納豆
2022-05-05 20:17:52
3833文字
Public
 

オフ会ネタ

一頁:少年期の不器用なお話
二頁:👑の子守唄と内側に入り込もうとする🐉について

※十二、三歳くらいのまだ仲良くない🐉👑

別に気になってなんかない。
知ったこっちゃあないさ。
俺をべっこべこにへこませるちっちぇ暴君様が何をどうしようとも知ったことか。
だけど、でも、だって。
一緒にされた控室、ベンチに腰掛けた天敵はロトムも入れてない端末を見つめていた。
いつにない穏やかで、そう、なんというか、うん、うぁ、この。
「ふ、ふふ」
愛おしい、という言葉がよく似合う。
横顔は笑みに埋もれてそこにある。
いつにない、だって、いつも俺には顰め面だ。
チャンピオンという立場がそうさせるか、こいつは、ダンデは俺にはにこりとも微笑まない。
無言で隣に無表情。
そんな事ばかりだ。
俺だって、声をかけてくれりゃあちょっとは会話してやるのに。
唇が自然ととんがっていた。
誰だよ、相手、誰なんだよ、お前にそんな顔させるの。
俺には、見せてくれないのに。
別にいいけど、構いやしないけど、でもだけどだって。
いらりと腹を焼くもやつきに俺はぶすくれた。
それからじっとしているのも、何やら腹立たしくて落ち着かない。
だから、子供っぽいと言われても知ったことか。
俺はそそっと近寄り、少しの衝撃にこちらを向かせてやることにした。
決して意地悪なんかじゃない、俺は子供じゃないんだから。
そうやって、どんっと肩をぶつけてやった。
わ、声を上げた華奢な肩の持ち主。
それでも決して離さない端末に眉を顰めた。
「何、誰」
俺との待機時間にいい度胸だ。
短い言葉に滲ませた不満をダンデは目を丸くして受け止めた。
手元がお留守だぜ。
ふんっと鼻を鳴らして端末を取り上げる。
ダンデはまた、あ、と短く声を上げた。
何だよ、そんなにいい相手かよ、俺と喋りもしないでよ。
むっとして見つめた画面、そこにあった姿に目を丸くする。
「キミこそ、なんだ。弟の勇姿だ、返してくれ」
いつもの無表情に戻るダンデ、手元の端末では子供番組に合わせて踊る小さな幼児。
ぽかんとした。
取り返される端末を目線が追いかける。
ダンデはそっと目を伏せた。
「最近会えてないから、送ってくれたんだ」
母さんが、しょぼつく声、それから気付く。
こいつ、別に無表情って訳じゃなかったのか。
多分、俺の隣だと静かなだけだったのだろう。
表情も、行動も静かになるだけだった。
意図して無視されていた訳じゃない。
ふぅん。
それを理解して、俺は少しだけ気分が前を向く。
とすん、今度は柔らか肩をぶつけて画面を一緒に覗き込んだ。
「かわいーね」
短く告げる言葉にお前はぱっと顔を上げた。
その双眸にはきらきら小さな煌めきがある。
ダンデはこくこく頷くとふにゃっと笑った。
笑った、俺の前で、笑った、ダンデが、笑った、のだ。
奥歯を噛み締めて、平静を保った。
ダンデはふやふや笑ってもう一度頷く。
「そうなんだ、ホップって言うんだぜ、あのな、最近ウールーと仲良くなってきてな」
「お、おう、聞いてるからゆっくり話せよ」
家族とポケモンのことになると、随分とおしゃべりになる。
そんな些細な発見が嬉しい、短かな待機時間のことだった。