白夜
2013-11-11 23:42:11
1651文字
Public 強竜
 

ポッキーの日 (七夕+端午)


「兄さん!」

 タンゴセックが黄金の地からの任務の帰りに隠れ里に戻る前に氷結城へと寄っていると義兄弟の誓いを交わした義弟がニコニコと笑って手を振りながらスキップしながら駆け寄ってくる。
 最近は隠れ里の方にいることが多かったために久しぶりに顔を見る義弟の相変わらずの軽い調子に思わずタンゴセックは頬が緩む。

「ああ、タナバンタ――どうかしたか?」
「その、兄さんが戻って来てるって聞いて、それで」
「ん?」

 嬉しそうにそう話すタナバンタに先程まで任務でピリピリと高ぶっていた神経は正常へと戻っており、さらに話す声はいつもよりも穏やかである。

「それで、そのキャンデリラ様から貰ったこれ一緒に食べようかと思って!」

 そして、そう言ってタナバンタはタンゴセックの前に赤色の長方形の箱を差し出してくる。

「何だこれは?」
「ポッキーっていうものみたいですね!多分、お菓子だと思うけど――僕先に食べてみますね!」

 見慣れないものにタンゴセックは首を傾げるがどうやら貰った本人であるタナバンタも何であるかよく分かっていない。
 キャンデリラ様が食べられないものを渡すわけはないから、とその箱を開けて袋を取り出した。そして、その透明な袋の中には棒状のものが入っていることが分かる。

「ああ、これチョコレートがコーティングされてるんだ」

 それを見てどのようなものであるかすぐに理解したタナバンタは何のためらいもなくそれを口に入れた。

「あ、美味しい!兄さんも食べてみてよ!」

 サクサクとした触感の中に甘い味が口の中に広がりタナバンタは感嘆の声を上げ、それをタンゴセックに勧める。あまりそういうお菓子のような食べ物を自分から食べようとは思わないが、司る感情が違っていても可愛がっている弟に勧められたものを無下に断るわけにはいかなかった。
 差し出された透明の袋の中からポッキーを取り出して口の中に入れたのだが、いきなり渋い顔をする。
 もともと鮮やかではあるが厳つい姿をしているタンゴセックである。そのような様子にタナバンタは思わず兄さんを怒らせてしまった?と思い、ビクリと身体を震わせた。

「に、兄さん……?」
……タナバンタ、これ甘いではないか!」

 渋い顔をしていたタンゴセックが迫力のある声色でそう言って声を上げた。その言葉に思わずタナバンタはキョトンとした表情を浮かべる。

「え、だってそれチョコレートだし――さっき僕言ったじゃないですかあ」
「そんなこと知らん!甘いものは好きではない!」
「そんなこと言われても僕は好きだし……なんか、ごめんなさい」

 兄さんの苦手なものを勧めてしまった……とタナバンタ自体に責任はないのだが落ち込む。そして何より自分が思っていた以上に慕っているタンゴセックのことを知っていないということに落ち込んだ。

 そんな落ち込んでいるタナバンタに気付いたタンゴセックは些細なことで少し声を荒げてしまったことにしまったと思い、軽く誤魔化すように咳払いをする。

「おい、タナバンタ」
「な、なに?兄さん」
「口直しに酒を飲むから付き合え。お前も好きな飲み物を持ってこい」

 そう言って、タナバンタの肩をポンポンと軽く叩く。

「怒ってない……?」
「こんなことで怒るわけないだろ。それに義兄弟でありながらあまり我のことを教えてなかったしな――

 あの程度のことで声を荒げてしまいすまなかった、という言葉は気恥ずかしく言葉にすることは出来ず、少しぶっきらぼうな言い方になってしまう。しかし、そのようなタンゴセックの言葉にタナバンタは喜びの声を上げて嬉しそうに笑った。

 じゃあ、兄さんのこともっと教えてよ!と爽やかな笑みを浮かべて部屋へと向かい軽快にスキップを始めたタナバンタにタンゴセックも思わず笑みを零して、その後に着いて行った。






仲良し義兄弟でポッキーの日!だけどポッキー要素ない。 (20131111)