伊坂
Public TGM
 

I’m being electrocuted.(アイマヴェ)

#M右ワンドロワンライ様より お題「夢」で書こうとして、なんだこれ? って思って没にしたやつ。アイスのガチ恋、マーヴが初めてだと思ってるんですよ~~~。そうであってくれ…。


I’m being electrocuted.



(好きかも)と(好きだ)はほとんど同時に来た。それは今までには無かったことで、トム・アイスマン・カザンスキーは感電したかのような衝撃を受けた。
 雨つぶてに打たれるキャノピーの中で、自分自身が雷を受けたかのような。そのまま雷のエネルギーを得て、不敵な気持ちで戦闘機を駆るような……

 マーヴェリックのことを考えるとどきどきした。笑った顔が好きだ。得意げで、なのにはにかむみたいな頬の盛り上がり。笑うと顔がぴかぴかと光って、触れたくなる、大事にしたくなる。俺のものにしたくなる。悲しい顔も好きだ。すまないが、落ち込んでいる姿も可哀そうで好きだった。守ってやりたい。俺のものにしたい。そうだ、早く俺のものにしないと。
 こんな焦燥は初めてのことだった。一心に誰かを求めることなど、今までは無かったことだったから。マーヴェリックを見ると、溶けかけた氷の上を、無秩序につるつると滑っているような気持になる。駆け寄りたいのに駆け寄れない。ひどく無様な姿をさらしている気がする。
 興奮と落胆。【氷のような男】が聞いてあきれる……
 熱くなった心が、水を掛けられてしゅうしゅうと縮むような。そういう感覚もアイスには初めてだった。心が安定しない。固体だったり、液体だったり、突然に気化したり。
 彼の悲しみを知っている。ぞっとするほど冷たくて暗い海の内側。会いたい。会いたいよ、グース。それは自責で後悔で謝罪で、アイスからマーヴェリックをゆっくりと遠ざける。アイスはグースとまったく同じぬくもりを与えることはできない。彼は自信家で、方図が無くて、だから誰からの忠告も聞き入れない。好きだよ。愛していると言っても結局彼には届かないのだ。自分には愛される価値なんてないと思い込んでいる彼は、平気で相手の気持ちを踏みにじる……
 ゆっくりでいいような、急がないといけないような。常にそんな気持ちがアイスの中にはあって、そのことをマーヴェリックは知っているんだろうか? 肩の丸みが好きなこと。夜勤明けで眠りにつくときの幼い横顔。唇を奪って、身体ごと抱き締めて、そんなことを飽くことなく夢想する。もっといろんな顔が見たいし、もっといろんなことを教えたい。溶けかけの氷の上を、いっしょに滑って笑い合ったりしたい人。彼が脱ぐさまを見たい。彼がうっとりと笑うさまを見ていたい。彼に受け入れられたい。身体を重ね合って……、ゆっくりとつながりたい。
(たぶん、分からせたいんだ
 たくさん優しくして、好きだということを許されたい。守ってやりたい。彼に求められたい。首筋にキスマークをつけて、俺のものだと世界に言いふらしたい。

……あぁっん! ア、アイス! ……はぁ、ン、んっ、アッ………
『気持ちいいか? いいんだろ? マーヴェリック
『わかんな……、、あぁ……、いや……、嫌じゃない……、アイス
「好きだ……、好きになった……、お前のことが……!」

 夢に出てくるマーヴェリックは可愛そうで可愛らしくて、健気でいやらしくて最高だった。
 涙と汗とそれ以外の液体にまみれた身体をぶつけ合う。
 ずっとピリピリ感電しているみたいな感覚。

 こんな興奮は初めてのことで、似たような恥ずかしさにマーヴェリックもまた苛まれているとアイスが知るのは、もうほんの少し先のことだ。








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