アリサリア
2015-03-12 21:27:10
7134文字
Public とうらぶ
 

【とうらぶ:設定+小話】全ては泡沫の夢の中


※注意書き
・最後ちらっと主<鶴
・それ以外は我が家式とうらぶ世界観的なヤツ
・割と設定まとまってない
・でも全部の話はこれ前提

+++++




【全ては泡沫の夢の中】

人の願いや思想。生きているうちに見えている世界なんていうのは、どれもがしゃぼん玉のようなものだ。刹那を生きる人間達はその儚さをもって生きている。それは俺達神々には良く分からない事であり、道具でしかない俺達には儚さなんてものを理解しろといわれても困るものだった。何せ、モノでしかなかったからな。主人に扱われ、そうでなければ長い長い退屈にさいなまれる。
神でもあり化け物でもある俺達付喪神にとっちゃ、使われているうちが華であり、使われなければいても仕方がないものなのさ。

さて、さっき世界はしゃぼん玉みたいなものだと言ったな。これには少しばかり続きがあってな。
しゃぼん玉の中には空気なんてもんじゃなく、色々な夢が詰まってるんだ。その中に入っている夢は、そのしゃぼん玉を作った連中によって変化する。勿論夢といっても幸せなものばかりじゃあない。不幸なものだってたくさんある。
そして神々はその夢を渡って現世を楽しむのさ。誰が言ったか『夢渡り』を神々は娯楽とした。たとえ渡った先が不幸だとしても。

ここに今、いくつかの夢が漂っている。そうだな、君が分かるようにいえば俺達付喪神が歴史改変を目論む連中と戦っている夢だ。勿論この中には俺も顕現し、審神者を名乗る人間達に手を貸している。まぁこれを書いている俺もまたその一口なのだがな。

じゃあその一つの夢この文章を書いている俺の居る夢についてちょいとばかし説明させてもらおう。

この夢の中において審神者というのは数種類に分類される。一番最初に審神者と呼ばれたのは軍人達特に陸軍人だった。ここで言う彼らは高い霊力を持った昔から影で生きてきた人間達だ。戦争なんてもんの後も、彼らはひっそりと生き延びてきたそうだ。そしてこの時代になってようやく陽の下に出てこれたってわけだ。だが敵方の審神者も数が増していってな。陸に飽き足らず海の連中にも応援要請したがダメだった。そこで政府は次の手を講じる。
次に出てきたのは一般出身の、中でも宗教に関係した職についていた連中だな。だが実を言えば、これはある意味遅すぎたんだ。何せ、敵方の審神者の殆どがこの宗教関連職出身だったからだ。神の言葉を聞いて行動する彼らが、神の意思に反する真似など出来ないだろう?だから殆どの力のある霊力の高い連中は姿を消していたんだ。勿論何人か霊力の高い連中は残ってたさ。だが集まったのはほんの少しだけ。下手すりゃ軍人連中よりもずっと少ない。だから政府は最後の策を講じたんだ。
最後の策まぁ、人によっては察しが付いたと思うが、一般人から霊力の高い連中から順番に審神者として選んだんだ。いや、一般人だけじゃない。適正が認められれば動物や妖魔の中からも審神者が選ばれた。もうなりふり構ってられなかったんだろうな、政府のお上さんも。
審神者には高い霊力だけでなく、俺達付喪神を現世に顕現させられる力も必要だ。単に高い霊力をもつだけじゃあ審神者には選ばれない。それがある意味ネックだったんだろうな。なのに一般人の審神者を呼ぶ前からちらほらと敵方に寝返る審神者もいたからな慢性的な審神者不足なんていわれちまってたよ。
だから政府も考えたんだな。一番最初のマジモン一般出身に対して、“永遠の命をえる代わりに永遠に戦場に身を置くか?”なんて問いかけてさ。良く分かってない状況で、しかも政府のお役人さんがやってきて、そんな事言われてみろよ。流れに任せて「はい」としか言えねぇだろ?ま、そんなこんなで一般出身連中の大部分が不老不死を得た。

だがこの不老不死もちょいとクセがあってな。八歳以上でないと意味がない。ほら、七歳までは神様の子供ってよく言うんだろう?それはまだ肉体に対して魂が追いついてないから、簡単に魂の形を変化させられるからだ。
俺達付喪神と人間達に共通して言える事があってな。それは器が先にあって、後から魂意思が宿るってことなんだ。胎児となり、心の臓が動き始めた頃に魂が肉体に宿るらしい。それから八年かけて肉体と同じ姿に魂が変化していくんだ。まぁ、言うなればそれ以前までは水みたいなものってことだな。水だから一度器から切り離すと魂が形を失うんだ。
ところで君たちの中にはどうして魂の形と不老不死が関係あるのか、疑問に思う連中もいるだろう。それを今から説明しよう。

