kokokisu
2021-02-11 01:41:13
7709文字
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【ザックラ】Sunshine above the cloud 22


 クラウドは身が震えるほどの失望を自らに覚えていた。頭で何度、彼への謝罪の言葉を紡いでも足りない。自分の身に罰を受けることならいくらでも耐えられる。だが、これだけは。救いを求めるように腕の中に収まった体温を抱き締めた。
 デンゼルを失いたくなかった。それはザックスを失いたくないという気持ちと同じ強さだった。
 どんなことがあってもザックスを愛すると誓った。ザックスのためなら自分の命も惜しくないと思っていた。だが、クラウドはそうしても惜しくないと思える人間がザックス以外にも沢山いた。デンゼルもティファもマリンも、昔の仲間達の全てが彼にとってはそうだった。
 ザックスは自分とは違う。彼には自分だけだと分かっていた。だから、せめて彼に示したかった。彼を一番に想うと。あの時からずっと彼を愛し続けていると。
 どちらかを選ばなくてはならなかったのに、彼から逃げてしまった。彼は裏切られたと思っただろうか。彼ではなく家族を選んだと。自分の愛が失われたと感じただろうか。今でもこんなに愛しているのに。
 どんなに謝っても償えない。選択はやり直すことができない。ザックスの胸に広がる闇を思い、クラウドは走りながら涙を流すしか出来なかった。
 ごめんなさい。家族を捨てられなかった。きっとまた同じ選択を迫られても俺は同じことを繰り返す。命に代えても家族を失いたくない。それでも愛している。あんたを誰よりも愛している。赦さなくてもいいからそれだけは信じてほしい。


 瓦礫の中で立ち尽くしていた男が、何かに引き寄せられるようにしてエッジへ向かって歩き始めた。先ほどまで武器を持って対峙していた相手を振り返りもしない。これまでに在った一連の騒動の全てに一切の興味を失ってしまったかのようだ。後ろ姿からでも、彼が先ほどまでの男とは違う存在になっているのだと分かった。
 男の息遣い、指の動き、足の運び方、全てに途方もない威圧感があった。神というものが存在して、肉を帯びて現れたら、このような気配を纏うのだろうか。
 ザックスはいなくなった。この場にいるのは、星の征服者だ。
 男と同じ空間に立っているというだけでもツォンの足が震えた。恐怖を感じないように訓練されている彼でさえ、怖気を覚えていた。彼は人の手に負える相手ではない。自分たちがまだ生きているのはただの幸運だ。ツォンの生物としての本能が全身に警告を発していた。この場から逃げ出せ、と。
 男が一歩、また一歩と、二人から離れていった。目的地は既に決まっているらしい。恐らく、彼の因縁の相手の元へ向かうのだろう。
 男はミッドガルを去ろうとしていた。彼が街に侵入したら、一般人が巻き込まれる危険がある。身体が竦み判断の遅れるツォンの肩を、レノが強い力で揺さぶった。彼も恐怖を噛み殺すように蒼白な表情で男を見つめていた。切羽詰まった部下を見て、ツォンはようやく身体を動かす方法を思い出した気分だった。
 手にした機器のディスプレイに表示されるデジタルの数字は今も刻一刻と値を変えている。カバーを開き、ツォンは素早くパスコードを入力した。機械が信号を発するまで一拍だけ待っただろうか。神羅の開発した“神の槍”は、タークスの彼らの目と耳が去来を認識した頃には男の身体を貫いていた。
