伊坂
Public TGM
 

I will never forgive you(アイマヴェ)

アイマヴェ許さんっていうアメリア。短い。


 ほらね。やっぱり。私わかってたよ。二人はまた同じ結末になるって。二人はまたうまくいかないって。だって私の知ってるマーヴェリックは、最初からずっと、危ない人だった。ママじゃない人のことばかり考えてて、なのになんでママは優しくちゃうのって。

 ママは諦めて気づかないふりをしてる。それか、もう、軍人なんてものはそういう種族なんだと思って許してしまってる。なんかホモソーシャル? だよね。結局お互いしか見えてない感じ。マーヴとアイスさんの関係って、すごくお互いに酔ってるかんじ。友情にせよ愛情にせよ、ママをのけものにして傷つけて……。なのになんで許しちゃうの、ママ。

 マーヴェリックのことは好き。マーヴェリックを嫌うだなんて自分にも難しい。何かしてあげたくなるような。優しくしたいような。困らせたいような。そこにいるだけで誰もがそんな気分になる人を、アメリアはマーヴェリックしか知らない。しかも性質が悪いことに、マーヴェリック自身にはそうした自覚が薄い。自分が、他人を高揚させる性質の人間であることに、マーヴェリックは無関心だ。彼という人間がもつ境界線。彼を包む、薄い薄い大気。

 一緒にいすぎると、時々、胸が苦しくなるのは、マーヴェリックが薄い大気に包まれて生きているひとだからなのだ。自分「なんか」という薄い大気。輝くような自信と、常に隣り合わせにある「許せなさ」。僕は一人でいた方がいいという決然さがマーヴェリックにはあって、でも、今度こそママとマーヴェリックは結ばれるんだと、自分も少し期待した。期待したのに。

 平気そうな顔をしながら、ママはやっぱり傷ついていて、アメリアはルースターの隣で少しだけ泣いた。気づけばマーヴェリックはぽつぽつとしか姿を見せなくなっていて、ママはマーヴェリックの恋人じゃなくなっていた。ママは友達の一人になり、マーヴェリックはアイスさんのそばへと戻ってしまっていた。アイスさんが一命を取り留めて、大将に復帰して本当に良かったけど!

 私、わかってたよ。マーヴェリックはまた、どこかへ行ってしまうって。自分を飛ばしてくれる人のところへ。空気が薄くても大丈夫なひとのそばへ。正しく自分の境界を撫でてくれる人のそばへ。はぁ、ほんと失礼しちゃう! ママが許しても、私は絶対マーヴを許さない。ねえ、天国のおじいちゃん。おじいちゃんに代わって、私がちゃんとマーヴを許さないからね!






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