不老不死、というよりは亡霊化・幽霊化と言った方が本来ならばいいのかもしれない。そう、生きているようで死んでいる。
死んだ際に肉体から切り離された魂は、最初に選んだ付喪神もしくは、本人の望んだ付喪神に導かれて本丸のある異空間へと導かれる。
勿論肉体がないんだ。現世へ帰ることなんてできやしない。だから殆どの場合は遺書を書くことになっているらしい。まぁ当然か。
ちなみにこの時に手を引いていった審神者の望んだ付喪神というのは、審神者と妙な関係でつながれるんだ。審神者は誰が自分を本丸へ連れて行ったか忘れたが付喪神の方は覚えている。これについては追々話すとして、今は審神者についてだったな。
勿論命のやり取りをするからな。審神者側から政府側へ要求を出す事もある。俺の主だったら、家族の面倒を見てくれというものだし、主の友人であれば初期刀と初めて遭遇する太刀は全員少女の姿でとか言う良くわからない願いだったそうだ。
こうして恒久的に活躍できる審神者を、政府は何人何十人と確保できたわけだな。一応やめることはできるらしい。そのときは普通に成仏させるのだろう。実際の現場を見たことがないからなんとも言えないがな。
だが不老不死化による問題点は山のように残っている。

その一つがブラック本丸だな。これは出るべくして出てしまった連中だな。
軍人や初期の宗教出身連中は特殊な機械を体に埋め込む事で本丸と現世を行き来しているという。だから彼らは生きているし、前者は事前の教育によって、後者は幼少期から神々の恐ろしさを知っているから祟られない様にとたとえ審神者になる前は酷い人物であったと言われていても、付喪神にひどいことをするわけがない。
だが永遠と引き換えに審神者になった一般連中は違う。祟られようがのろわれようが、その媒体となる肉体がない彼らはそういったものを恐れない。故に付喪神たちに対して酷い行いを簡単に行う。だがその分の戦果が出る。
政府としても若干頭を悩ませたようだが結局は無視する方向に決まった。何せ俺達付喪神だって、天上にその御魂があればいつでも呼び出せるからな。分霊、という形ではあるが。だから政府のお上さん方も俺達を消耗品として扱いだしたんだろうな。嘆かわしい話ではあるが神である以前に俺達はモノだったからな。仕方がないといえば仕方がないか。
ちなみにある事件をきっかけに、この永遠を与えられても文字通り“死ぬ”可能性が出てきたんだがそれはまた別の機会に話そう。

さて、他には何を話しておこうか。そうだな、敵さんについて話しておくか。
ご存知、俺達『政府軍』の敵は歴史を己の望むがままに改変を目論む『歴史修正主義者』を名乗る連中だ。こいつらの話に関しては憶測の域を出ないんだが最初の連中は付喪神が主体だったらしい。特定の名と姿を捨て、鬼へと身を転じる事で壮大な力を手にする。それが軍人達や宗教連中が対峙していた歴史修正主義者の姿だった。
だがある日を境に、敵方にこちら側の付喪神の姿を残したまま鬼へと堕ちたものが現れ始めたんだ。彼らはそん所そこらの鬼連中よりもずっと強い力を持っていた。そりゃそうだよな、完全な鬼じゃなくて神の姿を残したままだったからな。俺も映像でだが一度見たことがある。一見しただけで分かる違いと言えば、額に生える二本の角ぐらいで後はほぼ俺達同じ姿だった。そしてそこからようやく分かったんだ。敵方にも審神者がいて、それらが行方不明になっていた宗教出身だったってな。
そして連中は更に向こうへと進んでいてな。“夢渡り”を利用して、霊力の高い連中を先手を打って味方に引き入れていたんだ。助けてほしい、苦しいんだと声をかけ、その霊力を利用して過去に顕現する。
審神者としての力を勝手に利用し、勝手に過去を変えるべく力を揮い、そして勝手に審神者を巻き込む。それが初期の連中だった。
勿論今じゃ普通に人間達の方が歴史修正主義者として活躍している。過去を変えたいと思うのは一度や二度じゃないからな。それが遠い昔の記憶だったり、自分が好きになった者のためだったりは個人差があるがな。