 男は自分の身に起きたことをまだ理解していなかった。予兆もなく何かが現れ、彼の首の根元から心臓を通り、右腿までを一筋に焼いている。男は肺に溜まった血を口から吐き出した。焼けた鉄で作られた槍が身体を貫いたのだと思った。だが身体に突き刺さっているはずのそれには実態がない。首元にも地面にも、そこに槍が刺さっていた形跡しか残っていなかった。
 再び男の身体に槍が突き刺さった。一本、二本、三本と立て続けに槍が襲い掛かってくる。彼の身体中に無数の太い穴が開く。滲み出した血が足から廃材に垂れていき地面の色を変えていく。見えない槍に幾度となく貫かれた男は、膝を付き静かに身体機能を停止していった。
 男が動かなくなったのを確認して、ツォンとレノはようやくまともに呼吸ができるようになった。
 あまりにも呆気ない終わりだった。二人はその兵器の絶対的な威力に舌を巻いた。宇宙開発部門の統括であるパルマーと、神羅の培った科学技術の全てを吸収したアンドロイドが合同で作り出した光学兵器。彼らの専門的な説明はツォンには理解できなかった。実態の見えない兵器を頼っていいのかと不安だったが、威力をこの目で見ると確かに“神の槍”と呼ぶに相応しかった。
 クラウドがザックスを倒せなかった時のために用意していた兵器だった。この星の大気圏外に打ち上げた衛星から、ターゲティングした対象に圧縮した高エネルギーを照射して攻撃する。衛星は星よりも速い速度で公転しているため、ターゲットの位置と攻撃開始の時間は綿密にすり合わせる必要があった。そして一度照射すると、再度エネルギーの充填が完了するまで使えない。だが光の速さで繰り出されるレーザーは避けようのない必中の槍だ。ポジショニングシステムで補足している限り、街中で交戦したとしてもターゲット以外に被害が出ることはほぼない。
 幾本もの光の槍に身体中を貫かれて、一人地面の上で絶命した彼の姿に、ツォンは強い既視感を覚えた。ミッドガルを臨む丘の上、降りしきる雨が血まみれになった彼の身体を洗い流していた。神羅軍が過剰と言っても良いほどの戦力を投入し、生きるためそれに全力で抗った彼。軍も、普通の人間が相手ならあれほど念入りに銃弾を浴びせなかっただろう。そうまでしなければソルジャーである彼は死ななかったのだ。
 ツォンは迷いない足取りで彼の元へと近寄った。光の槍は彼の主要な臓器を殆ど貫いて、焼け焦げさせていた。悲惨な有様だった。彼も、ソルジャーなどにならなければ違った人生を送っていただろうに。ツォンは生前のザックスの人となりを良く知っていた。日陰者の自分とは対照的な陽気さで、目が眩むほど明るい彼の笑顔が脳裏に蘇る。彼はタークスに殺されなければならないような人間ではなかった。
 だがこの男はザックスではない。すっと冷え切った目になったツォンがレノへと短く命令する。
「レノ、ジェノバを回収しろ」
 ひょいと瓦礫を飛び越えながらレノが返事をした。
「はいはい、っと。あの時とは正反対だな」
 ツォンは、雨の中、黒いスーツを血まみれにしながら彼を運んだことを思い出した。タークスの主任という立場にも関わらず、私情に駆られて彼の身柄を保護した。遺体を回収しようとしていたのに、絶命したはずの彼の心臓の音を確かに聞いたのだ。その瞬間、彼を生かしたいと思ってしまった。その判断が現在に至るまで神羅の傷となっている。
 ツォンが悔恨に苦い顔をしていると、レノが妙な声を上げた。何事かとそちらを見やる。黒いスーツ姿の細身の男と、もう一人、大柄な黒髪の男がそこに立っていた。
 全身が総毛立つのを感じた。既に死んだはずの男が生きているというだけではない。まるで、何一つ傷など存在しないかのように直立している。
 光学兵器が焼きつけた傷跡の周りの肉が盛り上がり、炭化した肉を取り込むように包んで、男の身体に開いた穴を全て塞いでしまった。ツォンが状況を理解するまでの間に、男は先ほどまでと何も変わらない様子で瓦礫の中で佇んでいた。人間の治癒能力を超えている。薬品やマテリアの補助があってもここまでの再生は不可能だ。男の傷を癒したのは、ジェノバの再生能力だった。
