白夜
2015-08-12 22:54:34
2169文字
Public 強竜
 

あいすくりーむ

怒+楽。
最終回後の話で、ナチュラルに怒さんが生きてます。

※ ナチュラルにドゴルド様が生きています
※ キャンデリラちゃんみたいに人化しているつもりで書いていますが、外見描写はしていないので読み手の方に外見の想像はお任せします





 じりじりと熱い太陽光が降り注ぐ。

 ラッキューロは僅かにできている影に入り込み、大きな入道雲が浮かんでいる空をぼんやりと眺めていた。ぼんやりと晴れ渡る空を眺めながら、じわじわと額から出てくる汗を拭う。
 常に凍えるような寒さであった氷結城の寒さを長い間経験していた身には、黄金の地に任務で暑い時に行くこともあったが、それでも暑い場所には慣れてはいない。僅かに陽は傾いてはいるものの、昼間に熱を溜めこんだアスファルトから放射される熱のせいで気温はまだ高い。
それでも、この暑い中出掛けたのは、買い物を頼まれたからだ。勿論、一人ではない。
 現在、その相手は、買い忘れがあったから待ってろ、と買った物をラッキューロに託して先程まで買い物をしていた店まで走って戻って行ってしまった。ラッキューロ自身もせっかく一緒に出掛けたのにと思い、着いて行こうとしたが、暑さなどものともしていない彼に追いつくことなど出来ず、大人しく日陰で待っている。

「あついよぉー、早く戻ってきてよー。どごるどさまー」

 何もすることが無いと時間の流れが異様に長く感じてしまう。
 そして、暑さがそれを更に助長している。
 はぁー、と思わず深いため息が出る。

(あー、帰ったらアイス食べたいなぁ……

 暑さに思わず項垂れる。
 すると、ふとアイスクリームが食べたくなった。あの甘くて冷たいアイスクリームが食べたい、そう思えば、もうラッキューロの頭の中はアイスクリームでいっぱいになる。確かまだ冷凍庫に自分のアイスクリームが残っていたはずだ。帰ったら絶対にすぐに食べよう、と家に帰ったら待っているであろうアイスクリームに想いを馳せる。

 ――そんな時であった。

「うひゃあ!」

 ペトリ、と冷たい何かがラッキューロの頬に当てられた。

 不意のことに思わず、おかしな声を出してしまう。

「おい、何へばってんだ。つか、何だその声」
「も、もう!びっくりしたじゃないッスかぁ!」

 頬をふくらませながら怒るが、当の本人はラッキューロの出したおかしな声に対して、ドゴルドはおかしそうに笑う。そのようなドゴルドにラッキューロはますます頬を膨らませるが、もう良いから帰るぞ、荷物寄越せ、と軽く流される。

 それは以前とは違う対応。

 デーボス軍であった時、ドゴルドは常にピリピリとしていた。黄金の地への任務について行った時はよくラッキューロも怒鳴られていた。それが今は常に戦いに身を置いていないからか、僅かに態度が落ち着いているように思える。しかし、今のように軽く流されることが多くなってしまったような気がして、少し寂しく感じてしまっているラッキューロ自身がいる。 決して怒鳴られたいわけではない。ただもっとコミュニケーションがとりたいのだ。今日の買い物も、暑い外に行くのは嫌であったが、ドゴルドが行くからという理由で、実は着いてきたのだ。
 もちろん、そのことはドゴルド本人には恥ずかしくて言えるわけがないので、ラッキューロだけの秘密だ。

「あ、そう言えば、さっきの冷たいの何っすか?」
 荷物を持ち、歩き出すドゴルドに、ふとラッキューロは疑問を投げかけた。冷たいものは買い忘れていたものにはなかったはずだ。
……これだ。やる」
「えッ!?」
 雑に目の前に差し出された、ソレ。
 ラッキューロは驚いて目を丸くした。
「このアイス、ボクが食べても良いんですか!?」
「おー。溶ける前に、食え食え」
 それだけぶっきらぼうに言って、ドゴルドはさっさと歩いて行ってしまう。ちょっと待ってくださいよ!と追いかけて、隣に追いつく。
「もー、置いて行かないでくださいよー」
 貰ったアイスクリームを食べるべく、袋を開けて、アイスクリームを取り出す。そして、口の中に入れた。
「んー、冷たい!おいしー!」
 望みに望んでいた口の中に広がる冷たくて甘い感覚にラッキューロは思わずうっとりとする。熱くなっている身体には格別なご褒美だ。 まさか買ってくれるとは思ってもいなかったため、たまらなく嬉しく感じ、ドゴルドを見てニッコリと笑う。

「ふへへ、ドゴルドさま、ありがとうっす」
 お礼を言うラッキューロにドゴルドは何か言葉を返しはしなかったが、荷物を持っていない手でくしゃりとラッキューロの頭を撫でた。  そんなドゴルドにラッキューロは更に笑みを深くして、傍に更に歩み寄り、自分の手を、空いている方の手に絡めた。

「おい、何してんだ」
「手繋ぐことくらい良いじゃないっすかー」

 怪訝そうな表情で見られるが手を振りほどかれることは無く、さらには握り返してきた。ペロペロとアイスクリームを舐めながら、自分がしたことなのだが、少し照れくさくなりはにかむ。
 ドゴルドと手を繋ぎ、一緒に帰路に着いている――あの頃では全く考えることもできなかった今の状況に胸の奥がほんのりと熱くなるのを感じる。

 今の状況をしっかりと噛み締めるため、繋いでいる手の力を少し強めた。




おわり