冷たい王座のような椅子に腰かけさせられた男。枷がかしゃんと手足をその椅子に縫い付ける。うっすら開いたぐるぐる眉毛の下の虚ろな瞳、投げ出された手足は無抵抗。されるがまま。意識はないのか。奪われたのか。首裏に何度も当てられたであろうスタンガンの火傷の跡がハッキリと残っているが、表から見てはわかるまい。
「これでよし」
男はにやと笑った。その服装はまるで王族のそれ。金髪もさらさらに櫛で調えられ、その光を失った瞳以外はまるで王子様そのものだった。すると、タイミングを見たかのように扉がばたんとあいた。
「遅かったじゃねぇか。契約は……」
男は、言葉を失った。どさり、と扉口で倒れた契約者。サングラスは割れ、金が入ったアタッシュケースは開いてひらひらと札束を散らしている。
「な……」
男は、顔を強張らせる間もなかった。顔面に握り拳が叩きつけられる。がちゃり、と銃を持った男たちは手のひらに次々絡められ、歌によって眠らされ、雷によって焼かれた。
「おま、おまえ、ら」
「何してんだ、お前」
船長はきっと鋭い眼光で男を睨んだ。
「おれの仲間に」
男はパクパクと口を動かしながら、なんとか誤魔化そうとしたようだ。
「あいつは王族で高く売れるんだ!!だから、船に爆弾をしかけたと脅して、固まってる隙にスタンガンで体のいうことを効かなくして、毒で言葉を封じた」
「……!!」
「スイッチがここにあるぞ……近づけば、が!?」
「……詰めが甘いのね」
考古学者はため息を混じらせて手のひらを咲かせて、スイッチを取り上げた。男は、焦る。
「言いてぇことは、そんだけだな」
船長の握り拳が、ぐんと伸びる。だが、
「……動くな!!」
甲高い声がして彼は料理人の方をちらと向く。
「動くとこいつを……」
「どうするんだ」
船長の冷たい声に唖然とする間もなく。その顔面に火薬弾が炸裂した。もがいている間に、ちゃきんと鋭い刃が剥き出しになる。
「船長の話に口挟むな」
「ひ、っ」
「動くと、首裏から斬る」
仲間のスタンガンの火傷のあとを一瞥しながら、剣士はそう呻く。
「サ、サンジに近づいてみろ!!誰でも撃ち落とすぞ!!」
「砲弾かいいならご馳走するぜぇ」
「雷がいいの?それとも」
「間接技?」
「蹄がいいか!」
「凍らせることもできますが」
仲間たちは一気に脅しをかける。こうなると周りの部下たちは戦意をあっという間に失った。
「ひ、ゆる……へぶっ!!!」
もうこれ以上聞くことはないと鋭い拳を叩き込んだ。
「誰が、許すか!!!」
強い言葉を吐き捨てて、そちらを見向きもせずに、
「……サンジ」
仲間の枷を砕くようにほどいて、抱き上げる。
「帰ろう」
彼を王族でなく海賊に引き戻すように、彼らはサニー号に仲間を連れて帰るのだった。
ーー……っ。
ーーあ、サンジ!
ーー気がついたな!よかった!!
ーーここ、は。おれは、なんで……。
ーーあとでちゃんと話すから、いっぱい休め!
ーーん?……ん。
<end>
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