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伊坂
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TGM
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ニューイヤーホットライン(アイマヴェ)
ギャグです。ほぼ会話劇。新年早々離婚についてうだうだ言ってくる大統領の話🥺 アイスお元気アース。アイサラ離婚しない!という方は絶対読んではいけない🙂
「It's annoying!」
新年早々、うるさい固定電話の呼び出しにアイスは悪態をついていた。
BEEP BEEP
……
BEEP BEEP
……
叩き割ってやろうかという気分で受話器を取り上げる。この、寝室に設置した子機にまで転送されてくるとなると、司令本部からということになるのだが。
久々に、何者にも負けないという気分だった。
心から愛する人に、心から愛されるということは、これほどの自信と充実を生むのだ。まあ、口も悪くなる。
「何だ!」
『アドミラル、その、大統領からです』
「Shit
……
」
だ、大統領
……
? 余程緊急の要件なのだろうなとさすがに目を覚まして、アイスは髪を掻き揚げるしかない。いや、こんな、朝の四時だが?! そちらは朝の七時でしょうがね。
新調したばかりの、クイーンサイズのベッドには、だるそうにしているマーヴェリックがいた。
目をこすり、アイスを見上げ、とてつもなく眠いだろうに(どうした?)という表情で見上げてくる。
アイスは受話器に手のひらで蓋をして「大統領だ」と口にした。ふーん、という顔をしたマーヴェリックが「だ
……
大統領ッ?!」と飛び跳ねる。裸のまま、やわいブランケットをたくし上げ、バストラインから下を覆って立ち上がるさまは、俊敏なエンパイアードレスの花嫁の誕生を見るような気分だった。
「執務室からすぐかけ直すと」と告げてアイスは電話を切る。まさか新年早々、自宅のホットライン回線を使うことになるとは。
ベッドの向こう側に落ちていたナイトガウンを拾い上げ、混乱した表情のままマーヴェリックが投げてくる。アイスがため息をひとつ零す間に、マーヴェリックは寝室を飛び出し「水を用意するから!」とキッチンのほうへ消えていった。スクランブル発進の命令に応じるアヴィエイターのそれ。左手首にはもう腕時計があった。アイスもまた腕時計を嵌めて執務室へと向かう。
途中、右手側からボトルウォーターが飛んできてありがたく中身を飲んだ。歩きながら飲むであろう自分のために、蓋は一度開けられて閉められたキャップだった。
執務室のドアを開け、ついていくべきなのかどうなのか迷っているマーヴェリックに合図して入室を許す。寝室の電話を切ってから、十八秒でアイスは大統領直通の電話回線をプッシュしていた。
「お待たせしました、大統領」
『ああ、まずは新年あけましておめでとう』
「おめでとうございます。私に御用で?」
『トム、醜聞は困るな。寝耳に水だ。現役大将が離婚などと」
「醜聞
……
。妻も納得してくれているので円満のはずですが。それでもやはり醜聞となりますか? あなたにご迷惑が?」
『君のような立場の者には、常に、清廉潔白でいてもらわないと』
「そこまでお気遣い頂くとは
……
。しかし私は清廉潔白ですよ」
『ではなぜ離婚などということに?』
「大統領
……
。
奥方
レディ
などとは比ぶべくもありませんが、将官の妻というのもなかなかに激務なのです。今回、私が病から生還したら、その呪縛から解いてやるという約束でした。家のこと、自分のこと、後輩たちのサポート
…
、語学の勉強や、チャリティバザーの運営等もしなければならない。妻はそれらの指揮も執り、十分にその責務を果たしてくれました」
『
……
、それで? 君の身の回りは大丈夫なのか?』
「御心配には及びませんよ」
『わかっていないな、大将。君のような立場の者が、今になって連れ合いを捨てるなどという行為は許されないんだ』
「彼女も、私も、少し好きに暮らすというだけです。もうそれくらいは許されて然るべき時代でしょう。前例もあるにはある」
『
……
、本当に君の不貞からではないんだな? 近く、年若い妻を迎える予定など、誓ってないだろうな?』
「それは
……
、恐れながら、下種の勘繰りというやつです。誰があなたにそんなことを? すでに気の合う友人と暮らしておりますので、」
『友人! まさかその友人を身籠らせてなどいないだろうな?!』
「大統領
……
。どうか
……
。彼は男です。トップガンで競った仲で、気心は知れている」
通じるなり、怒涛の会話だった。
ボトルウォーターを握りしめていたマーヴェリックが、聞こえてくる会話の内容に呆然としている。起き抜けの、ブランケットドレスという姿で。
まったくどうしてくれるんだ。好くしてくれる方ではあるが、正直ここまで口を出してくるとは思わなかった。少し気を逸らすみたいに(うざいな)という顔をすれば、正面に座るマーヴェリックが同意するように小さく頷いた。(うざいな。どうする?)