敵方の審神者についても少しばかり話すか。連中は一言で言えば、人間をやめた連中だ。いや、初期の頃にいたのはちゃんとした勝手に力を使われたり自ら使われにいった人間だが。
捕まったやつ曰く、自分達が人間でなくなったのは戦国時代に初めて踏み入った頃だという。なんでもその時代はいろいろな人が死に、いろいろな人の願いが潰えた時代でもあるからな。群雄割拠は伊達じゃないってな。
だからそういった怨念が作用しちまったんだな。「歴史を変えてくれ」という怨霊達の願いが、歴史修正主義者達の願いと共鳴した結果の暴走だ。結果、連中は人間じゃなくなったそうだ。噂じゃ何かしらのあやかしとなったらしいが普通は自分が何になったかなんてワカラナイもんだよな。捕まったやつも、自分がなんの妖怪なのか知らないみたいだった。

そんなこんなで、あっちもこっちも人間辞めた連中が審神者やってるわけだから戦いに終わりが見えてこない。終わるとしたら今いる修正主義者を全員とっ捕まえるしかないだろうな。勿論そんな事は不可能に近い。
何せこちら側の審神者は神隠しにあっていなくなったり、殺されたりで居なくなっちまうからな。あちらさんは付喪神が自由にできるがこっちはそうじゃない。まぁ、使役される側のストレスの具合を考えれば当然な話だよな、総数の増減具合はさ。

今、神隠しの話が出たから話すとするか。基本的に神隠しの起こる可能性は低い。何せ審神者は基本、付喪神に生来与えられ、審神者になる前まで使用していた名前を名乗らないからな。あちらさんは知らないが、こちらではとにかくそうだ。ばれれば神隠しに会う。ややこしい話で申し訳ないが、呪いやたたりは肉体に作用するが、神隠しというのは魂に作用するものなんだ。名前はその魂が冥府で裁きを受けるまで使用される、強力すぎる言霊だからな。
え?末代まで呪ってやるとか来世でも苦しむ呪いとかあるだろって?あーそれはな呪われたときに発生する穢れが魂にひっついてるだけだ。穢れの話はまた後でするとして、今は神隠しの話だ。
神隠しには二種類ある。一つは前述した名前を知られる事でっていうものだ。神は気紛れだからな。気に入ったら天上にある自分の神域にお持ち帰りーなんて日常茶飯事珍しくともなんともない。だからこそ人間達は細心の注意を払って名を教えないようにする。
もう一つの神隠しは、審神者の知らぬ間に付喪神が神気を注ぎ込む事だ。いや、受け入れてもらうというかな。
審神者のもつ霊力というのは、俺達の媒体としての体あー、と。刀の方を修復するときに用いられる。資材と霊力がそろって、俺達は始めて修復されるんだ。まぁそれと似たようなもんでな、審神者を神にするために付喪神は自らの神気を注ぎ込むんだ。自分の体液を飲ませたり、ただくっつくだけで分け与える事ことが多いかな。
ちなみにこの方法を行うときには少しだけ注意が必要だ。まず相手が生きた審神者の場合だ。この時は慎重に行わなければならない。人間達の霊力は波長があえば極上の甘露というほどでな。俺達にとっては普通の甘味なんだ。だが俺達の神気は人間にとっては薬みたいなものでな。多すぎれば毒となり死んでしまう。それで死に、本丸に取り憑いた審神者も過去にはいる。だから俺達は少しずつ注意して行わなければならない。
もう一つの注意はまぁ、霊体連中の話だな。こっちは死ぬことはないが、最悪の場合神気が注がれている事がバレちまう事がある。審神者自身がいいと思っても、人不足になるのは御免被るお上さんは態々神気を取り除かせたうえで神気を注いだ付喪神を刀解してしまうのだ。見せしめのためにな。
唯一の救いは、それが親告罪ってやつってことだな。政府連中がよこす式神であるこんのすけが納得すれば、政府に隠れて神気を満たすことが出来る。
神気が満ちれば審神者も神へと変ずる。そうなった場合、神気を注いだ付喪神の神域へ、本丸ごと移動するらしい。俺の世話になっている本丸も、いつかそうなるかもしれない。あ、これは関係ないか。

