さちこ/Sharia
2023-12-31 19:11:35
1115文字
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ある朝の出会い

エオ学パロ

括り癖の残った紫髪が、朝日を透かしキラキラと輝く。
路地裏の陰鬱な雰囲気を拭うかのように、神々しく差し込んだ光が彼女を照らす。
己を守り傷だらけになった女性を見上げ、少年はポカンと口を開きっぱなしにする。

足元に散乱する、少年を襲わんとした不良たちの体。僅かに上下する胸のおかげで、かろうじて死んではいないことがわかる。
彼らが持っていたナイフや鉄パイプは総じて女性のローファーによって踏み抜かれ粉々に砕け散っており、折れたナイフのカケラがアスファルトに散らばり光を反射していた。

「きみ、怪我はない?」

安心させるような微笑みと共に、強気で何処か格好いい、されど柔らかで澄んだ声が少年の長耳を襲う。
向けられたアメジストの瞳は逆光の中やけに美しく見え、少年は顔に血液が集まるのを感じた。
垂れた鼻血を親指でぐ、と拭い、女性はまだ血濡れが少ない方の手をスッと少年の前へと差し出した。
その手を握り立ち上がったところで、彼女がふと口を開く。

「その制服、エオ学の光組ね。ダメよ、こんな治安悪いとこに来ちゃ」
……わ、私だって用事がなければこんな場所、」

かろうじて絞り出した言い訳も彼女のデコピンで全てが無に帰る。考えていたことが全部衝撃で飛んでいってしまった感覚だ。

「言い訳無用! ほら、もう行かないと遅刻するんじゃない?」
「〜〜〜っ……! 失礼する!!」

促されズンズンと路地裏から脱出した少年の脳裏に、彼女の姿が再生される。
濃紺のジャンパースカートは確か公立のシャーレアン高校のものではなかったか。特徴的なミントグリーンのリボンは、その中でも実技がメインとなるグリーナー科の証だ。

あぁ、礼を言い忘れた。名前も聞けていない。そんな後悔がぐるぐると渦巻く中、自分一人でも切り抜けられたとやたら高いプライドが懺悔を邪魔する。
そもそもなぜ彼女があんなに喧嘩慣れをして、あの時間から路地裏に居たのか。制服だってきっちり着用して、とても不良には見えなかったが、果たして。
いつのまにかたどり着いていた校門の前で少年が考え込んでいると、耳によく馴染む片割れの声が少年の鼓膜を揺らした。

「アルフィノ、もう用事終わったの?」
「アリゼー……あぁ、一応ね」

顔のよく似た少女に少年は頷き、肯定の言葉を返す。
手元に鎮座する小さな手帳。その新しいページに書かれた、一文の言葉。

光の戦士を探して欲しい。

たったそれだけ。探し人の人相も、特徴も、何一つ知らされていない。光の戦士という称号のみを頼りに、少年は人を一人、探さねばならない。

それが、この学園の長────タタル学園長からの、一つの課題だった。