 目の色を変えたツォンが再び光学兵器のスイッチを押そうとする。だが男は一度の跳躍でツォンの間近に迫ると、彼の手首に手刀を入れて起動装置を取り落とさせた。レノがそれを拾う間もなく、端末は男の踏みつけで破壊される。
「下らない小細工だ」
 聞き覚えのある声だった。目に見えるのはザックスの肉体だが、彼のものではない。低く張りのある、威圧的な声。氷のように冷たい眼差しからは、人を自分と対等な生き物と見なしていないというのが伝わってくる。神羅が生み出した、神羅が持て余した、最強の生物が蘇っていた。
 男の目が透き通る空の色から魔晄の緑に染まっていく。瞳孔は蛇のように縦に割れて、逆立った黒髪が根元から透き通る銀へと色を変えていった。浅黒かった肌は冷たい月を思わせる白さになり、元から恵まれた体躯が更に一回りも骨が伸びて、大人の男のツォンでさえも見上げる長身になる。
 全ての細胞がジェノバの支配下にあるのだとみているだけで分かる。ジェノバの擬態能力は知っていたが、その変化の過程をその目で見たのはツォンも初めてだった。先ほどまで確かにあったザックスという存在が、まるで元の絵に絵具を重ねるようにして、別の人間へと書き換えられていく。
 男の肩から漆黒の片翼が生えた。人を一人包み込んで余りある巨大な翼にまとわれ、男の身体は宙へと浮かび上がる。黒い羽が悠々と拡げられて空を広く覆った。ザックスの肉体を呑み込んで再び世界に顕現したのはセフィロスだ。
「セフィロス……!」
 決して蘇らせてはならない者が蘇ってしまった。世界の支配者である神羅が唯一恐れる男。彼らが今いる魔晄都市ミッドガルを廃墟にしたのは彼だ。彼方の空から呼び出したメテオで生物を根絶やしにして、星のエネルギーであるライフストリームを奪い、彼はこの星の支配者になろうとしていた。そうするだけの力を持っている。運よく世界の滅亡を防げたのは、クラウドがいたからだ。
 セフィロスと対峙して命の危険を覚悟しながら身構えたツォンとレノだが、彼は彼らのことなど見てすらいなかった。崩れ落ちたコンクリートの尖った先端に降り立つと、頭を抑えつけて低く笑っている。神羅に属していた時代でさえも、こんなに楽しそうに笑う彼を見たことはない。
……何を笑っている」
 ようやく彼らの存在に気付いたかのように、セフィロスがそちらを振り向いた。
「お前たちにも礼を言おう。あれの絶望の顔が見られた」
 黒い手袋を嵌めた手を空中に掲げて握り締める。セフィロスという存在の一部になっている長大な刀が現れた。
 武器をみたツォンとレノは、視線も交わさずに呼吸を揃えてセフィロスの元へと襲い掛かった。だが彼らの拳が相手に届く前に、セフィロスは黒翼を羽搏かせて空に舞い上がる。剥き身の刀を手にしたまま、彼は獲物を見つけた鷹のようにエッジへと飛翔して姿を消した。



 いつの間にか眠ってしまっていた。セブンスヘブンでイリーナと話をして、彼女と一緒に店の脇に止めてあったワゴンに向かったことまでは覚えている。車のドアを開けて乗り込もうとしてから今までの記憶がない。気付いたらデンゼルは、診察所のような部屋のベッドの上で横たわっていた。
 ここはどこだろう。何故自分はここに、と考える前に、彼の耳に聞き覚えのある声が届いた。
「すみません、クラウドはん。神羅はもう昔と違う思うてました。まさかルーファウスがこんな形で裏切るなんて……
 クラウドとティファが懇意にしているWROの局長、リーブの声だ。デンゼルは彼の操るぬいぐるみのケット・シーの方が、その主である彼よりも馴染みがあった。
