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玲緒
2021-11-09 18:05:25
1013文字
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君が笑う理由
#戦時中博士
アズゴアが気付いた、孤独なニンゲンの悪い癖。
「君は、いつも笑っているね」
アズゴアがそう呟くと、ガスターは一瞬驚いた顔をした。
「笑っていた方が
……
きっと、いい事があると、思うんです
……
」
そう言って、指先で頬を引っ掻きながら笑ってみせる。少し子供っぽくも見える
……
ぎこちない作り笑い。
「
……
」
本人に自覚があるかどうかはわからないが、彼は私に質問をされると、きまってこの仕草をする。そして、少し遅れて笑顔をつくる。
目をそらすことはしないが、それはこちらの動向を気にしているがゆえの行動。
質問をされて、困っているのは明らかだった。だからというのもあって、私は彼が笑う理由について、あまり詮索を入れないようにしていた。
しかしある日、知ってしまった。
ガスターくんが、本意で笑っているのでは無いのだと
……
そう確信したのは、戦場で彼を見つけた時だった。
幾度となく繰り返される、ニンゲンとモンスターとのぶつかり合い。
何故か単独で行動をする彼は、いつもニンゲンの群れから離れた場所でモンスターと交戦する。単独行動をしているから、当然彼の周りにはニンゲンがいない。仲間がいないということは、彼は助けを求めることができないということ。もちろん、援護が来る気配もない。傷を負ってしまえば、そのまま命を落としかねないような、危険な状況だ。
だというのに
……
どうして彼は、無理矢理に笑顔をつくろうとする?
多勢に無勢なこの状態で、傷の痛みに顔を歪めながら、逃げ切れるかさえ危ういというのに
……
どうして、あんなに、苦しそうに笑うんだ? なぜ、今にも泣き出しそうな目をしながらも、必死になって笑顔を作る?
どうして、そうまでして仮面を被ろうとする?
おそらく、何か理由があるのだろう。他人には言えないような、何かが。私には、想像もつかない、何かが。
苦しいのなら、泣きたいのなら、そうすればいいのに。
私はニンゲンではないから、こっそりと、ニンゲンの耳に届かないような場所まで君を連れ出してやることだってできるのに。
君がどんなに泣いたって、辛いのだと叫んだって、私はニンゲンや仲間のモンスターたちには絶対に言わないのに。
けれど、どんなにそう伝えても、君はまた困ったように笑うのだろうね。
「連れ出すなんて
……
そんなことをしたら、ニンゲンを誘拐したと濡れ衣を着せられて、ニンゲンたちに攻め入る理由を与えるだけですよ
……
」などと言いながら、ね。
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