて入れました。

◆8th Discovery
語り継ぐ者なき友の武勇伝 われ 霜になるまで、ここに
トトと皆守の歌です。
友(葉佩)の武勇伝を語り継ぐ者がいないのは、自分たちが斃して止めてしまうから、というつもりで作りました。

◆9th Discovery
いはれなき血潮に浸る幻のはらからを見る我のひとり寝
双樹と皆守の歌です。
はらからが幻なのは、双樹は一人っ子のひとり寝だったからで、皆守ははらからと呼びたい相手を斃す覚悟をしなければならなかったからというあれこれのつもりでした。

◆10th Discovery
熊野路に待ち人来たりて磨く矢のへりに黄金の眠りが映りぬ
神鳳の歌です。
いま気づきましたけど、5thとかぶっていますね。「映りぬ」が好きです。
熊野の路はゲーム本編中で10thエリアにあって、死と再生の地でふさわしかったので最初に入れました。

◆11th Discovery
遠くより来たりし友よ まなかいに立っては見えぬ顔も名前も
夷澤と皆守の歌です。
夷澤の名前を呼ぶシーンが好きです。夷澤にとってのファントムはいまいましかったかもしれませんが、つかの間を共に過ごした魂なので複雑な心持ちだろうなと思います。
皆守の歌としては、目の前に来たと思うほど近くにいたとしても、「友」であることが分かっている限り名前は分かるはずだろ、という矛盾のあれこれのつもりであれこれしました。

◆12th Discovery
焦げ付きの灰がなかなか取れぬとて 皮をかぶれば灰も笑窪よ
喪部と皆守の歌です! 気に入っています!

◆Last Discovery
花もいざ秘すれば枯れるのみと知る 茎から摘みて我が燃やさむ
皆守の歌です。
どうせ枯れていくものだから自分で燃やす、という歌ですが、結局皆守には「根から」燃やす覚悟は苦しいだろうな、という「茎から」のつもりで作りました。

この身ごと埋めたる土の腥さ 掘り起こす爪先われの肺を抉りぬ
皆守の歌です。
「肺」なのはアロマを「吸う」からのつもりでした。あと、好きな臓器です。

手を放すこの瞬間をずっと夢に見て俺はずっとこの瞬間の瞬間をずっと夢にずっと
皆守の歌です。
「夢を見る」というと明るいイメージがあると思われますが、うなされている感じにしたくて単語を繰り返しにしました。
「手を離す」ではないのは、皆守は「離し」たかったわけではなく、あくまでも「放す」つもりだっただろうなみたいなあれで「放す」にしました。

ひとりでは三文稼げぬ六文乞いよ おれが毎朝稼がせてやる
葉佩の歌です。
最後は葉佩の歌で締めたかったのでよかったです。
これは蛇足かもですが、三文は「早起きは三文の徳」、六文は「六文銭(副葬品)」です。
九龍妖魔學園紀をプレイしていなければ、皆守が「ひとりでは三文稼げない」ことも、この「六文乞い」が皆守を指していることも分からない歌なので、二次創作短歌としてお気に入りです。


お付き合いいただいてありがとうございました。
詩的な言い回しの多いジャンルだと思っているので、三ヶ月ずっと短歌で併走できてうれしかったです。