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著者: 雷歌/らいと
2023-07-08 21:54:41
1570文字
Public
戦セバシリーズ
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【戦セバシリーズ / シロネコ+Ⓑ】モーサリアンワンドロライ#7月8日
お題:ルドベキア
Ⓑくんとシロネコくん
「ちわーっす、シロネコ急便です!」
いつも通りの元気な声で、玄関外からシロネコの配達員が呼びかけてくる。ちょうど近くにいたⒷは、玄関をそっと開けてから、シロネコの姿を確認した。
「ど、どうしたんですか?」
おっかなびっくりといった様子のⒷに、シロネコは驚く。
「ちょっと、今屋敷の中がばたばたしてて
……
」
「ああ、いつも通りですね!」
シロネコの返しにⒷは思わず苦笑した。
デーデマン邸への配達担当になって数年。この屋敷での騒動は慣れたものである。巻き込まれたりしたりもするが、それでもこのルートの担当からはずしてくれ、と申請したことはなかった。
なんせ危険手当もついて給料がいいのだ。別の理由もあるのだが、シロネコはそれを誰かに打ち明けたことはない。
「デーデマンさんへのお荷物と、セバスチャンさんへのお荷物。こちらはヨハンさんへのお荷物ですね。あと
……
こちらはⒷさんにです!」
宛名を確認しながら大なり小なりの箱を受け取る。そうして最後に、ばさっと手渡されたのがオレンジ色の花束だった。けして大きくはない、手渡しにちょうどいい小ぶりのサイズだ。
「え、俺に?」
「はい! まとめてで大丈夫なので、こちらにサインをお願いします」
「あ、はい」
花束に呆気にとられつつ、シロネコが目の前に差し出してきた伝票に受け取りサインをする。そして、それじゃあ! と元気に言ってシロネコは駆け足で次の配達先へと向かっていった。
Ⓑは、花をつぶさないようにと慎重に他の荷物を中にいれて、それからマジマジと花束を見つめる。花束だったら、花屋から配達されるのが多い。それなのにシロネコ急便からとは、と首をひねった。
「あ、Ⓑ荷物受け取った? て、どうしたのそれ」
何かから逃げるように走ってきたⒶが、ふと玄関口で立ちっぱなしであるⒷに声をかける。
「これは俺に、らしい」
「そうなの? じゃあ、先に部屋に飾ってくる? 荷物は俺が運んどくよ」
「いや、けど」
「そのままだとしおれるよー。姉ちゃんたちも、花をもらったりなんかしたら、すぐ花瓶に活けてたし」
「それもそうか。じゃあ言葉に甘えるわ。すぐ戻るから」
「はいはいー」
ざっと荷物を持ち上げてⒶはさっさと走っていった。Ⓑも、再度、花がつぶれないようにと気を付けながら走って自室へと向かう。
花瓶は途中の物置部屋からよさげなのを借りて、自室にある洗面台で水を入れつつ花束の包み紙をほどいた。
そういえば、と包み紙を持って裏にしたり、戻したりして確認する。
「伝票がないな
……
?」
シロネコ急便から配達される荷物は、他の宅急便となんら変わりなく、受け取り荷物にも伝票の半分が残される。こういう不定形なものであれば、タグでワイヤー付けされていることが多い。
けれど、その伝票がない。
いつもの担当者が、もしかして誰かから直接依頼されたのか、それとも──
「まさか、なあ?」
セバスチャンやデイビッドなら、よくその手のプレゼントを受け取ってそうだが、まさか自分がそういうことで受け取ることはないだろうと思っている。きっと、知り合いの誰かが悪戯で自分宛にお願いしたのだろう。
そう考えつつ、水のたまった花瓶にオレンジ色の花を活けた。
それにしても、花芯の茶色が大きく主張してくる花である。実は小さい向日葵なのだ、と言っても通じそうだ。
花瓶を持ち上げて、置く場所の選択肢はそうないのでベッドサイドチェストにそっと置く。Ⓑは満足げに頷いて、それから部屋の外から響いてきた爆発音にハッとし弾かれるように部屋から出た。
屋敷を揺るがす衝撃から重心がかわったのか、ゆら、と動いて花はⒷの出て行ったドアへと向く。まるで、花芯がじっとドアを見つめているかのように。
end.
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