街に警報が鳴り響く。街の住人は自分たちに影響がないと良いのだが思いながら互いの顔を見合わせ、小声で囁き交わす。時折地面を細かな震えが伝わってくる。それは目につかないどこか大地の深いところが、崩れた証だ。
大抵は、地面の中を蟻の巣のように張り巡らされた坑道の一つが崩れただけである。だが時折その影響は地上に及ぶほどに大規模なものになる。他の通路を巻き込んで、弱くなっていた地盤を巻き込み、山の一部が崩落するほどになる。病止まらず、街の一角が巻き込まれて多くの人を巻き込んでしまう。
今回は幸いすぐに収まった。働きに出た連中が街に戻ってくる頃には、被害者も明らかになるだろう。
鉱山労働は過酷だ。すでに燃料は掘り尽くされたし、石炭の価値が下がったこともあり、大昔に廃れた産業のはずだった。しかし、近年新たに見つかった鉱床が、この街のあり方を産業革命時代まで回帰させてしまった。
石炭程度の価値ならば、誰も危険は犯さなかった。
しかしもっと深く岩盤に近いところで見つかったその鉱物は、人類が宇宙に進出するのに不可欠だった。だから、金よりもよほど高額で取引されたのだ。
街は第二のゴールドラッシュに湧いていた。
今はこの街が、宇宙産業の心臓である。ここから掘り出された鉱物こそが、地球を離れた遥か彼方のフロンティアを支えている。一方は空の彼方の更に先を示し、他方は更に深く深く大地の底を目指している。
最新技術は導入されているのだ。かつてなら、これ以上深くに人間が進むのは不可能だった。酸素が足りないし圧力に耐えきれない。
だが今ならば、更に深く潜ることができる。
それでも、地面の下で働く鉱山労働者たちが顔を真っ黒に汚すのは、変わらない。そして大抵の利益は労働者に還元されない。金よりも高い石を掘っている連中があばらやに住んでいるのも、かつてのままだ。
だから街の景観はかつてとまるで変わっていないように見える。
鉱山で事故が起きるたびに、恩恵を受けている人々が自分の縁者が被害に遭っていませんようにと祈りを捧げることも同じだ。
それを吸い上げて開く文明の花の色だけが、違っている。
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