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白夜
2015-11-30 17:59:35
2048文字
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その他
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心臓を掴まれるような
男主人公くん×アオギリさん
男主人公≒ユウキくん。一人称は俺。αサファイアの世界におけるお話。
「あ
……
」
ふとアオギリは足を止めた。
アオギリはミナモシティの海岸でグラエナを連れて潮風に当たるために歩いていたが、見知った少年が視界に入って来たことにより立ち止まった。その少年の膝の上には、ライボルトが顔を乗せて眠っており、海辺には遊ばせるためにモンスターボールの中から出したのであろう少年のポケモンが水しぶきを立てながら遊んでいる。
少年はというと、砂浜にレジャーシートを敷いて、ライボルトの背を撫でながら、遊んでいるポケモン達を楽しそうに眺めている。その純粋に見つめる瞳に、本当にポケモンが好きだということが容易にうかがえる。
この少年と初めて出会ったのはカイナシティの博物館。
あの時は部下が勝負に負かされており、子供ながらになかなかのものだと感心した。また、何よりアオギリ自身に臆することなく、アオギリのことを見据えてくる少年に興味を持った。二度目に会った時、少年の実力をこの目で見て、体感した。この少年はポケモンに対してとても純粋なのだ。少年はポケモンを信頼しており、ポケモンも少年を信頼している。その少年の真っ直ぐな戦い方を見た時、胸の奥から湧き起こってくるような高揚感を今でもはっきりと覚えている。
それから、幾度となく少年はアオギリの前に立ちはだかった。
そして、その度に強くたくましくなっていく少年に対して、言葉で表すことのできない感情を抱くようになったのはいつからだっただろうかと、少年の横顔を少し離れた所から見つめながら思う。
(何なんだろうな、この気持ち)
ふと、笑みが零れる。
最後に会ったのは隕石衝突回避後、少年がアクア団のアジトに顔を出した時だった。あれからずっと顔を見ることが無く、密かに寂しく感じていた。
「あれ? アオギリさん?」
「おう」
そんな時、少年はアオギリに気付き、アオギリを見つめてニコリと笑った。その純粋な笑みにドキリと何故が心臓が跳ねた。内心、なんだりゃ?と思い、左胸を軽く擦りながらも、少年の傍に歩みを進める。
遊んでいたポケモン達もアオギリに気付き、警戒するようにこちらを見つめている。
「よう、久しぶりだな。元気にしてたか」
「まあ、それなりに」
そう言う少年の顔はよく見てみれば、まだ若干幼さは残っているが、ガキンチョと呼んでいた頃に比べて大人びている。声も以前に比べて低くなっているような気がした。
子供というのはやはり成長が早い。
少し見ない間に大人へと近づいていく。
「隣、良いか」
「あ、良いですよ。今、シート広げますね」
「いや、良い!気にすんな」
そう言って、立ち上がろうとする少年を制し、ドカリと砂浜の上にためらうことなく隣に腰を下ろし、あぐらをかいた。一緒にいたグラエナはアオギリの隣に座る。
しかし、それのせいか眠っていたはずのライボルトが少しだけ顔を上げ、警戒するようにグルルと鳴いた。
「こら、この人はもう敵じゃないよ」
少年はそんなライボルトに対し、諌めるように頭を撫でる。するとライボルトはすぐに少年の言うことを聞き、大人しくなり再び目を瞑った。波打ち際で遊んでいたポケモン達も少年の言葉を聞いていたようで、警戒をなくし、再び遊ぶことに専念をし始めた。
相変わらずポケモンに好かれ、信頼されている。
そう思うと、さすがこの俺が見込んだ奴だと、自然と口角が上がった。
「すいません、こいつら警戒心が強くて」
「いや、仕方ねぇよ。このライボルト、俺と戦ってた時のだろ?そりゃ、警戒するってもんだ」
「あ、覚えてるんですか?あの時の俺のポケモン」
「あったりまえだ。何度戦ったと思ってんだ」
そう言って、くしゃりと少年の頭を撫でた。それもそうですね、と少年が笑う。
すると、キュンと再び高鳴った。
(また、だ
……
)
眉間にしわを寄せ、左胸に触れる。
「どうか、しました?」
「ん、いやなんでもねぇ
――
ッ」
急に黙り込んだアオギリに少年は不思議そうな顔を向けた。大丈夫だと告げようとふと少年の方に顔を向けると、アオギリの顔を覗き込んでいたらしく、思いのほか顔が近くにあった。思わず言葉が詰まる。
大人に近づいた少年の顔が近くにある。
その事実を認識すると、ドクドクと鼓動が止まらなくなる。
(あー、くそッ!なんなんだ、これ!)
ガシガシと頭をかきながら、自問自答するが、答えなど見つからない。むしろ、心臓の鼓動が早くなっていく。
「え、あ、アオギリさんほんとに大丈夫?」
隣で驚いてうろたえる少年。
少年がアオギリを呼ぶ声が鼓膜に伝わる。
ブルリと身体が震えた。もう己の気持ちが分からない。
「え、アオ、ギリさ、ん?」
気付けば、己より小さい少年の身体を抱きしめていたのだった。
ASプレイしてあまりにもアオギリさんがめちゃしこだったので書かずにいられなかった。 20151130
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