白夜
2013-12-18 20:21:05
1828文字
Public 強竜
 

青←喜+楽のお話


(あれ?キャンデリラ様何してるんだろ?)

 暖かい部屋の中で雑誌と睨めっこをしている
喜びの戦騎の姿。

 そして、手には棒針と――綺麗な青色の毛糸が握られている。

「キャンデリラ様、何作ってるんスか?」
「あら、ラッキューロ!ふふっ、何作ってると思う?」
 いつになく真剣な表情で作業をしている姿があまりにも珍しく何かを作っているのか気になりキャンデリラの肩越しにのぞいて話しかけると、にっこりと笑ってラッキューロの頬をぷにっと突いた。何だろう?と思い、うーんと考えてながらふと開いていた雑誌が目に入る。
「もしかして……マフラーですかぁ?」
「あ、もう!見ちゃダメじゃない」
「だって開いてあるから見ちゃいまスよー!」
 開いてあったページは手編みのマフラーの編み方が写真付きで丁寧に説明されている。
 それを見れば容易にマフラーを編んでいることは分かったが、何のために?という疑問がラッキューロの中に浮かび上がってくる。自分のために作っているのであればきっとキャンデリラは青色などは選ばない。
 そもそも手編みのマフラーは誰かにプレゼントするために作るものだったはずだと、今まで読んできた少女漫画を内容を思い返す。

(でも誰に?)

 また新たな疑問を思い浮かべる。
 ジッと青色の毛糸を見て思い浮かぶのは――哀しみの戦騎。

「これ……アイガロン様に……?」
「まさかー、違うわよー!なんでアイガロンにマフラーなんて必要ないでしょー!」
 そう言って、キャハハと笑うキャンデリラに、これアイガロン様が聞いていたら泣き出すんだろうなぁ、と密かに思う。
「じゃあ、誰に――――
 アイガロンではなかったら、誰のために作っているのだと聞こうとしたがハッとしてラッキューロは口を閉じた。
 “青色”を連想出来る人物がラッキューロにはもう一人いた。
 ラッキューロの目に映るのは真剣でなおかつ楽しそうな表情で悪戦苦闘しながら毛糸を編んでいくキャンデリラ。おそらくキャンデリラの頭の中に思い浮かんでいるのであろう相手にラッキューロは何とも言えない感情に苛まれた。


「ねぇ、僕たちはデーボス軍なんッスよ……


 ――小さくポツリと呟かれたその言葉。

「ん?何か言った?」
「い、いや、何でもないッスよぉ!!」
 思わず口に出してしまった言葉にハッとする。有り難いことにキャンデリラには聞こえていなかったらしい。何でもないと首をぶんぶんと横に振る。
 それ以上キャンデリラはラッキューロのことを追及することはなく、そう?と一言だけ言って再び作業に没頭し始める。

(キャンデリラ様……キョウリュウブルーのこと本気で――
 
 苦戦をしながらも一生懸命に編み物をする キャンデリラを見てそう思う。
 複雑な気持ちになりながらも横に座って、大好きな少女漫画のラブタッチを開く。

(僕たちはデーボス軍なのに……

 先程呟いた言葉を大好きな漫画を読みながら頭の中で反芻する。
 その言葉はキャンデリラに呟かれたものであったが、自分自身にも呟かれた言葉。もしキャンデリラが人間たちと戦うことを放棄したら自分はどうするのだろうかと考えるが全く答えが分からない。
(あー!!もう!!考えるの面倒!!)
 もともと面倒なことに巻き込まれたり考えたりするのを嫌っている性格である。
 せっかく大好きな漫画を読んでいるのにモヤモヤとした気持ちを抱えるなんて嫌だ!と面倒なことを考えることを放棄する。

「あ、もう少ししたらクリスマスなんでスねー!」
「ふふっ、そうよぉ。人間はほんとこういうイベントが好きね」
「ボク、サンタさんにラブタッチの新刊お願いしよっと!」
「貰えると良いわね」
 そう言ってキャンデリラは手を止めて、ラッキューロの頭を優しく撫でる。大好きな上司に頭を撫でられてラッキューロは嬉しくなる。
 そして、キャンデリラの楽しそうな、また幸せそうな表情にラッキューロもじんわりと胸が温かくなる。

「ほらほら、キャンデリラ様、手を止めてたらクリスマスまでに間に合わないッスよ!」
「あら、そうね!頑張らなくっちゃ!」

 そう言って再び作業へと戻る様子を見て、密かにキャンデリラ様が幸せだったら良いや、とラッキューロはにっこりと笑った。






青←喜+楽!ノッさんは登場してないけど、私はノッキャンが好きだ! (20131218)