さて、ここまで長々と話してきたが最後は本丸について話そうか。
俺達の暮らす本丸は異次元に存在している。何せ俺達は時間を飛ぶんだ。普通の方法普通の場所じゃあ出来ない。できるのは政府関係施設と各本丸にある門だけだ。ちなみに入り口の辺りに座標だなんだのを設定するための機器が埋め込まれているらしいが俺は見たことがない。おそらく審神者が遠隔操作して設定してるんだろうな。ちなみにこの門から現世や他の本丸にもお邪魔できる。
本丸の見た目についてだが、そこらへんは審神者の裁量に任されるな。大きな城だったり、ただの屋敷だったり人によっては自分は小屋暮らしで付喪神はお屋敷住まいとかそんなのもいるらしい。
まぁ共通事項として挙げられるのが、そこには主たる審神者の霊力とそこに住まう付喪神の神気が満ちているという事だろうな。そんな神聖な気が満ち満ちな本丸ではあるが、実はこの気によってその本丸の主がどんな人物であるかを判断する事ができるらしい。まぁ、一言で言えば穢れ具合で判明すると言ったところだな。
穢れにも種類があるがまぁ、基本的には悪いものであることは分かってもらえると思う。そんな悪いものはどこから発生するのか。
勿論過去の戦場へ赴く事で引っ付いてくるものもあるが、大抵の場合は手入れや入浴で穢れは落ちる。だがもしそうでなければどうなるだろう。
溜まりに溜まった穢れが本丸の気を侵蝕し始める。その影響で土は痩せ、空も曇り、そして空気も悪くなる。そうなればブラック本丸として報告されるのも時間の問題だ。まぁ、そうだと報告されても表立っては対処できないのが現状だがな。だから相手に寝返る付喪神も増えているといい加減、上はしったほうがいい。もっと言えば、穢れは人としての肉体だけじゃなく、神としての精神まで汚染するからな。厄介なもんだぜ
それは置いといて、じつはこの本丸があるという異次元空間なんと、敵方の審神者も利用しているという。驚いたか?いやまぁ、少しばかり予想は出来ただろうが。
まぁ連中の中にはこちらから寝返ったものもいるから仕方がないとはいえ、共有した空間にいるのだから少しは捕まってもいいんじゃないかと思う。勿論なぜか空間座標が一致しないように仕向けられているため出会うことはないのだがな。まったく、驚きに欠けるぜ

この夢についてはあらかたは書き終わったかな。
まぁ、これは俺自身が頭の中を整理するために書いたようなもんだ。退屈は鶴を殺すぜ。退屈反対。
誰かに伝えるとか、そういう訳じゃないが頭の中を整理することは大切だと思う。うん、大切だな。
さてさてと文末を締めくくってと。

*

全てを書き終えた後、鶴丸国永は紙の束を持って庭へ出た。

「よぉ主。何してんだ」
「見ての通り。短刀たちの為に焼き芋を」
「ならこの紙も使ってくれよ」
「?あぁ、いいぞ。色々書いてあるけどいいのか?」
「あぁかまわねぇよ」

そう笑みを浮かべながら言えば、彼の主たる青年は「そうか」とだけ答えてそれを火にくべた。ぱちぱちと燃えていくそれを見ながら鶴丸は青年に問いかける。

「なぁ主」
「なんだ」

火の方ばかり見ている青年。

「君は、もし、神に気に入られたらどうする?」
「え」

その問いかけは青年にとっては驚くものだった。いや、普通に考えて驚かざるを得ない問いかけだっただろう。思わず彼は鶴丸の方を向いた。

「そうだなぁ」

どう答えるべきか迷っている彼の視線が泳いでいる。そして一つ答えを見つけたのだろう。彼は答えた。

「それが神の意思なら、受け入れるかな。まぁ、現状なら皆と一緒に天上に行けるならそれでいいやって思うよ」
「そう、か」

青年の言葉にどうという反応を示すことなく鶴丸は自室へと戻っていった。ただ頭の中を埋め尽くす言葉が露呈しないように、顔を俯かせながら。

先ほど書いた中で、自分に唯一当てはまる事項があった。
主が命と引き換えに本丸へ来る。その際に青年を導いたのが鶴丸だったのだ。しかし当の青年は覚えていないし、それどころかある付喪神に対して恋慕の情を抱いているのだ。それも自分が仕掛けた悪戯で、女性体としての肉体を得たかの名刀自身と繋がりのある者に。

(君は、俺が言っても受け入れてくれないが、あいつが言えば受け入れるんだろう?)

部屋の中で鶴丸は静かにうずくまった。苦しい、苦しい。胸が苦しい。
その苦しさの末に、ある事件がおこるのだがそれはまた別の物語である。

<了>