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著者: 雷歌/らいと
2023-09-17 00:12:50
2454文字
Public
戦セバシリーズ
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【執セバ/デ11Ⓑ】俺の推しは俺の推し?!【無配掲載】
夏コミの無配内容の掲載です。
アイドル・デーデマン11世×ストリーマー・Ⓑくん
※今回はⒷくんと大学で同級生のⒶくんツネッテしか出てきてないです。
無配用に編集しておりますので、オンデマ本とは内容がちょっとだけ異なります。
---
がやがやとざわつく教室の中。Ⓑはひとり、席についてイヤホンを耳にしていた。
これから講義のある授業のテキストをぱらぱらと目にしながら、その実音楽に集中している。イヤホンから聞こえてくるのは、発売されたばかりの男性アイドルの新曲。Ⓑが唯一推している芸能人である。
と、目の前でひらひらと手のひらが踊って、Ⓑは顔をあげた。
そこにはクラスメイトであるⒶが、にかっと笑っておはよーと口パクで伝えてくる。MP3ウォークマンの停止ボタンを押してイヤホンを取った。
「はよ」
「何聞いてんの? て、Ⓑならアインリフか」
「まあな」
アインリフとは、先のⒷが推しているアイドルの名前である。古い言葉で十一という意味だ。ファンの中では、この十一が何を意味するのかいろいろな憶測が飛び交っているが、いまだ正解は出ていない。
「もうデイリーのダウンロードセールスで一位取ってるよねー」
「ああ、今回も最高の歌だ」
「いつもそう聞いてる」
「今回は、現代のポップチューンな中もレトロな表現があって」
「待った待った先生が来たよ」
感想が暴走しそうなⒷを止めつつ、Ⓐは廊下の方を指さす。そこには確かに歩いてきている準教授の姿があった。
おっと、とⒷは口を塞いでから小声で「続きは昼にな」と続ける。しょうがないなあと言いながらⒶは、ランチ一回分な、と悪戯っぽく笑った。
苦笑しながらⒷが頷けば、契約成立である。講義を終えて、ⒷとⒶは食堂へ向かう。違う講義を受けていた同じゼミ生のツネッテも合流し、Ⓑは改めて今回の新曲について熱く語った。
「ほんと熱いわよねぇ。私も好きだけど、Ⓑほど語れるのは数少ないんじゃない」
「いや、そうでもないって」
スマホをトントンといじって、短文投稿アプリであるツヴィッターの画面を見せる。そこに映っているのは、新曲の曲名をハッシュタグ化したものと一緒に感想を述べている投稿一覧だ。色んなアイコンが、アインリフの新曲に寄せて様々な熱き感想と時折独自解釈を述べている。スクロールしてもずっと続いているのだ。
「はあ、すごいわねぇ」
「今や新曲を出せば必ず一位。デーデマン事務所の稼ぎ頭だもんね」
「卑しい言い方をするな。確かにそうではあるけど」
Ⓑはスマホを引っ込めると、続けて触ってアインリフ自身の宣伝アカウントを表示した。アイコンには愛らしい笑顔を浮かべる童顔の男性の顔──アインリフ。最新の投稿は、たくさん新曲を聞いてくれてありがとう、というメッセージとともに、昨日出演した音楽番組の後に撮影したであろう写真だ。
どうして昨日出演した音楽番組の後か分かるかというと、Ⓑも漏れなくその音楽番組をチェックしていて、衣装がその時のと同じだからだ。
それに対して笑みを浮かべたⒷに、Ⓐとツネッテは顔を見合わせてから肩をすくめた。
「まるで恋人に向ける顔ね」
「そうか?」
「Ⓑ、無自覚やばいって。本当に恋人できたときに誤解されるよ」
「当分その予定はないから」
「なんだかんだ面倒見いいから、いいなあと思ってる子は多いと思うけどねぇ」
「いやいや」
そんな馬鹿な、と呟きつつランチメニューを口に入れていく。ツネッテもⒶも苦笑を浮かべたまま。
「ま、今のⒷを射止めるのはきっと不可能ね」
そう言うツネッテと、そうだねぇと同意するⒶに、Ⓑはだから興味ないってため息をついた。今は推しを応援することが一番なのもあるが、他にも自分の時間を恋人とやらに奪われたくない理由があるのだ。
午後の講義も終わり、Ⓑは真っすぐ帰宅する。家に入って時計を見て、予定の時間まで余裕があることを確認した。
Ⓑは大学生である傍ら、週二・三程度動画投稿サイトのDuTubeでゲーム配信を行っている。大学での用が入らないとは限らないため、一週間間隔でスケジュールをツヴィッターに投稿していた。
けして多くはないが、ある程度固定の視聴者もついている。特に登録者数を増やすつもりもないので、マイペースにゲーム配信を行っていた。
- - -
「こんばんは! 今日も来てくれてありがとうございます!」
配信開始ボタンを押して一分ほどの待機ムービーが終わった後、待機画面からゲーム画面に切り替えて元気よく挨拶をする。動画配信サイトのコメントに、ぽつりぽつりとコメントが流れていた。
特に配信環境に問題ないことをコメントで確認して、
「今日は、野良でチームを組んで良さげなパーティーだった場合、もう一戦やりませんか? って誘ってみようと思います」
本日の配信するゲームは、FPS(ファーストパーソン・シューティング/一人称視点シューティングゲーム)だ。複数人でプレイするマルチモードだと、フレンドとパーティーを組むこともあるが、一人で入れば同じく一人ないし二人で入っている誰かと自動的にパーティーを成立させる。そういう一人でマルチモードに入ってくるプレイヤーのことを、野良プレイヤーと表現する。
ゲームに実装されているチャット機能を使用して、Ⓑは野良プレイヤーにメッセージを送るつもりでいた。
コメントからも好感触の反応を得られ、ひとつ頷くとⒷはプレイを開始した。
- - -
マルチモードで初めて数戦目のことだ。
(あれ、このプレイヤー
……
)
直感ではあるが、とてもやりやすいプレイヤーとあたった。こちらがアタッカータイプを使用しているため、サポートタイプを使用してくれているだけでもありがたいが、サポートの欲しいタイミングがⒷの考えるタイミングとドンピシャなのだ。
プレイヤーのアカウント名はgesichtslos_d。こんなにやりやすいプレイヤーなら覚えているはずだが、初めて見るアカウント名だった。
つづく・・・
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