sevendays23
2019-03-06 23:11:38
1588文字
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タピオカのお話

第五弾。
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『タピオカミルクティー』

「どうだ、つれてっか?」

「んーー、ぼちぼちだな。さっき大量のサンマ釣ったぞ」

「いいじゃねぇか、今日はサンマパーティだな」

「やったぁ!!」

今日は三人船番。過ごし方も三者三様だ。一人は狙撃手、釣りをして過ごし、もう一人は船大工、今頃船長がもう少し速くしてほしいとリクエストをしたブランコを改良中。そして、三人目の料理人と言えば。

「ほら、サービスだ。サンマ以外もバンバンつりやがれ」

喉が乾いただろう狙撃手に給仕をしている最中だ。釣りざお片手に狙撃手はつき出されたグラスを見つめる。鼻をひくつかせると甘いシロップと共に茶葉の香りが柔らかくすうっと笑う。からん、と大振りのストローが氷で動く音が涼しげで耳で聞いても楽しい。そして、見た目。紅茶がミルクのドレスを纏い、氷と共に踊っている。いや、氷だけではない。艶やかな黒真珠のネックレスと一緒だ。

「タピオカか?」

「あぁ。タピオカミルクティーだ。ここの島のタピオカはもちもちでうめぇんだ」

「へぇー、そいつはいいなぁ。いただきます」

料理人が屈託なく笑うのに期待を持ちながら、ぱくりと赤いストローをくわえ、鼻を揺らしながらチュッと啜った。飛び込んでくる、甘くて柔らかな口当たりの液体。ミルクとシロップで癖を和らげた紅茶はそれだけでも美味しいのに、ちょっと奥歯や前歯を噛み締めるともっちりつやつやの甘い粒がじゅわぁと弾けてアクセントになり、まるでデザートをもらっているような贅沢なドリンクに感じるのだ。

「へへ、うめぇなぁ……ほんとにもっちもちだ。あと紅茶もうめーー。サンジ茶葉変えたのか?」

「お、わかるか?今日はアッサムの茶葉をこの島で買ったから試してみたんだ。甘味がより引き立つだろ?」

「おう!!爽やかで絶妙だ!」

狙撃手は細やかなところによく気づく。だから料理人含め仲間たちはより会話を弾ませるのだ。彼の話を聞いたり、会話をかわすのをみんな楽しみにしているくらいに。

「あー、甘くてうめー。チョッパーが嫉妬する甘さだーー」

「帰ってきたら飲ませてやるさ」

「アウ!いいもん飲んでんな」

そこに船大工が現れた。どうやら、ブランコの改良を終えたらしい。いつものポーズをドーンと決めて現れる。

「タピオカミルクティーだってよ。うまいぞー」

「アウ、いただこうか」

「まぁ、待てよ。お前はこっちのがいいだろ?」

料理人が差し出したのは、カラメル色のしゅわしゅわした液体で満たされたグラス。中には、タピオカがぷかりぷかりと楽しそうに泡を纏って遊泳している。

「タピオカに合うように作った自家製コーラだ」

「おめーなんでもできるんだな」

「一流なもんで」

料理人はさらっと呻き笑う。船大工は、ありがたくいただきますと笑顔で返し、豪快にストローでコーラとタピオカを啜った。

「おお!うめぇ」

「当たり前だろ」

しゅわしゅわとした喉ごしのよい液体。タピオカが弾けそうなものだが、その美味しい食感は失っていない。むしろ心地いい泡ともちもち食感、カラメル味が面白く、新しい。フルーツポンチみたいな爽やかさだ。船大工はあっという間に飲み干してしまった。

「ごちそうさんだ、サンジ」

「おう、お粗末さん」

げぷ、と満足げな息をつくのを小さく口許を緩めながら料理人は見つめた。

「あっ、フランキー。ブランコの改良うまくいったか?」

「あう、スーパーよ。おめぇがそいつを飲み終えたら、試し乗りさせてやらぁ。サンジもな」

「え?おれぁいいよ」

「遠慮するなって!一緒に乗ろうぜー!」

「おうよ、うめぇドリンクの礼だ」

「ったく、乗り終わったら釣りだからな!」

美味しいドリンクを飲み終えたあとも、彼らの午後は楽しいことばかりのようだ。