著者: 雷歌/らいと
2020-09-27 01:15:51
1862文字
Public ツイステ
 

【#twstプラスB / イデ監】その感情は何色?


 都合により、とある生徒のユニーク魔法で、相手への気持ちが具現化するようになってしまった監督生である。
 目を合わせた瞬間に、相手への気持ちが、自身の体からぽこんと出てくるのだ。監督生自身で制御できるものではなく、とにかく避けたければ相手の目を見ないことである。
「お前から僕たちには、白いハート?」
 エースは面白がって、試してみてよというのでいつものつるんでいる三人には普通に目を合わせた。すると、監督生からはぽこぽこぽん、と白いハートが出てきたのだ。
「白いのは、どういうこと?」
「嫌いってわけじゃないし、まあ友愛ってことじゃないの」
「俺様にも白いんだゾ」
「グリムも別に嫌いじゃないし」
 ハートの形してるからまだいいんでしょ、と監督生は言う。間違って、あまり好きじゃないなと思う人物と目があった瞬間は、黒いもやみたいなものが出てきて大変だった。もやなのですぐに空中に溶けて消えてしまったが、あまり気分のいいものではない。実際、少しだけ気持ち悪く感じてしまった。
「あまり好きじゃないで黒いもやなら、嫌いなら固形物になりそう」
「けど、どちらにせよ、白か黒なんだな」
「あー、確かに」
 たまたま目があっただけの、なんら感情を抱いていない相手には白いもやであった。これもまたすぐに消えたが。
「それ以外の色はない魔法なのかもね」
 ユニーク魔法でも強弱はあるはずなので、中でも弱い方なのだろう、と適当なことを言う。
 そして、エースはにやりと笑みを浮かべた。
「イデア先輩とは、どうなるんだろうな?」
「言うと思った」
 監督生は苦笑を浮かべて、試せるわけないだろ、と言う。
「残念なことに今まで一度も目が合ったことがないんだから」
 頑なに目を合わせてくれない。というか、間にはいつもタブレットが立ちふさがっており、その顔でさえもまともに見れる状態でないのだ。
 無理やりタブレットを取り上げてもいいが、それで距離を置かれてしまっては困る。
「いつか、目が合うといいな」
「デュースってほんといいやつ……!」
 ありがとうがんばるな、と多少わざとらしくも大仰な身振り手振りで感謝した。
 監督生は、少しだけ怖かった。今の状態でイデアに対してどのような想いが具現化するのか。好きか嫌いかと問われれば好きである。だが、興味を抱いたきっかけであるあの燃え盛る炎に触れてみたいから、というのが始めにあった。
 監督生は、おそらくエースらと同じく白いハートが少し大き目に出てくるぐらいではないかと、思っている。それか、もしかしたら白いもやかもしれない。
 そんなことをとりとめもなく考えながら、監督生は次の授業へと向かっていた。
 廊下の曲がり角を曲がった瞬間、何かにぶつかる。
「と、とと、すいません」
「あっ、いや、せ、拙者もよそ見してて」
 聞こえた声に、思い切りよく視線をあげる。と、
──月だ
 そんなことを思ったのを最後に、監督生の意識は途切れた。

「怖いユニーク魔法だったんですね」
 保健室で目を覚ました監督生は、クルーウェルから自分にかけられたユニーク魔法の詳細を聞いてそんなことを呟いた。
 相手への想いが具現化するだけではなく、その具現化した分だけ魔力を消費させるというものだったらしい。魔力を持ってない監督生は、それが体力になっていたようで、一歩間違えば死んでいたかもしれないということだった。
 幸いにもすでにそのユニーク魔法は切れていたようで、クルーウェルと目を合わせたときには何も出なかった。
「そのユニーク魔法により一気に高負荷がかかったため、気絶したのだろう。何か覚えているか?」
「ええ、まあ……
 気を失う瞬間に見た綺麗な満月、それが何なのかは気付いている。今更、あの声を聞き間違えるはずがない。
 気を失ったということは、そういうことだ。黒い方ではないだろう、それは確信している。ということは、白い方が気を失うほどに大量にもしくは大きく出てきたということだろう。
 何が出てきたかはわからない。保健医もクルーウェルも知らないという。それでは、ここに運んできたというオルトとイデアならどうだろうか。
(聞けるかっつの)
 自分でさえも把握していなかったその大きさに何故か恥ずかしくなってしまい、監督生は顔を覆う。
(明日からどんな顔してイデア先輩に突撃すればいいんだ)
 そんなことを一晩中悩むことになるとは、この時の監督生は思ってもいなかったのであった。



end.