「いや……。彼らはリーブを裏切った訳じゃないのかもしれない」
 暗く神妙な声でそう返すのはクラウドだ。起き上がろうとしていたデンゼルだが、子どもである自分が現れたら彼らが会話を中断する予感がして、そのままベッドの上で息を潜めた。
「裏切ってない?どういう意味よ。折角生きてたのに、またザックスを殺そうとしたんでしょ、神羅は!」
 怒りも露わに声を上げたのはリーブと同じくクラウドたちの仲間で、WROのメンバーであるユフィだ。彼女に応えようと、クラウドは重苦しい声音で話を続けた。
……ザックスは、ジェノバ細胞に支配されかけているんだ。彼はタークスの人質に取られたデンゼルを手に掛けようとした。ジェノバはきっと、神羅だけじゃなくWROにとっても敵だろう」
 強い力で喉を締め上げられたようだった。デンゼルは声を出すこともできなかった。
 ザックスが自分を手に掛けようとした。イリーナが自分を裏切っていた。信じていたものが音を立てて崩れていく。クラウド達と家族になって、もう二度と味わう必要のない痛みだと思っていた。
 デンゼルはジェノバという単語を聞いたこともなかった。だがWROの二人は、クラウドの発したその言葉に過剰な反応を示した。いつも穏やかで優しい二人からは想像のつかない、切羽詰まった声だった。
「ちょっとそれ、どういうこと……!」
「詳しく聞かせて貰えますか、クラウドはん」
 二人に詰め寄られて、クラウドは憔悴しきった様子で語り始めた。
「彼がソルジャーってことは、前に話した通りだ。俺と同じで身体にジェノバ細胞を埋め込まれている。でも彼は俺と違って適正があったからジェノバの支配を逃れていた。……でも、目覚めてからの彼は違ったのかもしれない。彼はここ最近、様子がおかしかったんだ。感情の制御が出来ないと言っていた。自分じゃない何かに身体を支配されているみたいだって」
 デンゼルには彼らの会話が理解できない。絶句する二人に、クラウドはまるで懺悔するように悲痛な声で続けた。
……俺もジェノバに操られたことがあるから、彼の気持ちは嫌というほど分かった。身体の内側に巣食う黒い何かに、自分を乗っ取られていく感覚だ。でも俺は乗り越えることができた。仲間達に支えられて、ちゃんと自分を取り戻せたんだ。だからザックスもジェノバ細胞の支配を克服できると信じていた。彼は、本当は俺よりもずっと強い人だから」
 クラウドがこんなに弱々しく心境を吐露するのをデンゼルは聞いたことがなかった。一緒に暮らす自分達には打ち明けられなかったのだろう。ザックスを、家族である自分達に疑われたくなかったのだ。彼がザックスをどれほど大切に思っていたかが伝わってくる。
 隠れて聞き耳を立てていてもどうにもならない。デンゼルはベッドから起き上がると、パーテーションを回り込んで彼らの前に姿を現した。
「デンゼル!もう大丈夫なの?怪我はなさそうだったけどさ、眩暈とか……
 心配して駆け寄ってくるユフィにデンゼルが笑みを向ける。
「もう大丈夫だよ、ユフィ」
 クラウドは目を覚ましたデンゼルを見て、狼狽しているようだった。ザックスと一緒に居たいがために、家族を危険に晒してしまった。秘密を抱えた後ろめたさを感じているらしかった。
……聞いていたのか」
 クラウドは唇を噛み締めて俯いた。ザックスが自分を殺そうとしたと知ったデンゼルの心の傷はどれほどのものだろう。デンゼルはザックスを慕っていた。ザックスを疑っていなかった。それなのに。
 デンゼルはクラウドの元に歩み寄ると、彼の手を固く握り締めた。
「ザックスのこと、僕は怒ってないよ。でも、クラウドがずっと本当のザックスのことちゃんと話してくれなかったのは悲しい。僕たちのこと信じられなかったの?」
