納豆
2020-05-06 20:29:59
2960文字
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無題

痛みに鈍いダさんをどうにかしたいキさんのお話

生物に、何故痛覚があるのか考えた事はあるか。
俺はある、そして思った。
致命的な傷口に気付くためだ。
生物は生き残るために、痛覚を持つ。
傷口から垂れ流される血液に、入り込む雑菌に、広がる腐敗に、生物は死ぬ。
びっくりするほど簡単に。
だから痛覚を失う事は、死に近づく悍ましさにできている。
何物も恐れない強さなんてない。
だから、英雄ダンデは無敵の存在なんてものじゃない。
あれは、痛覚を失った生物の末路だ。
ダンデは別に強なった訳ではない。
沢山沢山沢山、夥しいほどの肉を裂かれて血を流し傷ついた。
ダンデはその度に痛覚への鈍さを増していく。
少し前までは吐いていた弱音を、吐かなくなった。
少し前までは痛がった傷を、痛がらなくなった。
少し前までは、少し前までは、少し前までは。
少し前までは、ダンデはあんなんじゃあなかったのだ。
どんどんどんどん、変化は止まらなくなっていく。
ダンデの心と体は作り変わった。
英雄に必要のない部品を取り除かれているようだった。
あれもこれもそれもいらない、ほら、無くせば身軽だ、そら行け、英雄ダンデ。
あんなもの、つぎはぎの紛い物だ。
英雄さ、それはもう、ガラル中が求めて止まない英雄像を磨き上げてダンデはあった。
磨き上げる時、磨耗する削り粕は不要の産物だったか。
廃棄物だと、見捨てていいものだったのか。
止めたかった。
でも、お前が望まなかった。
それが俺の生き甲斐だ。
そうとばかりに笑うから、手は届かない。
傷口を塞いでやりたいのに、俺は自分の手をいつだって抑えてきた。
お前望むなら、全て見逃した。
どれだけ傷だらけになったって、どれだけ失っていったって、どれだけぼろぼろになったって。
ハロンタウンの、俺がかつて友達だと笑った先にいたお前が、ダンデが削れていったって我慢した。
お前が止めないでくれと望むから。
いつだって、言い訳をして止めなかった。
止めずにいた、でも、もう。
跳ね橋の上、俺はいた。
悲鳴や轟音が響き渡るナックルシティ、混乱極まる事態を前に急行し対応に追われていた。
全体に指示を出し処理をいくつも終えて、跳ね橋まで飛び出した。
見上げたナックルジムのてっぺんに、それはある。
真っ黒な殻の奥、恐怖を煮詰めて流し込んだ肢体をくねらせる毒龍、終焉が形を成して空を覆う。
身震いが止まらない。
奥歯ががたがたと噛み合わない。
無理矢理叱咤に太ももを殴る。
痛い、けど、これで少し落ち着いた。
深く息を吸い込み吐き出した。
大丈夫だ、どうにかする、なるではなくするのだ。
ここを守る立場にある、それならやる事は突き通す。
情報を集めている間、お前は現れてしまう。
「キバナ」
今は、見たくなかった。
英雄がここにいる。
それは、俺にとって、最悪の筋書き。
青褪めそうになる俺の前、駆け寄るダンデが止まるわけがない。
ダンデは、当たり前の顔をして空を見上げる。
そして告げる、いつも通りに。
聞きたくなんて、なかった。
「いってくる」
英雄が、一人で死ぬのが世界の理だったのだろうか。
それなら、俺はそんなもの。
反射で伸ばした手は、ダンデの手首を掴む。
止めたかった。
ただ、それだけだった。
昔のままのダンデでいて欲しかった。
きっと情けない顔をしていた。
くしゃくしゃに潰れた面、視界も少し歪んでしまって、薄い水の膜に覆われた。
お願いだ、駄目だ、こればかりは、お願いだから。
願いは虚しいものだ。
ダンデは俺を見上げて、困ったように微笑む。
「キバナ、許せ」
その言葉に、手を放してしまった。
そんな自分を一生分の後悔に、殺してやりたかったのだ。

