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あぜる
2020-05-10 02:57:32
2352文字
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ふたりのヒミツ
イース9 マリアド←グザヴィエな感じ?のお話みたいなものです。文章力が壊滅的にないので色々ひどいのはスルーお願いします(T-T) よくわからんまま終わります。
「グザヴィエ、これ食べるかい?」
その日の探索を終え、独房に戻ってきたアドルから懐紙に包まれた焼き菓子を差し出された。色とりどりの菓子は見るからに高級品だ。
「どうしたんだこれ、貴族様が食べるような菓子じゃねーか」
「マリウスが用意してくれたんだ、いつも監獄の粗食じゃ体力が持たないだろうからって」
グザヴィエは菓子とアドルの顔を見やって不審げな目を向けた。
「疑うわけじゃねーけど、大丈夫なのか?」
このぽやんとした青年があの特区で騙されているのでは?と心配になる。件のマリウスとやらも謎の多い人物のようで気が気ではない...が、アドル本人は彼を信じているようで、二人で脱獄の為の準備を着々と進めているようだ。
「さっき食べたけど、美味しかったよ」
とグザヴィエの鼻先に焼き菓子が差し出される。確かに甘い香りが空腹を刺激してくる。
「しょーがねぇーなぁ、食べてやるよ」
赤いドライフルーツの乗ったクッキーを頬張るとホロホロと口の中で溶けていく。
「んま!」
あっという間に溶けて無くなったクッキーに次へと伸ばす手が止まらない。
もぐもぐと咀嚼するグザヴィエをにこやかな笑顔で見つめてくるアドルをチラっと見やってひっそりため息をついた。
「そろそろ休もうか」
アドルは独房の狭い寝台に横になるとグザヴィエの為にスペースを空けてくれる。
やはり何かとアドルの世話を焼いてくるマリウスが気になる。グザヴィエは一度この目で見てみるかと、アドルの懐に潜り込んだ。
特区・礼拝堂。
看守ですらほとんど近寄らないこの場所でアドルとマリウスは情報交換をしていると聞いていた。今日も二人はここにいるはずだ。
そっと天井の梁から階下を覗き込むと、見慣れた赤毛が視界に入る。と、そのすぐ横に茶色の人影も見えた。
二人はぴったりと寄り添っているように見える。
(おいおい、秘密の話にしては近すぎねーか?)
よく見るとアドルはマリウスの肩に頭を乗せて眠っているようだった。
牢獄でのアドルはわずかな気配でも目を覚まし、常に状況に対処できるよう熟睡していないのを知っているグザヴィエはその姿に驚いた。
石造りの監獄は夜ともなればかなり冷え込む。毛布すらない牢獄でアドルは体を丸めて寒さを凌いでいた。だから時々懐に忍び込んではアドルの冷えた体にすり寄って
『暖かいな、グザヴィエは』
そう言って穏やかな笑顔を向けてくるアドルにグザヴィエの心も暖かくなる。この体では彼の役に立てない歯がゆさもあるが、この時はそれも吹き飛ぶ思いだった。
それでも深夜であろうと見回りの看守がやってくる。アドルはその気配を悟ると寝ているグザヴィエを起こさぬようそっと自身のマントを被せてその姿を隠してくれたものだった。
そんなアドルが完全に心を許して熟睡している様はグザヴィエの心を乱した。言い知れぬもやもやが心を覆っていく...。
と、物思いにふけっていたグザヴィエは強い視線を感じて意識を戻した。
そこにはひたと冷えた視線を向けるマリウスがいた。
その暗い双眸に一気に血の気が引いていく!この感じ、この感覚は
これは、じぶんとおなじそんざい────
何故だかわからないが、そう感じる。もしやあの男も『そう』なのか?
混乱と襲いくる恐怖に動けず視線がそらせない。しかし、その双眸がふ...と優しげな弧を描くとマリウスは人差し指をその口元に寄せて
『○○○だよ』
と囁いた。
─────────────
いつもの礼拝堂。
アドルと今日の予定について確認していたが、アドルの目の下の隈がすごい。少しやつれているようにも見える。彼が収監されている牢はとてもではないが良い環境とは言えないだろう。ここに来て数週間、ろくに休めていないはずだ。
「アドル、今日は大した情報もないし、監獄内も怪人の侵入で慌ただしいようだ。探索はやめて休んだらどうだい?」
時間になったら僕が起こすから、と肩を寄せると最初は遠慮していたアドルもおずおずと頭を預けてきた。
「有難う、マリウス。」
ややあって小さな寝息が聞こえてきた。余程疲れていたらしい。そっと覗き込むと歳よりも幼い寝顔がそこにあった。
アドルが独房に戻るまでまだ時間はある、マリウスはアドルから得た情報と監獄の地理を思い出し脱出経路の想定を始めた。
しばらくして何者かの気配を感じたマリウスは思考を中断した。アドルはまだ眠っている。徐々にこちらに近づいているようだが人では無さそうだ。特区といえど近くには魔物がうろつくエリアもある。相手に気取られぬよう視線はそちらに向けず気配を探った。
どうやら天井から礼拝堂に入ってきたらしい。微かに聞こえる小さな足音に動物系の魔物とアタリをつけた。こちらを伺う視線を感じるが、動く様子はない。飛びかかってこられても面倒だ、アドルを起こさぬよう軽く殺気を送ってみた。
視線が合う。大きな長い耳と尻尾、耳に揺れるアクセサリー、くりっとした目。
神獣ルー。アドルから聞いていた「グザヴィエ」だろう。
殺気を受けて萎縮したようで固まっている。すぐに笑顔を浮かべ彼が気付くよう口元に言葉をのせる。
『ヒミツだよ』
それを見た彼はコクリとうなずくと梁の向こうに消えた。
気配が遠ざかると同時にアドルが身動ぎしその瞼を開く。
黒曜石の瞳がマリウスを映すと
「ん。マリウス、何かあったのか?」
まだぼんやりしながら聞いてくるアドルに
「いや、君は人気者だなと思ってね」
にっこり笑いかけて言う僕に不思議そうな顔を向けてくるが、この事は言わない方がいいだろう。
あの神獣へ感じた違和感が、自分への『それ』と同じ事も...。
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