sevendays23
2017-04-02 11:06:03
866文字
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おやつの時間

ゼフさん誕。短いやつ。


くつくつとキッチンから何かが煮える音がする。鍋。その中からは甘いベリーの香りがただよってくる。煮詰めたいちごがとろりととろけたそれを味見皿に乗せる。金色の長い髭を揺らしながら、その口許にゆっくりと味見皿を近づけ舌の上で味わう。よし、と頷いた。

「オーナー、ドーナツあがります!」

「てめぇでもってけ。ウェイターはいねぇんだ!」

「わかりました!」

スタッフが踵を返し客にドーナツを運んでいく。今のバラティエは客が少ない。だが別に閑古鳥と言うわけではなく、ランチタイムが終わってしまい甘いスイーツのみを楽しむ客がちらほらといるだけだ。だからか、賄いを食べ終わり、ディナータイムまで昼寝をするスタッフもいれば、スイーツを作るのが得意なのか存分にその腕をふるっているスタッフもいる。そして、

「クソジジイ!!皿洗い終わったぞ」

皿洗いに奮闘し終えた、ぐるぐる眉毛のスタッフもいる。

「いちいち言わなくたってわかる。勝手に休憩にいってこい」

「いーいー、わるーございましたねー!」

幼かったサンジは今や13歳になった。最初はゼフにどこか遠慮するような様子を見せていたが、最近は慣れたのか、それとも反抗期に突入してきたのか。そんな様子はあまり見せなくなった。いずれにせよ大人びてきたことに代わりはないらしい。

「おい、チビナス」

「んだよ」

だが、呼び止めて素直にくるっと振り向いてくるところはまるで変わっていない。それに……。ゼフは静かに味見皿を置いた。

「特製のベリージャムの味見をさせてやる。のせてやるから朝こっそり焼いてたクッキー持ってこい」

「な……それはやくいえクソジジイ!てかなんでクッキー焼いてたの知ってんだバーカ!!」

悪態をつきながら、丸い顔を焦らせてばったんばったんと駆けていく。たぶん向かう先は彼の自室だろう。クッキーが隠してあるのならそこしかない。

……やっぱりまだまだガキだな」

そんな姿にどこか安堵を感じながら、ゼフは休憩用の紅茶の用意を始めるのだった。

<END>