おやつの時間。それは、10時と15時に行われる、エネルギーが必要な彼らにとって、はたまた美味な甘さを得たい彼らにとって、魅惑の時間だ。だが、そのおやつの時間は、彼らにとってはそれだけの時間ではないのだ。特に料理人と二人の船番になったときのおやつは、いつも忙しい彼とゆっくりお茶と話ができる、貴重な時間なのである。
「な!サンジ!!きょーのおやつは!」
「スコーンだ。割ってジャムやクリームをつけて一緒に食う。紅茶にあうぞ?」
「こーちゃものむ!!!あめぇのにしてくれ!」
「おう。あちぃのかつめてぇのか」
「あちぃの!!」
「ん」
今日の料理人の紅茶は、ダージリンのアイスティー。爽やかさが特徴。船長は彼の希望通り甘いアッサムホットミルクティーにしてやった。あまり癖がなく、船長でも飲みやすいのだ。そして、何より焼きたてのスコーンに合うだろう。
「よし、じゃあ」
スコーンを皿に山盛りタワーのように並べる。本当はもう少し小盛りにしてもいいのだが船長への供給が追い付かないための苦肉の策。そして側には旬のイチゴジャムと濃厚クロテッドクリームの器を置いて、そばにスプーンをそえて。
「いただきます」
「いただきまーす!!」
ゆっくりと焼きたてスコーンに手を伸ばす。あがとまるでクッキーのように口にいれようとした船長は料理人を見た。彼はぱかりと割って、たっぷり大粒のイチゴジャムをふわふわの生地にのせて、一かじり。さくり、じゅわり。イチゴの酸味とジャムの甘味が、ほんのり甘いスコーンを飾っていく。
「ん、うめぇ。やっぱ爽やかなダージリンは合うな」
それを紅茶で追いかけると、風味が絶妙でえもいわれぬ。料理人は満足げな顔をしていたが、食べずにこちらを見ている船長に気づき、まばたきした。
「む、どうした」
「サンジ!最初ののっけてくれ!おれもこーちゃと合うの食いたい!」
「あァ?しょうがねぇなー」
料理人は小皿に食べかけスコーンを避難させると、ひとつ大振りのスコーンを手に取った。ジャムをたっぷり半分のせて、クロテッドクリームを半分のせて。
「ほら、っていってもお前」
「ありがとう、あが!」
「ほぉら、一口だ。あとは自分でやれよ」
料理人は、紅茶を一啜りしながらあきれた。船長も、一口したスコーンをもごもごし、ざくざく噛みしめ、少し口の中が少なくなったところで、ミルクティーを啜る。
「んん」
あち、と呻きながらも、ちゃんと液体は口に入ってきたようだ。ししっと笑い、ごくん。
「ほんとにあうな!」
彼に紅茶の美味が本当にわかったのかわかっていないのかは別だが、口の中が幸せと顔に現れていた。
「……だろ」
だから料理人はそんな様に呆れ、ぷはりと小さく笑いながら、スコーンをもう一かじりするのだった。
ーーで、今日は何があったんだ?
ーー出掛ける前にウソップがこぉんなでけぇ魚つって水槽に入れた!食えるかわからねぇけど!
ーーそうか、食い終わったら一緒に見に行くぞ。食えるといいな。
ーーいくー!!!
<end>
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