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著者: 雷歌/らいと
2021-09-05 12:45:26
2317文字
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戦セバシリーズ
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テーマ:お月見
我が妄想~集え!モーサリアン~の突発企画に寄せたもの。
「これまた、大量に作りましたね
……
団子」
Bの目の前には、大皿一杯の真っ白な団子。
本日は、デーデマン邸にて月見会という名のパーティーが開かれるため、使用人・メイド総出で厨房の手伝いである。パーティー会場の設営確認をヨハンへと引継ぎ、最後にBは厨房へと訪れていた。そこでいきなり目に入ってきたのが、団子である。
「今日はお月見だろー?」
「なんか作ってるうちに興が乗ってね!」
「せいぜい飾り程度に作るものだと思ってましたが」
厨房のコックが二人して楽しそうに言うのだ。本当に、興が乗った、という状態だったのだろう。それ意外の料理も、つつがなく準備が進んでいるようだし問題はないはずだ。
「じゃあBくんは、こっちの皿に月見団子を盛り付けてくれるか?」
それに頷いて、Bは作業を開始した。
月見とはいっても形だけのものである。日本のように月見団子を三方に載せたりはしない。適度にお高い皿に、良い感じに山のように団子を盛り付ける。そしてうっすらと金粉を振りまけば、貴族が好きそうな感じのものができあがるわけである。
団子用のソースもすでに用意されている。みたらし、黒蜜、きな粉、あんこ、などなど。日本へ訪れたというデイビッドこだわりのものだ。
そういえば、とBは他の料理へと目をやった。団子に合わせてか、和風料理が多い気がする。そういうのも、セバスチャンとともに計算されているのだろう。
ひとまず盛り付けを終えれば、ワゴンに乗せてパーティー会場へと向かった。
パーティーはつつがなく終わった。乱入しようとするヘイヂをすんでのところでセバスチャンが切り刻んだり、デーデマン11世がこっそり仕込んだ爆薬を血眼で探し出して排除したりするなどはあったが、それはあくまでも予想の範疇であるため、とにかくつつがなく終わったのである。
使用人室でぐったりとしているB、A、それとツネッテ。エルも相変わらず具合悪そうに座っている。ヤンはというとまだ元気そうだ。
「まだまだだなお前ら」
「久しぶりのうち主催パーティーで、気付かれしたというか」
「悪い噂がある割に、人が集まるわよねここ」
「招待状受け取ったら、もう断れないんでしょうねぇ」
エルは、結構な権力者ですしここって、と続けて目の前にあるお茶をずずっと飲んだ。
「まるで地獄への招待状
……
」
「何が起きるかわからねーから、あながち間違ってないな!」
からからとヤンが笑っていると、厨房とつながっているドアが開いてクラリスが入ってきた。
あきらかに疲れ切っている三人を見て、クラリスは少し苦笑を浮かべる。
「みんなお疲れ様。準備整ったからテラスへおいで」
そういわれ、ぞろぞろとテラスへと向かえば、デーデマン邸だけの月見会のセッティングがされていた。パーティーのときとは違う料理が用意されているが、月見団子だけは中央に、Bがはじめに見た大皿へと山のように盛り付けられている。
「多い
……
!」
「あまったやつじゃないよな、これ改めて作ったのか?!」
バッ、と勢いよくクラリスを見れば良い笑顔でサムズアップを向けてきた。朝から結構な忙しさだったはずだが、それでもまるきり疲れを見せずにこの仕上がりである。後から、飲み物も持ってきたデイビッドは少しだけ疲れを見せていた。
「クラリス姐さんの並外れたところを久しぶりに見た
……
」
そう言うデイビッドへ、あんたも大概ですよ、という言葉をBは心の内だけでつぶやく。
そういうわけで、デーデマン邸の身内だけの月見会が始まったわけである。使用人たちへの慰労も含まれており、お酒も大盤振る舞いで無礼講だ。ともなると、タガがはずれるのがここで。
「だぁああれが片づけると思ってるんでしょうねえ」
「まあ明日でも問題ないでしょ」
具合の悪さ一等級のエルは、混じりながらも酒を控えその場を楽しんでいた。そのため素面で最後までいれたのだが、見事に目の前には死屍累々である。ヘイヂが宴会芸だとかなんとかでその場で皮を脱ぎ散らかしたので余計にそう見えるのである。
クラリスも多少は口にしていたようだが、酔うほどではないらしい。
「う、ぐ、きもちわる
……
」
ある程度セーブしていたとはいえ、いつも以上に飲んでいたBは顔を青くしながらもゆっくり立ち上がる。
「はい、お水だよ」
「あ、ありがとうございます」
クラリスから水を受け取り、それを一気に煽るとBは改めて周囲を見回した。うわあ、という顔をするのと同時にため息をつく。
「どうする、Bくんは部屋に戻る?」
「いや
……
せめて、Aぐらいは部屋に連れていきたいと」
ツネッテは限界が来そうなときにとっとと部屋へ戻ってしまった。高齢組も折を見て、すでにいない。となると、死屍累々の中で後に響きそうなのはAだろう、という判断だ。
「真面目ですねぇ」
「いや、そうでもないですけど」
「ま、もう少し一緒に月を見ていようよ。酔いもさまさないといけないでしょう?」
完全にそうする気でいるエルとクラリスの姿勢に、Bも頷いて二人へと並んだ。
「そういえば、月見会なのに、月を見ている客って誰もいませんでしたね」
「見ていたんじゃないかなあ、ウチの月を」
「え?」
「ずいぶんと有名ですからねえ、顔をしっかり覚えておきたいでしょう。街中での万が一をさけるために」
意味深に笑うエルとクラリスに、Bは首を捻った。とくにそれ以上、詳しいことを語る気がないらしい二人は、静かに月を見上げている。
Bもそれに倣い、月を見上げる。
煌々と輝く月は、ただただ静かにそこに在った。
end.
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