苛烈な、瞳だと思う。制空権を侵されそうものなら、決して容赦しない目。命令を待つ目。危うく、その積極性にのまれそうになるが、それは自分の短気さを露呈するようなものなのでアイスマンはしない。この男の奔放さにつられてはいけない。目を細め、まあ、待てと指示をして、君がそう言うなら、とマーヴェリックがおとなしくなるのを見る。
「失礼、大統領?」
『つまり
……
、『彼』なのか? そうなんだな? 君の、そう、何と言ったか
……
』
「『僚機』です、ええ、大統領。先日の任務でも先陣を切ってくれたマーヴェリックと住んでいます」
『おお
……
、われらが撃墜王か!』
「どうでしょう。現役でしたら私も負けてはいないと思いますが」
『フハッ
……
! そうか
……
、そうか
…
君らはずっと友情で結ばれて?』
「そうです。ようやく、もう一緒に過ごしてもいいだろうかとなりまして」
『いや、美しい話だ。なるほど、そういう理由ならアリという方向に持っていけるな? トム』
「ぜひともお願いします」
『そういえば君は彼を連れてきてくれないじゃないか!』
「粗相をしでかしそうで怖いんですよ。というか、今います。代わりましょうか? ええ、ええ、
……
マーヴェリック!」
ブッ! と。マーヴェリックがボトルの水を噴き出すのは見物だった。
雲行きの怪しかった会話が、どうやらいい方向に進んでいるみたいだ? と安堵したところにいきなり名前を呼ばれたのだから。
「アイス
…
?!?! なんで僕が!」
アイスは笑う。周章狼狽するマーヴェリックときたら、どうしてこんなに可愛いのだろう。
慌てふためいたところでマーヴェリックに逆らうすべはない。
ナニクソという顔で背筋を張る様子が、あまりに変わっていなくてアイスは驚いた。耳元に受話器を宛がってやれば、アイス、君を恨むぞという強いまなざしが返ってきてさらに笑う。
「はっ! ピート・ミッチェル大佐であります!」
『ああ、初めまして、マーヴェリック! 電話越しだが光栄だ』
「大統領閣下。ま、マーヴェリックです。僕のアイスが
…
、いつもお世話に
……
??」
『フフッ
…
フフ
……
。聞いたとも。美しい友情の物語だな。昨日も
……
、彼とドッグファイトを?』
「大統領! お戯れを
……
! ァ、アイス! この回線は大丈夫なんだろうな?」
「まず安心していいホットラインだ」
「その
…
、では申し上げれば
……
、彼とのドッグファイトは
……
、とてもスリリングで甘美で
……
、興奮します。何にも代え難い時間です、閣下」
『おお
……
! なんと輝かしい! よし、安心した、マーヴェリック。朝早くにすまなかったと君のトムにも伝えておいてくれ」
――
ブツッ!
すべての、感情を消し去った顔で受話器を見下ろすマーヴェリックは、やはりブランケットのドレスのままで、彼と大統領の会話の内容が、なんとなくわかったような気がしたアイスだった。いや、わからいでか。
「とんでもないお人だ
……
」
「ふ
……
、大統領なんてお前も会ったことがあるだろう?」
「ミグを撃ち落とした年の大統領にならな? 何代前だよ」
「おかげさまで大統領公認だ」
「大統領公認の『僚機』って?」
「死ぬまで一緒に過ごすしかなくなったというわけだ」
「
……
、もとよりそうだ」
マーヴェリックは。
そうじゃなきゃ駄目だろう、と灰緑色の目をしてうすく笑う。この道。前途多難で洋々たる道。それを覚悟の上で、住み慣れた砂漠からでてきてくれたのだ。アイスのそばで暮らすことを選んでくれた。
執務室を出る。
窓の外は闇。
「まだ夜も明けてない」と苦笑するマーヴェリックの額に、「寝直すか」とアイスはキスを落とす。
二人で初日の出を見るという約束は、来年の今日にでも、また叶えればいい。
(終)
いや、深夜のドッグファイト事情聞いてくる大統領いやすぎ笑
すごいアイマヴェに都合のいい話になったけど、私今日から仕事始めだからアイマヴェ許されたくて書きました🥺
すばらしい夫婦を離婚させたんだから
…
って責任感じて砂漠から出てくるマーヴはかわいいよ!
アイスと幸せになりたいので砂漠から出てくるマーヴかわい🥺
波箱はここから
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