みたいなムゲンダイナに一人で向かわせてしまったことを後悔して目が覚めた時にダンデさんにぐずぐず泣いてしまうキバナさんのお話

目が覚めたダンデさん、平気だぜ!って笑うからキバナさん耐えきれなくて号泣してその手をぎちぎちに握りしめるのよね
もう、やなんだよ、オレさま何回見逃した?その度に傷付くお前を何度許した?ダンデ、お願いだから痛みに鈍くならないで、なぁ頼むよ、もうやめて、痛いなら痛いって言って
キバナ、痛くなんてない。俺はちゃんと帰ってきてるだろ。なんで泣くんだ
次も、帰ってきてくれんのかよ
帰ってくるさ、あぁ、目が真っ赤になってしまうぜ
嘘つくな、お前はオレさま達なんてどうでもいいんだ、何が無敵のダンデだ、んなもん捨てちまえ
酷い言われようだな
頼むから、もう、捨てろ、俺はもう、そんなお前を許せない
ぐずぐず泣いて額に手を押し付ける手がぶるぶる震えて必死だからダンデさん困ってしまうのよね
友達でライバルだからここまで思ってくれるのかなって慰めるように肩を撫でたらキバナさん呻くのよね
苦しそうに声漏らして顔上げて、涙やら鼻水やらでぐしゃぐしゃになったキバナさんが酷い有様で苦笑するね
とりあえずタオル差し出したら受け取って顔を整えていくね
キバナさん息をついてタオルを投げて、くいっと顔を寄せるのよね
ぼろりとまた溢れた涙が瞳の青と混ざって不思議な反射するね
息を止めた時、触れた感触は柔く唇を潰したね
離れた熱に唖然としてたら、キバナさんがはーと息を吐いて立ち上がるね
絶句に見上げるしかできないダンデさんにキバナさん悲しい顔して呟くね
人の気もしらねぇで
そのまますたすた出て行かれて、置いてきぼりよ
震える手で口元抑えるダンデさん真っ赤になるね
くっしゃくしゃの顔して呻いて小さく丸まっていってしまうね
おやおや雲行きおかしいね、そういうことかね
ダンデさんかぁあぁっと赤面に呻いちゃうね
しら、ないのは、君だろう
鈍くいようって思ってたのは痛みだけじゃないんだよってところから始まってほしいね!!!!
無敵のダンデはやめたぜ!!!!ほらキバナ!!!!教えてくれよ!!!!俺が何を知らないのか!!!!って不可抗力にチャンピオン降りてしまったから振り切って突撃してくるダンデさんと、泣きすぎて酸欠状態で判断能力鈍りまくりで勢いでちゅーしちゃったの後悔してる最中にどったどた突っ込んでこられて、きゃーーーー!!!!いやーーーーーーーー!!!!ごめんてーーーーーーーー!!!!勘弁してぇーーーーーーーー!!!!って逃げ惑うキバナさんが見たいですね
最終的に腹括って鈍くしてきた痛覚とか、感情についてとか、教えまくって甘やかしまくってほしいし
いやうんもう大丈夫、大丈夫、わかったぜ、キバナ、なぁおい、聞いてるか?????キバナ!!!!大丈夫って言ってるだろ!!!!
って真っ赤っかに茹で茹でされちゃって困り果てて、やめてくれぇ!!!!ってぎゅむっ!!!!っと小さく丸まって白旗降るまでめたくそに可愛がって、もっと困ってダンデって幸せぴっぴに笑っちゃうキバナさんも見たいし、痛みに鈍くてどんなにぼこぼこになってたって気にしなかった男の子が少しの痛みに手を伸ばし、キバナ痛いって言えるようになるまでも見たいし、そんなダンデさんに嬉しそうに頷いて、うんおいでって抱きしめてあげられるようになれたキバナさんのふにゃふにゃヌメラの蕩け顔も是非とも拝見させていただければ恐悦至極ですな