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著者: 雷歌/らいと
2023-09-17 14:12:57
1974文字
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戦セバシリーズ
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【戦セバ/デイⒷ】モーサリアンワンドロライ#9月17日
お題:行合いの空
「お、だいぶ秋っぽくなってきたな」
外に干していたシーツを取り込みながらふと空を見上げ、そんなことをぽつりとこぼした。
青い空には、うっすらとしたすじ雲があらわれている。夏まであった、しっかりと主張をする白い雲もちらほらとあるにはあるが、もう少ない。
気温はいまだ夏を主張しつつあるが、それでも空は季節の変わり目を訴え始めていた。
夏と秋が混ざり合っているような空気感も、Ⓑは嫌いではない。毎日忙しくて気づいたら季節がかわっているのだ。季節の変わり目を感じる暇もないのだから、たまにこういうことに気付くと気分が良かった。
「Ⓑくーん、それ取り込み終わったら、休憩しないか?」
キッチンの裏手から、こちらに向かってそんな声がかかる。ちょうどそのつもりであったため、肯定の返事をしてから、Ⓑはばたばたとシーツを取り込んでそれらをリネン室へと運んだ。
リネン室に置いてあるテーブルで綺麗に畳んでアイロンをかけ、一枚一枚丁寧に棚へと閉まっていく。それらを完璧にこなしたあとに、休憩室へと移動した。
「お疲れ様です」
「おー、お疲れさん!」
休憩室に入ると、ちょうどデイビッドがお菓子を用意してくれているところだった。
お菓子、といってもどうやら今日は皿に個別に盛り付けてあるものだ。どちらかというとデザートだろうか。
「あ、栗ですか?」
「ああ、良い栗が入ってな!」
皿に入っているのは、栗とリンゴと洋なしを一緒に甘く似たものだ。自分用の皿とは別にもう一皿あるので、デイビッドも一緒に休憩を取るのだろう。
「俺、紅茶淹れますね」
そういって、休憩室に置いてある紅茶の缶を手に取った。茶葉名とともにセカンドフラッシュと書いてあるそれは、夏摘みのものだ。重さからもわかったが、缶の中を覗いてみると、ちょうど二杯分で終わりそうな量であった。
ポットとカップに湯を少量いれて温めてから、茶葉をポットへ入れる。それからお湯を入れてから蓋をすると、傍にある砂時計をひっくり返した。砂時計の中の砂が落ちきるのに三分。蒸らす時間もその程度だ。
ポットと砂時計、そしてカップをトレイに乗せてテーブルへと運ぶ。デイビッドはというと、さきほどの皿に最後の仕上げと言わんばかりに、可愛らしくホイップクリームを添えていた。
砂が落ちきったのを見て、二つのカップに均等になるように注ぐ。最後の一滴までしっかりと入れてから、ひとつをデイビッドへと差し出した。
「お、紅茶ありがとなー」
「いえ、茶葉がちょうど二人分だったので良かったです」
ようやく椅子に座り、Ⓑは自身が淹れた紅茶を口に含んで、美味しく淹れられたなと満足気に頷く。それから、フォークで栗を刺して口へと運ぶ。しっかりと似られているため、元々が硬い栗でも口の中でほろほろと崩れた。
「んん、美味しいです」
「Ⓑくんの淹れてくれた紅茶も美味しいぞ」
「ありがとうございます」
デイビッドの言葉に素直に笑みを返す。と、デイビッドがこちらをじっと見つめていることに気付く。しかもその表情が、少しにやついているようにも見えた。
「なんですか?」
「いや
……
今日、誰にも何も言われなかったのか?」
「え?」
なんのことだろうと首を傾げると、デイビッドの手がのびてきてⒷの首の斜め後ろを撫でた。わずかに、襟があるかないかというギリギリの場所だ。
それに、思わずⒷは小さく声を漏らす。自分の反応でまさか、と思いデイビッドが触れたそこを自身の手で覆った。それでわかるわけではないが、デイビッドのどこか嬉しそうな表情で確信する。
「で、でいびっどさん
……
?」
「んー?」
「見える場所に、痕を残すなと言いましたよね?」
「んー、その時は理性ないからな!」
あっけらかんと言うデイビッドにため息をつく。今のところ誰にも指摘されてないということは、おそらく見られてないということだろう。そう思おう。そう思わないとやってられない。まさか空気を読んで指摘していない、なんてことはこの屋敷の住人であれば、ないことだろうから。
「真面目に仕事してるⒷくんに、そいう色香が混ざるの、すごくいいよな!」
サムズアップでなんの主張をしているのか、デイビッドはとにかく上機嫌である。嬉しそうなのはいいが、Ⓑ自身としてはよろしくないのでしっかり言い聞かせないといけない。
「また次やったら、二度とえっちしませんから」
「えっ」
ちょっとはわかったかとデイビッドを見れば、少し困ったような嬉しそうな、複雑な表情をしている。
「なんです?」
「びしっとスーツ決めたⒷくんから、その単語が出てくるのやばいな。ちょっと勃った」
どうやら改める気がないデイビッドに、Ⓑはしばらく接触禁止令を出したのであった。
end.
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