sevendays23
2021-05-08 12:27:37
1460文字
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端っこ弁当1

2とは繋がってないです!
1→うそぷの話
2→まりもの話
です。おかださんの素敵ツイを書かせていただきました!ありがとうございました!

誰が名付けたのか知らないが、端っこ弁当という名前の弁当がバラティエの時代から存在していたのは事実だ。船旅の買い出しで作るのが面倒なコックたちのために食材や料理のいいところを弁当にして、その残りの食材や微かな焼きムラのところを自身の弁当としてまかないで食べるのである。もちろん、端っこ弁当ですらも美味しく仕上げることに変わりはないし、愛情を注ぐことに違いはないのだが、自身が食べるものだからと少しだけ見た目や味に実験したりや配列で味が変わるのを確かめるために少し貧相な見た目になっているのは事実だったりもする。
この習慣は元バラティエの副料理長サンジとて例外ではなく、習慣づいたものを変えるのは面倒だということで、ひっそり海賊になった今でも続いている。
そう、仲間たちに食材の美味しい部分を出し、彼が冒険に出るときの自身の弁当として端っこだけの弁当を用意するのだ。
今日は、そんな優しいかつ勉強熱心な塊のお弁当を、仲間たちが見つけたときのお話。

――――――

「なんだよ」

狙撃手はじっと見ていた。訝しがって、じっと見ていた。今は、冒険の途中。待ちに待ったお弁当の時間である。今日の冒険は武器の素材と食材を集めるのが目的だ。そのため、狙撃手と料理人二人っきりでお弁当を食べているし、弁当組も二人だけ。それは、別にいいのだ。狙撃手のお弁当には怪獣のステーキやミニミニとんかつ、ふわふわの卵焼き、そして好物の旬のサーモンを使ったチーズフライが入っている。他にも色々。それももちろんよし。むしろ最高だ。
ならば何が問題かと言えば。

「人の弁当ジロジロ見てんじゃねぇよ」

そう、料理人の弁当だ。彼の弁当は特徴的だった。狙撃手にないものが入っているからだ。例えば、卵焼きのちょっぴり焦げた端っこやステーキの脂身の部分をこんがり焼いたもの、とんかつの衣にしか見えないもの、そしてサーモンの骨せんべいや皮の炙り、しまいにはキャベツの芯のきんぴらなど。ご家庭では捨てられがちな、いやいやこの男は意地でも美味くして捨てないのは知っている、そんな端っこオールスターズなお弁当だったからだ。

「サンジ」

「だからなんだよ」

一拍だけおいて、料理人に声をかけた狙撃手。ムスッと、文句あるのかと言いたげの口調が返ってくれば。

「ずりぃぞ!」

「へ?」

「何だこの弁当は!おれステーキの脂身じゅわっとしてて大好きなんだよ!ウソップ様のステーキと一切れ交換だ!」

「は、あ?」

気の抜けた声。ひょい、ひょい。ミディアム焼きのステーキ一切れと脂身一切れがあれよあれよと交換されていく。

「うん、うまい。やっぱ脂身もカリカリジュワジュワで最高だ。あと、卵焼きの端っこもキャプテンと交換だ。おれは端っこのとこ好きだし、サンジもふわふわのも味わえる。まさに一石二鳥」

口を挟む間もなく、ひょいと卵焼きも変えられて、彼のキャベツの芯のきんぴらの上にぷるんと置いてある。料理人は知っていた。狙撃手は本当に自身が嫌がることならこんなことをしないことを。もちろん、逆もしかりだが。
だから、呆れたように笑って、そののせられたふわふわの卵焼きをポイと口に放り込む。少し砂糖多めの、優しい味がした。

「どうだ、卵焼きの真ん中はふわっふわでうまいだろ?」

……おれが作ったんだからあたりめぇだろ」

「へっへー、じゃあとんかつの端っこも交換だ。骨せんべいもキャベツのきんぴらもー!!」

……どんだけ欲張りだよ、ったく」

〈終〉