「違う、皆を危険な目に遭わせたくなかった。心配させたくなかったんだ」
「一人で抱え込むなってティファにも言われただろ。クラウド、僕たちは家族だよ」
 家族なら家族のことを受け入れて当然だという口ぶりだった。クラウドは胸が詰まって言葉が出なかった。ずっと姿を眩ませてしまっても、危険な目に遭わせてしまっても、家族の繋がりは切れない。切ろうと思って切れるものではない。彼らとの繋がりを失うことを恐れていた自分が酷く愚かに感じた。
 クラウドは居た堪れなさから視線を伏せた。
「ごめん、デンゼル」
「ティファとマリンにもちゃんと説明したら許してあげるよ」
 口角を上げたデンゼルにつられてクラウドも不器用な笑みを浮かべた。打ち明けた途端に心の重荷が軽くなったように感じた。ティファとマリンにも初めからちゃんと話していたら、彼のように受け入れてくれていたかもしれない。デンゼルを見ているとそう思えた。彼らは家族なのだから。
 二人のやり取りを眺めていたリーブが、はたと気づいたように眉根を寄せた。
「ザックスさん……いや、ジェノバはその後どうなったんですか」
 リーブの険しい目つきにクラウドも視線を鋭くする。
……ジェノバと呼ばないでくれ。彼はザックスだ」
「クラウドがまだザックスって呼びたいなら止めないよ。でもそいつはデンゼルを襲ったんでしょ。ティファとマリンは大丈夫なの?」
 ユフィの言葉の意味を理解して、クラウドは顔を青ざめさせた。
 ザックスはクラウドに打ち明けた。クラウドが大切に思う人が憎いと。そして彼は、デンゼルを殺そうとした。感情だけでなく肉体まで制御できなくなったかのように。
 あの時は何故彼がデンゼルを手に掛けようとしたか分からなかった。だが彼がジェノバ細胞の支配に負けて、肉体まで乗っ取られてしまったのなら理解できる。デンゼルを人質に取られてザックスを殺すように言われ、クラウドは動けなかった。デンゼルが大切だからだ。それが理由で彼がデンゼルを襲ったのなら、同じ家族のティファやマリンも狙われておかしくない。
 クラウドは唇を震えさせながら、デンゼルの背中を押してユフィに預けた。
「デンゼルのこと、頼む」
「任せて。アタシなら戦える」
 デンゼルがクラウドに声を掛けようとしたその時だった。WROにリーブの部下が駆けつけて報告を行った。
「メインストリート南の飲食店区画で大規模火災発生です!火災の現場にマテリアか、同等のライフストリームのエネルギー反応があります!WRO管理のマテリアではありませんでした!」
 WROは世界中を捜索して、危険な力を秘めているマテリアを収集、管理していた。クラウドも必要以上の危険なマテリアはリーブに預けている。一定の基準を超えて精練されたマテリアは全て回収されるので、一部からはWROの武力による抑止だと言われるほどだ。特に、神羅とWROの本部のあるエッジではマテリアの管理が徹底されている。そのような街でライフストリームのエネルギー反応のある大規模火災が発生した。何者かによるテロと疑われてもおかしくない事態だった。
 息を切らしながら報告していた男が、部屋にいたクラウドに気付いて一瞬目元を険しくした。痛ましいものを見るような表情だった。彼の態度に、クラウドは全身が震えるような悪寒を覚えた。
「火災の中心部にあるのはダイニングバーのセブンスヘブン……、リーブ局長とユフィさんの知己が住まわれている場所だとお伺いしておりました」
 クラウドは何も振り返らず、後を確かめずに部屋を飛び出した。頭の中がぐちゃぐちゃで何も考えられなかった。彼の脚を動かしているのはただ、頭の中に浮かんでは消えるティファとマリンの笑顔だった。